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【全1.3万文字】北海道の会社はもうこれ以上"求人票"を出すのはやめなさい

このたびは、当記事をご覧いただき誠にありがとうございます!
この記事では北海道札幌市出身の現役外資コンサルティングファーム在籍者が、北海道企業の採用のあるべき姿についてツラツラと語っております!

※この記事は1.3万文字のボリュームで読み終えるまでに10分程度かかります。読み終えたとき、少しでも良い時間だと思っていただけるよう、精力を込めましたので、ぜひお付き合いいただけると幸いです!

北海道が、いま静かに消えようとしている?

北海道で生まれ育った一人の人間として、どうしても伝えなければならない危機感があります。それは単に「景気が悪い」とか「ビジネスが難しい」というレベルの話ではないです。私たちの足元にあるこの広大な大地を支える「人」が凄まじいスピードで失われつつあるという現実です。

いま、北海道のさまざまな企業の会議室で、あるいは地元の居酒屋のカウンターで、同じ悲鳴が上がっています。「人が足りない」「求人を出しても誰も来ない」「若手がすぐに辞めてしまう」。その声は日を追うごとに切実さを増し、多くの社長さんの中にも漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?

北海道の人口はついに500万人という大きな境界線を切り、猛烈なスピードで高齢化が進んでいます。労働人口、つまりバリバリ働いて地域を支えるはずの世代が、たとえるなら砂時計の砂のように、指の間からサラサラとこぼれ落ちているのが、私たちの目の前で起きていることなのです。

多くの経営者は、なんとかしてこの状況を打破しようと必死です。リクナビやマイナビ、Indeedといった大手広告媒体のセールスマンがやってきて、OJTや研修で教え込まれたセールストークをもとに「今はインターネットの時代です」「このプランなら求職者への露出が増えます」と熱心に語れば、経営者の方の一部には、盲信的か、止むを得ずか、数十万、数百万という広告費を投じていると聞きます。あるいは、最近のトレンドとして「副業マッチング」や「プロ人材」という言葉を耳にすれば、東京の優秀な人材が自社の課題を魔法のように解決してくれるのではないかと期待し、マッチングサイトに募集案件を載せてみることもします。

でも、あえて厳しいことを言わせてください。そのやり方を続けている限り、そんな会社は数年以内に間違いなく立ち行かなくなります

なぜなら、その「とりあえず広告を出して、空いた穴を埋める」という発想そのものが、すでに時代遅れだからです。それは、底の抜けたバケツに必死で水を注ぎ込んでいるようなもの。水は一瞬だけ溜まったように見えますが、すぐにまた空っぽになります。そして、注ぎ込む水(広告費)が尽きたとき、そこに残るのは、誰もいなくなったガランとした事務所だけです。

これから北海道の企業が生き残るためには、これまでの「採用」という概念を、一度きれいに消し去る必要があります。これは単なる採用テクニックのUpdateではありません。あなたの会社がこの先30年、50年と、この北海道という土地で続いていくための、たった一つの、しかし最も強力な武器である「採用ブランディング」という生存戦略への転換なのです。

なぜ今の北海道の採用がこれほどまでにうまくいっていないのか、その裏側にある真実を暴きながら、どうすれば道外からも、あるいは海外からも「この会社でなければならない」と熱望される存在になれるのか、その具体的な道筋を徹底的に解説していきます。少し長い文章になりますが、これからの北海道を背負って立つリーダーの皆さんに、どうしても届けたいメッセージを詰め込みました。最後まで、私と一緒にこの問いに向き合っていただければ幸いです!!

