見出し画像

「復活」か「終焉」か | Intelが見せた二面性とNVIDIA提携の真意

2026年1月23日、東京の朝。私は自作の決算分析アプリを見ながら目を疑った。

Intel Q4 2025 の決算だ。

売上高$13.7B、コンセンサス上回る。
Non-GAAP EPS $0.15、予想$0.08を87.5%上回る。
粗利益率も140ベーシスポイント上振れ。

今期の数字だけ見れば、文句のつけようがない好決算だ。

しかし、決算発表から数時間後、株価は15%以上急落した。2024年8月以来、最悪の下落幅だ。

というのも、Intelが発表したQ1 2026ガイダンスは、市場コンセンサスを約$300M下回る$11.7B〜$12.7Bだった。さらにCFO David Zinsnerは決算説明会でこう述べた。

「供給問題が2026年の売上機会を制限する可能性がある」

市場は好決算ではなく、このガイダンスと供給制約に反応した。しかし、Intelを十数年追ってきた私は、この下落の中にむしろ投資機会を感じていた。

なぜか。

本稿では、Intel Q4 2025決算の「二面性」を読み解く。なぜ好決算が売りを招いたのか。Diamond Rapidsの「簡素化戦略」とNVIDIA提携は何を意味するのか。そして、DIGITIMESがサプライチェーン筋の話として報じた「NVIDIAがFeynmanアーキテクチャでIntelとの協業を暫定的に確定」というニュース。長期投資家にとって今が「買い時」なのか「待つべき」なのかを、技術的・財務的観点から分析する。


決算の二面性: 好決算が売りを招いた理由

EPS予想を87.5%上回る好決算。なのに株価は15-17%下落した。

この矛盾の中に、Intelの本質的な課題と可能性が凝縮されている。

表面: 予想を上回った数字たち

Q4 2025決算の数字を整理しよう。

売上高は$13.7Bで、前年同期比4.1%減ではあるものの、市場コンセンサス$13.6Bを約$34M上回った。Non-GAAP EPSは$0.15で、予想$0.08を大幅に超えた。粗利益率も37.9%と、会社ガイダンスを140ベーシスポイント上回る水準だ。

セグメント別に見ると、注目すべきはDCAI(データセンター・AI)事業だ。売上$4.7Bで前年同期比9%増。クラウドおよびエンタープライズ向けの需要が堅調だったことを示している。

一方、CCG(クライアントコンピューティング)は$8.2Bで7%減。PC市場の成熟化を反映している。

現金および短期投資残高は$37.4B。流動性に不安はない。

これだけ見れば、「悪くない決算」どころか「良い決算」だ。

では、なぜ市場はこれほど激しく売ったのか。

裏面: Q1ガイダンスが示した現実

答えはQ1 2026ガイダンスにある。

Intelは次の四半期の売上を$11.7B〜$12.7B、中央値$12.2Bと発表した。市場コンセンサス$12.51Bを約$300M下回る水準だ。

さらに深刻なのは、CFO David Zinsnerの発言だ。

「歩留まりは供給を満たすには十分だが、適切な水準のマージンを確保するには不十分だ」

この発言は二重の意味を持つ。

一つは、製品は作れるが、利益率は圧迫されるということ。もう一つは、需要に対して供給が追いついていない可能性があるということだ。

実際、CEO Lip-Bu Tanも決算説明会で、供給制約により需要を完全に満たせていない状況を認めている。

市場の反応は正しかったのか

市場の反応を検証しよう。

短期的には、確かに懸念材料は多い。Q1ガイダンスの弱さ、供給制約、粗利益率低下(Q1見通し34.5%)。これらを見れば、売りたくなる気持ちは理解できる。

しかし、長期投資家として見るべきポイントは別にある。

DCAI事業が9%成長しているという事実。これは、Intelがサーバー市場で一定の競争力を維持していることを示す。確かにAMDにシェアを奪われ続けてはいる。Q3 2025時点でAMDのサーバーCPU市場シェアは27.8%まで上昇した。しかしIntelは依然として72.2%を維持している。

供給制約は一時的な要因だ。歩留まりが改善すれば解消する。CFOも「歩留まりは2026年末に目標水準、2027年に業界標準に達する見込み」と述べている。

短期の数字と長期のトレンド、どちらを見るべきか。

長期投資家にとって、答えは明らかだ。では、その長期のトレンドを理解するために、Intelが進める製品戦略の転換を見ていこう。

ここから先は

11,045字 / 5画像
この記事のみ ¥ 980
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

■ 目的\ 私のエンジニア兼NVIDIA長期投資家としての経験、知識を活用して、各種企業投資分析、投…

定期購読プラン

¥750 / 月

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?