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AIの重心はGPUからメモリへ動いたのか? | NVIDIA決算とナラティブを精査し、恩恵を受ける80銘柄を地図にする

2026年5月21日。NVIDIA(NVDA)が2027会計年度第1四半期の決算を出した。

売上820億ドル、前年同期比プラス85%。データセンター部門は750億ドル、前年比プラス92%でほぼ倍。コンセンサスは全項目で抜いた。神決算だ。

(…神決算にもかかわらず、株価はいつもどおり下落したがそれはもういいだろう)


Jensen Huangはクロージングで、こう言い切った。

需要はパラボリック(放物線的)になっている。

ただ、この決算の本当のメッセージは、売上の数字そのものではなかった。

ひとつは、Vera CPUという新しい柱だ。スタンドアロンで今年だけ200億ドル近く、TAMは2000億ドル。NVIDIAは「世界最大のCPUサプライヤーになる道筋が見えた」と宣言した。

もうひとつは、サプライチェーンの囲い込みだ。在庫購入コミットと前払金を含む総供給枠は、1,450億ドルへ膨らんだ。Jensenは「工場が作れるだけのHBMを、我々はすべて買う」と言い続けている。

そして決算の翌日、X.comのタイムラインに、一枚の表が貼られた。

NVL72ラックの部品表を、現行世代と次世代で並べたものだ。メモリの行がプラス435%と赤く塗られていた。

その表に、みんな同じ一行を添えていた。

「AIラックの重心が、GPUからメモリへ移った」

HBM4は高騰している。Vera CPUはLPDDR5Xを大量に背負う。だから、ラックの価値の出どころがGPUからメモリ側へ動いている、という読みだ。

この見方は、どこまで正しいのか。そして正しいとして、誰が恩恵を受けるのか。

この論考では、まずNVIDIAの決算メッセージと、Xを駆け巡ったこのナラティブを精査する。そのうえで、ラックの原価表という一枚の証拠から私が気づいたことを示し、最後に、重心の移動先で恩恵を受けうる日本銘柄、アメリカ銘柄、台湾銘柄など、グローバル80銘柄を、二重のリングとして一気に投資地図に載せてみたいと思う。

原価表が、静かに書き換わっていた

Xに貼られていた、あの表。出どころは、Morgan Stanleyのリサーチだ。NVIDIAのNVL72ラックの部品表(Bill of Materials)を、現行のGB300世代と次世代のVR200世代で並べている。

合計から見ていく。

  • GB300 NVL72: 399万4,551ドル

  • VR200 NVL72: 780万3,148ドル

一台あたりの部品コストが、プラス95%ほぼ倍になる。

ラック総額はGB300からVR200で+95%

ここまでは、誰でも予想する。次世代だから高い。問題は中身の内訳だ。どこが値上がりして、ほぼ倍を作っているのか。

増分の大きい順に並べてみる。

  • メモリ: 37万3,939ドル → 200万1,600ドル(プラス435%

  • PCB(基板): 3万5,100ドル → 11万6,730ドル(プラス233%

  • MLCC(積層セラミックコンデンサ): 1,530ドル → 4,320ドル(プラス182%

  • NVLinkスイッチチップ: 6万4,800ドル → 14万4,000ドル(プラス122%)

  • その他ネットワーキングチップ: 26万1,000ドル → 57万6,000ドル(プラス121%)

  • ABF基板: 1万1,160ドル → 2万340ドル(プラス82%)

  • GPU: 252万ドル → 396万ドル(プラス57%)

GPUの伸びが小さい。

(…なんということだ)

これは直感に反する。NVIDIAのラックなのだから、値上がりの主役もGPUのはずだ。実際、絶対額では396万ドルのGPUが最大の項目に変わりはない。

でも、増分の主役はGPUではないメモリの+435%だ。

メモリはラック原価で+435%
値上がりの序列:PCB +233%、MLCC +182%ほか

ラック一台に占めるメモリの比率を計算してみる。

  • GB300: 37万3,939 ÷ 399万4,551 = 9.4%

  • VR200: 200万1,600 ÷ 780万3,148 = 25.6%

メモリが、ラック原価の1割未満から、4分の1超へ。

逆にGPUの比率は、約63%から約51%へ下がっている。

重心の移動:メモリ比率 9.4%→25.6%、GPU 63%→51%

(AI半導体の主役が、薄まってる…)

ここに、投資家が見落としがちな構造がある。

ラックの総額がほぼ倍になるとき、その「増分」がどこに落ちるかで、新しい利益のプールができる場所が決まる。今回、その増分の大半はメモリと、配線(PCB)と、受動部品(MLCC)に落ちた。

ラックはこれまで「GPUの箱」だった。これからは「メモリとデータ配線と受動部品の塊」に重心が移っていく。原価表は、それを静かに告げていた。

ここからは、原価の内部にせまり、どの企業が恩恵を受けうるのか精査していく。

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