リクナビとIndeedが、会社を蝕んでいる

まず私はこの会社のアンチではございませんのでご安心ください(笑) キャッチーさを優先してこの題目をつけておりますことをご了承くださいませ。

多くの企業が当たり前のように行っている「求人広告」という手法について、その本質的な欠陥を紐解いていきましょう。

退職者が出て欠員が生じた、あるいは事業を拡大したいから新しい人が欲しい。そう思ったとき、多くの社長さんはまず「求人を出そう」と考えます。そして馴染みの代理店を呼び、給与、勤務地、休日数、業務内容といった条件を整理して、綺麗な写真と耳あたりの良いキャッチコピーを添えた広告を掲載します。確かに、短期的にはこれで人が集まることもあります。しかし、ここには恐ろしい二つの落とし穴が潜んでいるのです。

一つ目の落とし穴は、それが「条件の叩き売り」になっているということです。

求人広告というプラットフォームに情報を載せるということは、必然的に競合他社と同じ土俵で「スペック競争」を強いられることを意味します。給与が1万円高いか、休みが1日多いか、残業が5時間少ないか。こうした数字だけで比較される世界に足を踏み入れた瞬間、北海道の企業に勝ち目はありません。

もちろん、北海道の中での比較ならまだしも、いまや求職者はスマホ一つで全国、全世界の求人にアクセスできます。リモートワークが普及した今、北海道にいながら東京のIT企業の仕事をすることも可能です。そうなれば、資本力のある大手企業や、利益率の高い都心の企業と条件競争をしても、負けるのは火を見るより明らかです。条件で選んで来た人は、もっと良い条件の場所が見つかれば、ためらいなくあなたの会社を去っていきます。これでは、事業を中長期的に支える「幹」となる採用にはなり得ません。

二つ目の落とし穴は、その情報が「点」でしかないということです。

求人広告が伝えるのは、その瞬間の断面図だけです。この会社がどのような歴史を辿り、どのような創業者の想いがあって立ち上がり、いまどのような泥臭い課題に直面し、それを乗り越えてどこへ向かおうとしているのか。そうした文脈が、広告という限られたスペースからは一切見えてこないのです。

いまの採用活動は、まるでマッチングアプリで身長や年収だけを見て相手を探すようなものです。でも、皆さんの人生を振り返ってみてください。一生を共にしたいと思う仲間やパートナーを選ぶとき、条件だけで決めたでしょうか。その人の生き様や、大切にしている価値観、あるいは共に苦難を乗り越えた記憶に共感して、初めて「この人と一緒にいたい」と思ったはずです。

企業と人材の関係も、本来はそうあるべきなのです。

短期的に「このポジションが空いたから埋めよう」という枝葉の視点で採用を繰り返している限り、入ってくるのは条件がたまたま合った人だけです。そこには志もなければ、事業への深い愛着もありません。そんな組織が、これから訪れる荒波を乗り越えられるはずがないのです。

私たちは、そろそろこの「とりあえず広告」という安易な鎮痛剤に頼るのをやめなければなりません。痛み(人手不足)を一時的に紛らわすのではなく、なぜ人が集まらないのかという根本的な体質改善に取り組むべき時が来ているのです。

"副業・プロ人材"に隠された彼らのインセンティブ

求人広告の次によく聞くのが、「副業人材の活用」です。

「東京の優秀なプロ人材を、月数回の稼働で安く活用しましょう」「地方にはいない高度なスキルを自社に取り入れましょう」。こうした営業トークは、確かに魅力的です。北海道の課題を最新のマーケティング手法やIT技術で解決してくれるスーパーマンがやってくるような、そんな淡い期待を抱かせます。

しかし、現実はどうでしょうか。

副業マッチングの会社から営業を受けて案件を載せてみたものの、結局は何も変わらなかった。そんな話を、私は北海道の友人や知人経営者から耳にしています。

なぜ、流行りのトレンドを取り入れているはずなのに、うまくいかないのか。その理由は、外部から来るプロ人材たちの「インセンティブ」を考えれば一目瞭然です。

基本的に、東京や大阪の第一線で活躍している優秀な人材が、地方企業の副業案件に応募する動機は、多くの場合、片手間でお金を稼ごうというものです。

もちろん、彼らはプロですから、契約の範囲内で質の高いアウトプットは出すでしょう。綺麗なスライドを作り、ロジカルな戦略を語り、最新のツールを紹介してくれます。しかし、彼らの人生の本拠地はあくまで東京や大阪にあります。彼らにとって、あなたの会社のプロジェクトは、あくまで空き時間で行うサイドビジネスに過ぎません。

