星降る夜のセレナーデ 第58話 軽井沢
ドラムやピアノのレッスンは土曜日の午後に行われる。志音先生は容赦無く俺を鍛えた。おかげで俺はかなり早く上達している。
そして日曜はドライブへ行った。
怖い志音先生から可愛い志音ちゃんへと変貌し、まるでデートしているようだ。
二人で軽井沢へとやって来る。
「モヒく〜ん、お腹すいたよ〜」上目遣いで見ている。
志音ちゃんの上目遣いは小悪魔ではなく、妹のように可愛い。俺はなんでもわがままを聞きたくなってしまう。しかし美夜子さんから甘やかさないようにと釘を刺されているので、兄のような気持ちでしっかり見てあげようと思っている。
駅に併設されたアウトレットのフードコートで何を食べるか考えた。
志音ちゃんは色々と悩んでいる。
「志音はハンバーガーが食べたい」お店を指差す。
俺も店の写真を見て食べたくなった。
「いいねえ、じゃあハンバーガーにしよう」そう言って注文する。
出来上がったハンバーガーを持ってテーブルへ移動し、二人で食べ始めた。
志音ちゃんはなんの屈託もなく、大きく口を開けてガブリと食べている。
「美味しい〜」とっても良い笑顔を見せてくれた。
しかし、その後ソースが少しこぼれて志音ちゃんの胸元についてしまう。
「うそ〜!!!」志音ちゃんから笑顔はなくなり、悲しそうな表情になってしまう。
ウエットティッシュなどで拭いたりしたが、ソースはくっきりと跡が残ってしまった。
「大丈夫さ、俺に任せて」そう言って食べ終わった志音ちゃんを外へ連れ出す。
「あの店は可愛い服があるよ」志音ちゃんを洋服のお店へ手を引いて入った。
志音ちゃんは何度も瞬きしながらついて来る。
「これとか可愛いなあ、どう志音ちゃん?」
「えっ、買ってくれるの?」首を傾げた。
「ああ、いつもドラムやピアノを教えてもらってるから感謝してるんだ、だからお礼をしたかったんだよ、丁度よかった」俺はニッコリした。
「でも、約束どうりドライブしてくれてるじゃん」眉を寄せる。
「普通レッスンに通ったら、かなり月謝がかかるよ、だから遠慮しないで」
「本当?」志音ちゃんは嬉しそうに俺を見た。
「ああ、好きな服を買おうよ」ゆっくり頷いた。
三着ほど試着して、ワンピースを買った。そして着替えるとソースの付いた服は袋へ入れた。
「やったあ〜、モヒくんからのプレゼントだ〜」志音ちゃんは嬉しそうに鏡の前でクルッと回った。
その後も軽井沢のあちこちへ行った。志音ちゃんは嬉しそうに俺の腕を掴んでくっつく。周りから見ると仲の良いカップルに見えるかも知れないと思った。
