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展示会を変えるために、製造現場で働いてみた話


はじめまして。FACTREACHの宍戸直也です。

普段は事業会社で、製造業向けサービスのマーケティングと展示会を担当しています。

この3年間で、製造業向けの大規模展示会に出展担当として30回以上参加してきました。ターゲットや訴求を考えるところから、ブース構成、当日の接客、スタッフの動きまで、実際に自分で担当しています。

今でこそ、ターゲットや顧客課題から考え、訴求、ブース、接客、展示会後の営業まで組み立てることができるようになり、最初は100件ほどだったリード獲得数を最大約2,000件に、5%ほどだった商談化率も10〜15%まで増やすことができるようになりました。

ただ、最初からそうだったわけではありません。

むしろ、展示会を担当し始めた頃は、毎回かなり苦しかったです。

ブースをつくる。
パネルの原稿を用意する。
配布する資料をつくる。
社内で確認してもらう。
制作会社とやり取りする。

目の前の締切を一つずつ片づけ、どうにか本番を迎える。それだけで精一杯でした。

準備は終わっている。ブースもできている。来場者にも声をかけている。

それなのに、展示会がうまくいっているという実感がありませんでした。

今回は、そんな状態から展示会のやり方を見直し、約100件だったリード獲得数を最大約2,000件まで増やすまでに、何を考え、何を変えてきたのかを書きます。

きれいな成功談ではありません。

顧客のことをよく分からないまま展示会をつくっていた反省も、リードが増えたあとに新しく出てきた悩みも、できるだけそのまま書こうと思います。

展示会なのに、相手の話をほとんど聞けていなかった

当時の接客を振り返ると、ヒアリングというよりサービス説明でした。

相手が何に困っているのかを聞く前に、こちらが機能や特徴を話し始める。

一通り説明して、名刺をいただいて、次の来場者に声をかける。

会期中は、それをずっと繰り返していました。

もちろん、自分なりに一生懸命やっていました。

製品のことを勉強し、うまく説明できるように準備もしていました。

ただ、説明すればするほど、どこか一方的になっていきました。

こちらが伝えたいことは話せている。でも、その話が相手の課題に合っているのかは分からない。

名刺は集まる。でも、なぜ興味を持ってくれたのか、その後どう営業につながるのかが見えない。

終わったあとに残るのは、疲労感と名刺の束でした。

ブースの見栄えや資料の完成度には多くの時間を使っているのに、その展示会で本当に会いたい相手のことを、私は十分に分かっていませんでした。

そこが、ずっと感じていた「何か違う」の正体だったのだと思います。

展示会を変えるために、製造現場へ入った

次の展示会も同じやり方を続けたら、また同じ結果になる。

そう思い、ブースやコピーを考える前に、顧客課題とニーズを改めて調べることにしました。

資料やインターネットで調べるだけでは足りないと感じ、実際に製造現場で短期間働きました。現場の方へのインタビューも行いました。

何に困っているのか。
どの作業に時間がかかっているのか。
今のやり方の何が不便なのか。
何が変われば、現場の負担が軽くなるのか。

自分たちが何を売りたいかではなく、相手が日々どんなことに困っているのかを知るところから始めました。

正直、すぐに答えが出るものではありませんでした。

製造現場と一括りにしても、会社や工場、部署、役割によって状況は違います。

こちらが大きな課題だと思っていたことが、現場ではそれほど重く受け止められていないこともありました。逆に、こちらが見落としていた小さな不便が、毎日積み重なって大きな負担になっていることもありました。