事業を根底から変える、あるいは停滞した組織を動かすためには、単なる知識やスキルだけでは不十分です。現場の社員と膝を突き合わせ、理不尽なトラブルに一緒に頭を下げ、答えのない問いに共に悩み抜く。そうした泥臭いコミットメントが必要不可欠です。しかし、月に数回、Zoomの画面越しにアドバイスを送るだけの副業人材に、そこまでの覚悟を求めるのは土台無理な話です。

彼らが提供するのは情報の切り売りであり、あなたの会社の運命を共に背負うことではありません。会議が終われば、彼らはスマートにログアウトし、自分たちの豊かな日常へと戻っていきます。残されたのは、現場の誰も使いこなせない高尚な戦略書と、余計に混乱した社員たちだけ。そんな風景を容易に想像ができます。

前提、副業人材を否定するわけではありません。特定の技術的な課題を解決したり、短期的なプロジェクトを回したりするには有効な手段でしょう。しかし、それを採用の代わりにしてはいけないのです。事業を変えるのは、いつだってその事業と心中する覚悟を持った人間だけです。トレンドっぽい言葉に踊らされて、安易に外部の力に頼り、自社の幹となる人を育てる努力を怠ってはいけません。

500万人の向こう側にある、北海道の本当の危機

北海道の人口が500万人を切った。このニュースを、皆さんはどう受け止めましたか。「ああ、やっぱり減っているんだな」という程度の感想で終わらせていないでしょうか。

これは、単なる数字の減少ではありません。コミュニティとしての維持能力の崩壊の始まりです。

人口が減るということは、消費者が減るということであり、同時に、インフラを支え、サービスを提供し、新しい価値を生み出す「担い手」が加速度的に消えていくことを意味します。北海道はこれから、日本で、いや世界で最も過酷な人口減少の実験場となると推察します。

これまでは「北海道の中で募集をかければ、誰か来るだろう」という甘い前提がありました。札幌を中心とした道内の労働市場は、それなりに機能していたからです。しかし、その前提は完全に崩れ去りました。道内のパイは縮小し続け、その少ないパイを巡って、道内企業同士が、あるいは道外の大手企業が、凄まじい椅子取りゲームを繰り広げています。

さらに深刻なのは、企業側のマインドセットです。

正直に申し上げて、北海道の企業の中にはそもそも長く事業を継続しようとするモチベーションが、もはや希薄になっているところも見受けられます。「自分の代さえ持てばいい」「時代の流れだから仕方がない」。そんな諦めの境地で、ただ惰性で求人を出している。でも、そんな冷めた熱量は、求職者にはすぐに見透かされます。

未来を信じていない会社に、自分の人生を預けようと思う若者がいるでしょうか。

答えは明白です。そんな企業から順番に、容赦なく淘汰されていくのがこれからの時代です。

いま必要なのは、短期的に欠員を埋めることではなく、先々を見据えて経営の根幹を支える人材や、次の世代を担う後継者を採用していくという、強い意志を持った投資としての採用です。

北海道というマーケットは、これからも高齢化に拍車がかかり、労働人口は減り続けます。だからこそ、従来の待ちの姿勢では全滅します。道外から、あるいは海外から、あえて北海道の、あえてあなたの会社を選んでやってくるような、圧倒的な理由を作らなければならないのです

なぜ幹の採用が必要なのか

では、どうすればいいのか。その答えが、採用ブランディングという目線への転換です。

これまでの採用は、木に例えれば枯れた葉っぱをどう付け替えるかという、枝葉の視点でした。しかし、いま求められているのは、木全体を支え、どんな嵐にも負けない太い幹を育てるための採用です。

根本的に事業を続けていくための採用をするためには、これまでの「求人=広告」という図式を捨てなければなりません。代わりに、「採用=ブランディング」という図式を脳内にインストールしてください。

