星降る夜のセレナーデ 第123話 暁に向かって
慌ただしく半年が過ぎた。先生と俺に映画の話が来る。吉崎修平監督から提案があり先生が全体の音楽を作り、俺がテーマソングを作る事になった。そして歌うのは由美香ちゃんだ。そして主役はなんとアリサちゃんなのだ。
映画の内容は親を亡くした女の子がバイクに乗って世界観を広げ、やがて素敵な人と結ばれる話だ。
台本をよく読むと『人は試練を乗り越えると真の優しさが見えて、幸せに近づける』そんなテーマが見えてきた。俺は監督の意図を理解できたような気がする。
アリサちゃんは似ている境遇なので主役に抜擢されたらしい。
俺が曲を作ると当然志音ちゃんは『葵 姫名』で作詞することになる。
スタジオは更に忙しくなった。
先生は台本を見ながら必要な曲をチェックしている。
俺も台本を読んでどんな曲を作るか考えた。しかし何も浮かんで来なかった。
志音ちゃんへメールした。志音ちゃんはアリサちゃんから話を聞いていたらしくイメージが広がったらしい。
『暗闇から光に向かって走り出す感じだよ』そう返事が来た。
俺は想像してみる。
「アッ!降りてきた」
頭の中に疾走感のあるサウンドとメロディが広がった。
『ありがとう、曲が浮かんだよ』メールした。
『よかったね、モヒくん』
俺はスタジオで曲作りを進める。簡単なデモができると先生に聞いてもらう。
「いいねえ…………カッコいいよ」リズムをとりながら聞いている。
「そうだ!これにストリングスを重ねていいかい?」先生はニタリとした。
「はい、お願いします」俺は頷く。
先生はシンセサイザーのストリングスで寄り添うような優しいメロディを録音した。
「真人くん、テーマ曲のストリングスで奏でたメロディが映画の中でも重要なメロディとして流れたらいいんじゃないかなあ」
「いいですね、先生!素敵なアイデアです」俺は感激した。
「じゃあ、それで進めよう」先生は何度も頷いてスタジオを出て行った。
出来上がったデモを志音ちゃんへ送る。
『いい感じだねえ、じゃあ歌詞を考えてみるよ』と返事が来た。
一週間程で歌詞が出来上がって来る。
『暁に向かって』とタイトルが付いた歌詞はとてもいい感じだ。
美夜子さんが仮歌を歌ってくれた。できたデモを送ると吉崎修平監督からすぐにOKの返事があった。
そして先生はテーマ曲のストリングスで奏でたメロディを美しくアレンジして曲作りを進めた。
