$0.01で$1000億を創造する錬金術 ―― OpenAIとAMDが行う『逆ベンダーファイナンス』の衝撃
2025年10月6日月曜日の朝、プレマーケットが開くとAMD株は異常な動きを見せた。前週末の終値$164.67から一気に35%上昇し、$222で取引が始まったのである。市場に衝撃が走った瞬間、OpenAIとAMDが発表した6ギガワット規模のGPU供給契約の内容を読み込んだ投資家たちは、これが単なる供給契約ではないことを理解した。

1億6000万株のワラント、行使価格わずか$0.01。これは事実上、OpenAIがAMDの10%をほとんとタダで取得できる権利を意味する。しかし、この一見すると理解不能な契約構造には、AIインフラ構築における資金調達の根本的な新たな道筋が隠されていた。
本稿では、OpenAIとAMDの契約モデルの詳細に迫りつつ、今後のAI企業群の資金調達のトレンドの変化について追ってみたい。多種多用な資金調達方法が現れる中、どのように投資家は立ち振る舞えばいいのか、その参考になれば幸いである。
循環取引批判を超えた戦略的一体化
従来、ハードウェアベンダーが顧客に資金を提供する「ベンダーファイナンス」は珍しくない。しかし、OpenAIとAMDが構築したモデルは、その逆である。顧客であるOpenAIが、サプライヤーであるAMDの株式を取得し、その株価上昇益でインフラ投資資金を調達する。本稿ではこれを「逆ベンダーファイナンスモデル」と呼びたい。

ワラントの権利確定は段階的で、最初の1ギガワット展開で第1トランシェが確定し、最終トランシェ確定には$600という株価目標達成が条件となる。現在の株価が約$200で推移していることを考えると、これは約3倍の上昇を意味する。一見すると野心的な目標に見えるが、5年間での達成を考えれば、年率約24%の成長率で到達可能な水準である。そして、株価が$600に達した場合、1株$0.01ドルで手に入れたOpenAIのAMD株の持分価値は約$1000億となるというわけだ。

Lisa Su CEOは、この契約について「真のwin-win」と表現した。AMDにとっては「数百億ドル」の収益が約束され、CFOのJean Hu氏は「今後数年間で数百億ドルの収益をもたらす」と述べている。1ギガワットあたり「2桁の数十億ドル」という表現から推定すると、6ギガワット全体で$600億から$1200億の収益となる可能性が高い。
一部のアナリストは「循環取引」への懸念を表明している。確かに、OpenAIがほぼタダで得たAMDの株を市場で売却することから調達した資金でAMDのGPUを購入するという構造は、一種の循環性を持つ。しかし、巧妙な点は、その資本は内部で循環しているわけではなく、株式売却という形で、循環の外部にいる投資家から調達しているのだ。まさに「錬金術」のようである。
また、AIインフラへの需要は確実に存在する。ChatGPTの週間アクティブユーザーは7億人を超え、企業向けAIサービスの市場は急拡大している。データセンターの建設と運営には莫大な資本が必要であり、従来の資金調達手法では限界があることも事実である。
この取引構造が成功すれば、他のAI企業も類似のモデルを採用する可能性は高い。今後、資金調達の多様性と複雑性が増し、AI関連企業に循環するマネー総量が増していくのは間違いないだろう。
NVIDIAの$1000億投資との戦略的相違
2025年9月22日、NVIDIAはOpenAIに対して$1000億を投資し、10ギガワットのシステムを供給することを発表していた。この取引では、NVIDIAが現金を投資してOpenAIの株式を取得する従来型のモデルが採用された。Jensen Huang CEOは「これは記念碑的な規模だ」と表現し、1ギガワットごとに$100億を段階的に投資する計画を明らかにした。
しかし、AMDのアプローチには独特の洗練さがある。NVIDIAが即座に巨額の現金を用意する必要があるのに対し、AMDは自社株の希薄化というコストで同等の効果を生み出している。10月6日の発表後、AMD株は23.71%上昇し、$634億以上の時価総額増加を記録した。希薄化による既存株主への影響(約10%)を考慮しても、市場はこの取引を極めてポジティブに評価したことになる。

また、興味深いのは、両社の技術的アプローチの違いである。
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