北海道というマーケットにおいて、生存し続けるための条件は、もはや良い商品を作っていることだけでは足りません。自分たちが何者であり、どのような歴史と文脈を持ち、どのような社会課題を解決しようとしているのか。それを、余すところなく、かつ魅力的に発信し続ける能力が、そのまま企業の寿命を決定づける時代になったのです。

「うちは地味な地場産業だから、発信することなんて何もない」

そんな風に思っている社長さんも多いでしょう。でも、それは大きな勘違いです。

北海道で数十年間、事業を継続してきたという事実そのものが、とてつもない価値を持っています。そこには必ず、創業者の葛藤があり、地域の人々との絆があり、守り抜いてきた技術や想いがあるはずです。それこそが、東京の大手企業がどれだけお金を積んでも手に入れられない、その会社だけの独自の文脈です。

いま、多くの優秀なビジネスマン、特に東京や大阪の喧騒の中で働く人々は、喉から手が出るほど手触り感のある仕事を求めています。自分が誰のために働き、誰に感謝され、どのような変化を地域に生み出しているのか。それを肌で感じられる場所を探しているのです。

彼らにとって、北海道というフィールドは、宝の山に見えています。未解決の課題が山積みで、自分が介在する価値がはっきりと見える。そんな場所に、自分のスキルを投下したいと願っている。でも、彼らはあなたの会社の存在を知りません。あるいは、知っていても、中身が全く見えないから、怖くて飛び込めないのです。

だからこそ、惜しみなく発信し続けることが大事なのです。

「われわれはこんな歴史があって、いまこんな会社をやっています」

「事業の課題はこれで、こんな人が必要なんです」

「今はここがうまくいっていないけれど、本気でがんばっています」

こうした、温度感のある、血の通ったメッセージを世界に向けて発信すること。これが、採用ブランディングの第一歩です。かっこいい言葉を並べる必要はありません。むしろ、弱みや失敗を正直にさらけ出すことの方が、今の時代には深く、強く響きます。

"弱さ"という武器を握れ

さて、採用ブランディングの重要性が分かったところで、具体的な中身の話に入りましょう。多くの経営者がここで間違いを犯します。「ブランディングなんだから、自社の良いところをたくさん見せなきゃいけない」と思い込み、ホームページにキラキラした社員の笑顔を並べ、ホワイト企業であることを必死にアピールするのです。

でも、考えてみてください。

そんな「どこかで見たような綺麗な情報」に、いまの賢い求職者が惹かれるでしょうか。

答えはノーです。むしろ、あまりにも整いすぎた情報は、彼らにとって「嘘くさい広告」としてスルーされる対象になります。私たちが発信すべきは、自社の輝かしい成功ではなく、むしろ、いま直面している生々しい悩みです。

「事業のこの部分が、実は全然うまくいっていません」

「社内のこの仕組みが古すぎて、現場が疲弊しています」

「新しいことに挑戦したいけれど、旗振りができるリーダーが一人もいません」

こうした弱みをさらけ出すことは、一見するとリスクに見えるかもしれません。でも、これこそが最高のブランディングになるのです。なぜなら、本当に優秀な人材、つまり現状を変える力を持った人は、完成された場所ではなく、自分が介入して変える余地がある場所、を探しているからです。

「この会社は、自分の力を必要としているんだ」

「この課題を解決できたら、最高に面白いだろうな」

そんな風に思わせることができたら、勝ちです。

北海道の企業にとって、最大の強みは「未完成さ」にあります。人口減少、高齢化、物流の壁、そして広大な土地ゆえの非効率。これらは一見するとデメリットですが、視点を変えれば、すべてが「解決すべき価値のある問い」になります。その問いを隠すのではなく、むしろ誇らしげに提示してください。

「私たちは、この北海道の不便さを、この技術の力で解決しようとしています。でも、まだやり方が分からなくて、もがいています。一緒に道を探してくれませんか?」

この一言が、東京で、自分の仕事は本当に世の中の役に立っているのだろうか、と自問自答している優秀なビジネスマンの胸を、深く突き刺すのです。「北海道で良い」ではなく、「北海道が良い、この会社が良い」と言わせるための引力は、誠実な告白からしか生まれません。