現場に入ることで、それまで頭の中でつくっていた「顧客像」が、少しずつ崩れていきました。

でも、それでよかったのだと思います。

一度崩さなければ、本当に相手が困っていることを、自分たちの都合のいい言葉で解釈し続けていたはずです。

壁一面の情報をやめた

顧客の課題を少しずつ言葉にできるようになってから、ブースのつくり方も変えました。

展示会では、壁一面に情報が並んでいるブースをよく見ます。

製品名、機能、特徴、用途、導入実績。

出展する側の気持ちはよく分かります。せっかく高い費用を払って出展するのだから、できるだけ多くのことを伝えたくなります。

私もそうでした。

ただ、通路を歩く来場者からすると、その情報のほとんどは目に入りません。

来場者がブースを見るのは、ほんの一瞬です。

その一瞬で目に留まるのは、情報量が多いブースではありません。

「これ、自分たちの課題に関係がありそうだ」

そう思ったときです。

そこで、調査の中で見えてきた顧客の課題と、その解決策を、ブースに大きく出すようにしました。

製品の特徴を隅々まで説明するのではなく、最も伝えたいことを一つのメッセージに絞る。

誰の、どんな課題を解決するのか。

まずは、それだけを一瞬で伝える。

製品の詳しい説明は、足を止めてもらったあとでできます。

この順番に変えたことで、ブースで始まる会話も少しずつ変わっていきました。

接客も「説明」から変えた

ブースのメッセージを変えるだけでは、まだ足りませんでした。

せっかく足を止めてもらっても、以前と同じようにサービス説明ばかりしていれば、その後にはつながりません。

そこで、当日の接客も細かく決めました。

最初に何を聞くのか。
どの回答があればデモを見せるのか。
デモには何分かけるのか。
何を確認できたら、その場で商談を設定するのか。

展示会当日は忙しく、ゆっくり考えている余裕はありません。

だからこそ、できるだけ事前に決めておく必要がありました。

来場者全員に同じ説明をするのではなく、まず相手の話を聞く。その人の課題に合わせて、必要な部分だけを見せる。

何度も試し、修正しながら、この形に近づけていきました。

その結果、当初は約100件だったリード獲得数が、最大で約2,000件まで増えました。直近3回の大規模展示会でも、平均約1,300件を獲得しています。

約2,000件まで増えたときは、正直かなりうれしかったです。

100件ほどしか集められなかった頃から考えれば、自分たちがやってきたことが数字になって返ってきた感覚がありました。

ただ、そこで終わりではありませんでした。

2,000件集まったら、今度は本当に追うべき人が埋もれた

リードが増えるほど、別の問題が大きくなりました。

営業は、誰から連絡すればいいのか。

強い関心を持ってくれた人と、たまたま情報収集で立ち寄った人が、同じように名刺データとして並びます。

何に困っていたのか。
どの製品に関心を持ったのか。
導入時期はいつなのか。
検討はどこまで進んでいるのか。

こうした情報が残っていなければ、営業は優先順位をつけられません。

せっかく展示会で良い会話ができても、その内容が営業へ渡らなければ、また最初から説明をやり直すことになります。

リードを増やしたことで、今度は本当に追うべき人が、その中に埋もれるようになりました。

集めることには成功した。

でも、商談につなげる仕組みは、まだ十分ではなかった。

そこで、ヒアリング項目やデモの時間だけでなく、リードの判定基準、当日の商談設定ルール、営業への引き渡し方まで細かく決めるようになりました。

展示会当日の接客と、その後の営業を別々に考えない。

ここまで設計して、ようやく「展示会を商談につなげる」という考え方が形になってきました。

今は、この順番で展示会を考えている

ここまで遠回りして、今の私は、展示会を次の順番で考えています。

これは教科書から拾った流れではありません。

自分が展示会担当者として悩み、失敗し、改善してきた結果、ようやくたどり着いた順番です。

1.最初に、何を成果とするのか決める

以前は、リード件数が増えれば成功だと思っていました。

もちろん、リード数は大切です。

ただ、誰でもいいから名刺を集めても、営業は動けません。

どんな企業と会いたいのか。
どのような状態なら商談候補とするのか。
会期中に何件の商談を設定したいのか。
