2025-11-28_#1145_―同意書、病院案内など病院から渡される紙が多すぎる―
紙の書籍から電子書籍へ、紙の新聞からWeb上での電子新聞へ、脱紙文化が進んでいます。けれども医療現場では未だに多くの紙が使われています。
Voicyパーソナリティの木下さんの放送では、新聞、書籍の紙媒体の売上が落ちていることを話していました。
放送で取り上げられていた記事も確認してみると、新聞の購読者の減少数が想定以上でした。
例えば、読売新聞では2024年1月には607万部であったものが、2025年8月には537万部と12%減少でした。
データからも減少傾向がわかりました。
しかしながら、医療現場では未だに服薬日誌、同意書などの紙を前提とした文化が根強く残っています。
私自身、病院薬剤師として10年間、地方の中小病院で勤務してきました。
病院側の職員として働いてきて、紙資材の多さに驚きました。
紙文化はやめるべきだと私は考えています。
近年、製薬企業側ではアプリ開発を進めているようです。
とはいえ、私は統一プラットフォームでのアプリ開発を推進すべきだと考えています。
紙文化が未だに続くのは
紙文化が続いている要因を2つ考えています。1つは顧客側の問題、もう1つは医療従事者側の問題です。
まず顧客側の問題としては、デジタルに慣れない顧客が一定数いることです。
やはり病院は主に高齢者が通院するので、メイン顧客が高齢者になります。
高齢者ではなかなかデジタルに慣れない方もいます。
私が病院薬剤師として勤務していた時、デジタル機器が全くわからない患者さんに複数名遭遇したことがあります。
今ではセルフレジなどが少しずつ導入されつつあり、デジタル機器の使い方に慣れている人も増えているとは思います。
しかしながら、デジタル機器に対して全く学ぼうとしない人もいます。
そういった人に対して病院側は、紙媒体に切り替えて対応します。
紙媒体に切り替えることでかえって、デジタル化を進める要因を潰しているのではないでしょうか。
そういった逃げ道があることで、デジタルと紙の両方の媒体が残り、それにかかる管理が増えます。
もう1つは医療従事者側の問題です。医療従事者特有かもしれませんが、医療従事者になればなるほど、デジタル機器、IT機器に理解がない人が多いです。
電子カルテはデジタル機器ですが、電子カルテを十分に使いこなせない医療従事者が意外と多いです。
一般的な民間企業でよく使われるMS Officeに対しても、十分に使いこなせていません。
Excel、Word、PowerPointなどありますが、普段から使用することはないです。
そのため、ExcelでExcel方眼紙をつくり、そこに申請書のフォーマットを入れたり、気持ちの悪いフォントの配置をした院内掲示書類をWordで作ったりしています。
病院では、民間企業のように一人一台パソコンを支給されていません。
部長、課長級、総務系だとそれぞれ個々人にパソコンを与えられています。
しかし、病院の構成人数の大多数を占める看護師は、病棟で何台と上限数が決められています。
そうするとパソコンを扱う人が十分におらず、病院全体としてIT機器に関して理解が深まりません。
手軽に書ける紙媒体がまだまだ根強く残ります。
他にも、病院自体のリソースが少なく、IT機器に関してコストをかけられない要因もあります。
コスト削減のため、安価な紙運用が好まれることが多いです。
製薬企業側にも問題がある
先ほど紙文化の原因として2つの要因をあげました。それ以外にも製薬企業側も紙文化に寄与していると思います。
病院側がコストのため紙媒体を重宝しているのか、高齢者のために紙媒体を重宝しているのかどちらが先かはわかりません。
いずれにしても製薬企業側から病院側に供給される資材がほぼ紙媒体であることも大きな問題であると考えています。
製薬企業側は、病院側にプロモーションの一種で資料を配ることもあります。また、患者さん用の説明冊子、服薬日誌などの資材を提供することもあります。
問題なのはこれらすべてが紙媒体であることです。
紙媒体なので、病院側で在庫管理をする手間が発生したり、資料をもらっても必要不要なものが混在してそれを判別する手間が発生したりします。
病院薬剤師のとき、8年間医薬品情報室で勤務していました。
医薬品情報室では、医薬品の情報を収集・分析する部門です。
医師などの医療従事者から医薬品の質問を受けつけて、一括回答していました。
その特性上、製薬企業のMRの方との接点が多かったです。MRの方から毎週のように製品パンフレットや添付文書の改訂情報などを紙媒体でもらっていました。
1ヶ月も経つと、医薬品情報をストックしているトレーが紙媒体で満杯になり、情報の取捨選別をしていました。
このように紙媒体が主流であることがかなり問題があります。
病院側が紙で要望するから製薬企業側が紙媒体で作るのか、製薬企業側が紙媒体が有効だから紙媒体で病院側に配るのかは不明です。
どちらにしても紙媒体があふれる環境です。
最近では、製薬企業側もアプリ開発を進めているようです。
服薬日誌や薬の説明などをアプリ上で済ませるようにしています。
その流れはとても良いと感じています。
服薬日誌、薬の説明アプリについて思うこと
紙文化からの脱却においては、アプリ開発は良いことだと思います。
しかしながら、アプリでも問題はあります。
それは、製薬企業側が各社それぞれアプリを作っていることです。
服用している薬毎にアプリの数が増える状態です。
おそらく製薬企業側は、各社アプリ開発会社に委託して作っているものだと推察しています。
薬でも同じような効き目の薬もあるので、製薬企業側が各社個別ではなく、統一したプラットフォームでアプリ開発すればよいと考えています。
また、製薬企業側が共同で出資し、アプリ開発をすれば、コストも少なく済むのではないでしょうか。
そうすれば、薬毎にアプリを追加する必要はないです。
1つのプラットフォーム上で、服用する薬を登録して完結させる。アプリはそのプラットフォームをダウンロードするだけでよい形にすればいいはずです。
同じ服薬日誌であっても、製薬企業毎に記載する項目やレイアウトが異なります。これについてもある程度統一化し、入力する患者さんが混乱しないようにすべきです。
まとめ
医療現場では、紙文化がまだまだ根強くあります。紙媒体ではデジタルのように検索性、見読性など劣るところもあります。
情報を累積して持つことに意味があるので、紙文化をやめて、速やかにデジタルへ完全移行してほしいと思っています。
製薬企業側も紙資材の在庫を抱えるコストも高くつくし、紙資材の配送コストも高くつきます。
アプリ開発にシフトしているのは良い流れですが、統一プラットフォームを導入し、患者さんにとってアプリ単体というよりも、俯瞰してみて全体として利便性の高いアプリを作ってほしいと思います。