ターゲットは東京に疲れたエリートではなく「大志を抱いている者」

ここで、私たちが呼び込むべき人材について、解像度を上げていきましょう。よく東京のバリバリ働いているビジネスマンが欲しいという声を聞きますが、ここにも定義のズレがあります。私たちが狙うべきは、単にスキルが高い人ではありません。自分の人生の手触りを取り戻したいと願っている、志ある者です。

東京や大阪といった大都市で、巨大な組織の歯車として働いている人々の中には、猛烈な孤独感と虚しさを抱えている人が驚くほどたくさんいます。

「自分が今日作った資料は、一体誰を幸せにしたのか」

「満員電車に揺られ、深夜まで働き、このまま人生が終わるのか」

そんな閉塞感の中で、彼らは「もっと自分が主体的に関われる場所」「感謝が直接届く場所」を切望しています。

彼らにとって、北海道という場所は、単なる観光地ではなく自分自身を試せる最後のフロンティアに映ります。

しかし、前述した通り、彼らを「副業」という片手間の関わり方で呼び込んでも、事業は変わりません。私たちが目指すべきは、彼らをデュアルライフ(二拠点居住)やUIターンという形で、深く事業に巻き込むことです。

そのためには、発信の仕方を工夫しなければなりません。彼らの生活圏に届く言葉、彼らの悩みに共感する文脈で語る必要があります。

「北海道に来れば、満員電車はありません」という安易なアピールはNGでしょうね。そんなことよりも、ここでは、あなたの決断が、翌日には地域の人々の笑顔に変わります。その責任の重さと喜びを、味わってみませんかと、仕事の質的な手応えを訴えるべきなのです。

道外の人から見て、北海道の企業はブラックボックスです。リージョナルキャリアや北海道共創パートナーズ、ジョブキタなど求人情報データベースはあるものの、リアルなイメージを想起させるほどの深い情報がない。外から中が見えない、未知の領域。だからこそ、その扉をこちらから大きく開き、中の様子を惜しげもなく見せ続けることが重要です。

歴史、文脈、社長のキャラクター、社員の葛藤。それらをSNSやnote、動画などを通じて、日常的に発信していく。その積み重ねが「安心感」となり、この会社なら、自分の人生を賭けてもいいかもしれないという信頼に繋がっていくのです。

ブランディングとは、一朝一夕でできるものではありません。でも、コツコツと続けた情報発信は、やがて巨大な磁力となって、あなたが本当に必要とする幹の人材を、磁石のように必ず吸い寄せ始めるはずです。

受け入れインフラの構築術

ブランディングで人を惹きつけることができても、その後に待ち構えているのが受け入れ体制という現実の壁です。ここが整備されていないと、せっかく入った優秀な人材も、砂に水が染み込むように、あっという間に去っていきます。

これからの北海道企業にとって、受け入れ体制の構築は人事の仕事ではありません。会社の「生存戦略」そのものです。

まず取り組むべきは、デュアルライフ(二拠点居住)を前提とした働き方のデザインです

いきなり「会社を辞めて北海道に移住してください」というのは、相手にとってあまりにもリスクが高い。子どもの教育、パートナーの仕事、これまでの人間関係。それらをすべて捨てて来いというのは、今の時代、無理があります。

だからこそ、会社側がまずは月の半分を北海道で、半分を東京でという働き方を、制度として、そして何より「文化」として受け入れる体制を作るのです。

これは単にリモートワークを許可する、というレベルの話ではありません。北海道にいなくても仕事が回る仕組み北海道にいるからこそ得られる価値を、絶妙なバランスで両立させることを指します。

次に、ワーキングスペースの確保と周辺環境の整備です。

これは自社だけで完結させる必要はありません。地域の自治体や、他の地場企業と協力し、道外から来る人が快適に、かつ刺激を受けながら働ける場所を整えるのです。

自治体に協力してもらうことは、今後の採用において極めて重要です。住居の確保、子育て支援、コミュニティへの接続。会社がすべてを背負うのではなく、地域全体が「新しい仲間を受け入れる器」として機能するように働きかけるリーダーシップが、社長には求められます。

そして、最も重要なのが同調圧力の排除です。

地方企業にありがちな、「これまでのやり方が絶対だ」「新参者はまず空気を読め」といった古い体質。これが、外から来た優秀な人材を最も失望させる要因です。

ブランディングを前提とするならば、私たちは「自分たちのやり方に染める」のではなく、外の風を取り入れて、自分たち自身が変化することを楽しまなければなりません

「東京のビジネスマンが欲しい」と言っている企業の多くが、実は「自分の言うことを聞く、都合のいい優秀な駒」を探しています。でも、そんな人は来ません。

本当に欲しいのは、あなたと一緒に事業の根幹を議論し、時にはあなたに反対し、新しい風を吹き込んでくれるパートナーのはずです。そのための心の「余白」を、受け入れ側である私たちが早期に作っておくこと。それが、優秀な人材に選ばれ続けるための最低条件です。

やるべきことは山積みです。

制度の設計、ITインフラの整備、自治体との交渉、そして社内の意識改革。

でも、これらを一つずつクリアしていくプロセスそのものが、最強のブランディングになります。

あの会社は、新しい時代の働き方を本気で作ろうとしている

その噂が広まるだけで、あなたの会社の採用競争力は、次元の違うレベルへと引き上げられるのです。

北海道というマーケットを追い風に変える

私たちは、北海道が「人口500万人を切り、衰退していく場所」であるという現実を、ポジティブに捉え直す必要があります。

衰退しているということは、既存のシステムが壊れ、新しい芽が生まれる余地があるということです。

これまでの北海道の採用は、どこか「弱気」でした。

「人が採れないのは、北海道だから仕方がない」

「給料が低いから、いい人は来ない」

そんな言い訳が、経営者の口からこぼれていました。

でも、本当にそうでしょうか。

いま、世界中で持続可能性(サステナビリティ)が叫ばれています。

大量生産、大量消費の都市型モデルが限界を迎え、多くの人々が「自然と共生し、人間らしく働く形」を模索しています。

その答えを体現できる場所が、この北海道にはすでにあるのです。

私たちが発信すべきは、北海道ならではの、新しい経済圏の作り方です。

東京のビジネスモデルをそのまま北海道に持ち込むのではなく、この土地の歴史や文脈を活かし、ITやAIを駆使して、少人数でも高付加価値を生み出す幹の事業を作る。

そのプロセスに、いま最もエネルギーのある人材が反応しています。

海外の人材に対しても同じです。

彼らにとって北海道は、世界に冠たる観光資源を持つだけでなく、食、エネルギー、環境といった、21世紀の最重要テーマが集まる魅力的な研究所に見えています。

「自分たちの会社は、北海道の資源を活かして、世界の課題を解決しようとしている」

その大義名分を掲げることができれば、国境を越えて最高の人材が集まってきます。

ブランディングとは、単なる飾りではなく、自分たちが何に命を懸けているのかという旗印です。

旗が鮮明であればあるほど、遠くにいる仲間にも見つけてもらえます。

反対に、旗がボロボロだったり、どこにでもあるような色だったりすれば、誰も集まってはきません。

北海道というマーケットが縮小しているからこそ、私たちは数の論理を捨て、質の追求に振り切るべきです。

100人の「なんとなく来た人」よりも、1人の「この事業を自分の人生だと思える人」を

その1人を惹きつけるためのブランディングに、全エネルギーを注いでください。

これから、北海道で良い、ではなく「北海道が最高だ」と言い切る企業が、次々と現れるでしょう。

そんな企業が、地域を牽引し、衰退のシナリオを書き換えていく。

その主役は、他の誰でもない、いまこの文章を読んでいるあなたと私なのです。

AI時代に選ばれる会社がやっている、たった一つの発信術

いま、情報の届き方は歴史的な転換点を迎えています。皆さんも感じている通り、Googleでキーワードを検索して上位のサイトを順番にクリックする、という従来の「ググる」文化が、急速に終わりを迎えようとしています。代わりに台頭してきたのが、ChatGPTやPerplexity、そしてGoogle自身のSGEといった「生成AIによる検索」です。

これが採用にどう関係するのか。実は、めちゃくちゃ関係があります。

これからの時代、優秀な人材は「北海道 おすすめ 企業」なんてキーワードで検索はしません。代わりにAIに向かってこう問いかけます。私は東京のIT企業で5年働き、地方創生に興味がある。北海道で、単なる労働力としてではなく、経営課題にダイレクトに関われる面白い会社はどこ?と。

AIは、インターネット上の膨大な情報をスキャンし、最も信頼性が高く、具体的で、唯一無二の物語を持っている会社の情報をピックアップして、彼らに回答として提示します。この時、AIに選ばれるかどうかが、あなたの会社の運命を分けます。

AIに選ばれるための条件。それは、綺麗に整えられた広告用の文章ではありません。むしろその逆です。誰にも真似できない、具体的で生々しい一次情報がどれだけネット上に存在しているか。これに尽きます。

例えば、あなたの会社がnoteや自社サイトで、「2025年、私たちは新規事業でこんな手痛い失敗をした。損失はこれくらいで、原因はこうだった。でも、そこからこんな教訓を得て、いまはこの課題を解決できる人を切実に探している」という、泥臭いドキュメンタリーを公開していたとします。

AIは、その記事を「極めて価値の高い、この会社にしかない唯一無二の情報」として認識します。そして、先ほどの求職者の問いに対して、「〇〇社という会社は、現在進行形でこのような課題に直面しており、あなたの経験を活かせる可能性が高いです」と、あなたの会社の名前を挙げてくれるのです。

これが、私が考えるGEO(生成AI最適化)LLMO(大規模言語モデル最適化)の本質です。

テクニックで上位表示を狙う時代は終わりました。これからは、どれだけ誠実な言葉をネット上の海に放流できるかの勝負です。

「うちは小さいから」「文章が下手だから」と尻込みする必要は全くありません。むしろ、洗練されていない、社長自身の言葉、現場の社員の肉声であればあるほど、AIはその希少性を評価し、志ある人材へと繋いでくれます。

週に一回で構いません。あなたの会社の「歴史」「文脈」「現在の苦悩」を、自分の言葉で書き綴ってください。それが数年後、大手求人媒体に何百万払っても得られないような、最強の「採用資産」となってあなたを助けてくれるはずです。

やるべきことは「山」ほどある

採用ブランディングによって「この会社面白そうだな」と思ってもらえたら、次に必要なのは、彼らがスムーズに着地するための「滑走路」を整備することです。前述した通り、これからは北海道で良いではなく北海道が良い」という人を受け入れる体制を、早期に、かつ戦略的に作っておくことが生存戦略になります。

ここでもう一度、冒頭の皆さんの悩みに立ち返ってみましょう。

「東京のビジネスマンが欲しいと言っているが、現実はうまくいかない」

その原因の多くは、会社側が「移住か否か」の100か0かの決断を迫りすぎていることにあります。

これからの時代、北海道の企業が取るべき最強の陣形は、「デュアルライフ(二拠点居住)」をデフォルトの選択肢に組み込むことです。

具体的には、月のうち一週間は北海道のオフィスに出社し、残りの三週間は東京の自宅でリモートで働く。あるいは、プロジェクトの山場だけ北海道に滞在し、それ以外は自由な場所で働く。こうした、東京でのキャリアや生活を維持しながら、北海道の課題解決に深くコミットできる「入り口」を、就業規則レベルで整えておくのです。

そして、ここで絶対に忘れてはならないのが、自治体との強力なタッグです。

北海道の各自治体は、人口減少に危機感を抱き、移住支援や関係人口創出のために多額の予算を投じています。でも、自治体だけでは「働く場所」を提供できません。一方で、企業側には「仕事」はあっても、移住者の生活を支えるための「住居」や「コミュニティ」を整えるノウハウが足りない。

この両者が、いまこそ「点」ではなく「面」で繋がるべきなのです。

「私たちの会社には、こんな面白い課題と仕事があります。自治体さん、彼らが二拠点居住を始めるためのワーキングスペースや、一時的な滞在先を一緒に用意してくれませんか?」

社長がそう声を上げ、自治体を巻き込んでいく。

やるべきことは、本当に山積みです。

ワーキングスペースの整備、地元の不動産ネットワークを活用した住居確保、子どもの短期留学制度の活用、さらには、道外から来た人が孤立しないための地元のコミュニティへの橋渡し。

これらは一見、採用とは無関係な「お節介」に見えるかもしれません。

しかし、これらすべてが合わさって、初めて「北海道で働く」という体験価値が完成します。

このインフラを早期に作り上げた企業は、圧倒的な競争優位性を持ちます。

なぜなら、同じような条件の会社が二つあったとき、人は間違いなく「自分の生活を丸ごと受け入れてくれる、手厚いインフラがある会社」を選ぶからです。

「ブランディングを前提として、いかにこれから道外からくる人を受け入れる体制を早期につくっておくか」

これが、これからの10年、あなたの会社が生き残れるかどうかの分かれ目になります。

淘汰される企業と、100年続く企業の決定的な違い

ここまで読み進めてくださった皆さんに、最後に一つ、問いかけたいことがあります。

あなたは、自分の会社を、この北海道という地で、何年続けていきたいですか?

もし、「自分の代で終わってもいい」「あと数年、なんとか回ればいい」と思っているのであれば、これまで通りの枝葉の採用を続けてください。リクナビやIndeedに広告を出し、穴が空いたら適当に埋め、人が辞めたらまた広告を出す。その繰り返しの中で、ゆっくりと、しかし確実に、会社の体力は削られ、やがて静かに幕を下ろすことになるでしょう。

でも、もしあなたが、「この会社を、次の世代に繋げたい」「北海道を、もう一度活気ある場所にしたい」「自分たちが守ってきた技術や想いを、100年先まで残したい」と願うのであれば、今この瞬間から、これまでのやり方を捨ててください。

淘汰される企業と、100年続く企業の決定的な違い。

それは、採用を経営の最優先事項と捉え、自らの物語を語る覚悟があるか。ただそれだけです

これからの北海道は、決して楽な環境ではありません。人口はさらに減り、人手不足はさらに深刻化します。でも、それは同時に、本当の価値を持っている会社が正当に評価され、選ばれる時代が来たということでもあります。

広告という薄っぺらい言葉の壁を突き破り、あなたの会社の「幹」にある想いを、世界に向けて叫んでください。

「今はここがうまくいっていないけれど、私たちはこんな未来を信じている。あなたの力を貸してほしい」と。

その誠実な言葉は、必ず誰かの胸に届きます。

東京のオフィスで、あるいは世界のどこかで、あなたの旗印が見つかるのを待っている、まだ見ぬ仲間が必ずいます。

北の大地から、新しい「働く」のスタンダードを創ろう

北海道は、いま大きな転換点に立っています。

人口減少、500万人の壁、高齢化。これらはすべて、日本全体がいずれ直面する課題の前倒しに過ぎません。

だからこそ、いま北海道で私たちが生み出す「採用の新しい形」は、日本の、そして世界の地方都市を救う「希望の光」になり得ます。

従来の枝葉の視点を捨て、幹となる採用ブランディングを。

安易な外部人材への依存を捨て、共に歩む仲間への投資を。

「北海道だからできない」という言い訳を捨て、「北海道だからこそできる」という誇りを。

やるべきことは山積みですが、これほどまでにワクワクする挑戦も、他にはないはずです。

外資系コンサルタントという肩書きを一度横に置いて、一人の道産子として、私は皆さんと共にこの未来を創っていきたいと願っています。北海道というこの愛すべき場所を、あきらめない。その一歩を、今日、ここから踏み出していきましょう。

あなたの会社の歴史を語る最初の記事を、いま、書き始めてみませんか?

その一行が、あなたの会社の、そして北海道の未来を塗り替える始まりになるはずです。

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