展示会後に、何件を商談化したいのか。

まずはここを決めます。

2.会いたい相手を具体的にする

「製造業の担当者」では、広すぎます。

どの業界なのか。
どの程度の企業規模なのか。
どの部署の、どの役職なのか。
どんな状況に置かれている人なのか。

ここが曖昧なままだと、ブースのメッセージも、接客で聞く内容も決まりません。

3.その人が本当に困っていることを調べる

自社の中だけで考えると、どうしても「自分たちが伝えたいこと」が中心になります。

営業に聞く。
既存顧客に話を聞く。
商談や失注理由を振り返る。
可能なら、実際の現場を見る。

私の場合は、製造現場で働いた経験が、展示会の考え方を変える大きなきっかけになりました。

4.最初に見せる言葉を一つに絞る

情報を減らすことが目的ではありません。

来場者が、自分の課題に関係があると一瞬で分かる状態をつくることが目的です。

誰の、どんな課題を解決するのか。

まずは、その一つを強く見せます。

5.そのメッセージを起点にブースをつくる

誰に何を伝えるかが決まってから、ブースを考えます。

通路から何が見えるのか。
どこで足を止めてもらうのか。
どこで話を聞くのか。
どこでデモを見せるのか。

見栄えだけではなく、来場者の動きと会話の流れを考えます。

6.接客をスタッフ任せにしない

展示会当日は、スタッフごとに接客の内容がばらつきます。

だから、最初の声かけ、ヒアリング項目、デモを見せる条件、デモの時間、商談設定の条件まで事前に決めます。

一方的な説明会にしないためにも、何を話すか以上に、何を聞くかを決めておくことが大切です。

7.営業へどう渡すかまで決める

誰を優先して追うのか。
誰が担当するのか。
いつまでに連絡するのか。
展示会で何を聞いたのか。
次に何を提案するのか。

ここまで決まっていなければ、展示会後にリードが止まります。

私は、リード数を増やしてから、この部分の重要さを痛感しました。

8.終わったら、数字と会話の両方を振り返る

リード数だけを見るのではなく、

狙っていた企業に会えたのか。
どのメッセージに反応があったのか。
どのヒアリングから商談につながったのか。
どこで来場者が離れたのか。

そこまで振り返ります。

展示会は、一度で完成するものではありません。

毎回少しずつ修正し、次に持ち越していくものだと思っています。

展示会は、ブースをつくる仕事ではなかった

展示会を担当し始めた頃の私は、展示会とは、ブースをつくり、資料を用意し、当日サービスを説明する仕事だと思っていました。

今は違います。

誰に会いたいのか。
その人は何に困っているのか。
どんな言葉なら、自分の課題だと気づいてもらえるのか。
ブースで何を聞き、何を見せるのか。
その後、誰がどう追うのか。

展示会の前から、展示会の後までをつなげて考える仕事です。

もちろん、きれいなブースも必要です。

ただ、その前に「誰に何を伝えるか」が決まっていなければ、結局は製品情報を並べただけのブースになります。

私自身、そこに気づくまでかなり時間がかかりました。

目の前の制作物を完成させることで精一杯で、顧客のことを考えているつもりになっていました。

製造現場へ入り、現場の方の話を聞いたことで、ようやく展示会の出発点を変えられたのだと思います。

FACTREACHを始めた理由

私は、事業会社の展示会担当者として、現場で試し、失敗し、改善を重ねてきました。

外から展示会を見て考えたのではありません。

自分が担当者として準備に追われ、当日のブースに立ち、集まったリードを営業へ渡し、その後の結果にも向き合ってきました。

その中で身につけた進め方には、再現性があると感じています。

一方で、展示会の準備は、多くの会社で担当者に任されています。

通常業務を抱えながら、ブースや資料を用意し、さらにターゲット、顧客課題、接客、営業への引き渡しまで考えるのは簡単ではありません。

私自身が、まさにそうでした。

制作会社へ相談することはできても、

誰を狙うのか。
どの課題を伝えるのか。
当日、何を聞くのか。
どうやって商談につなげるのか。

この部分は、出展企業側で決めなければいけません。

そこを一緒に考える人が必要なのではないか。

そう考えて、FACTREACHを始めました。

サービス名は、**「ものづくり企業の展示会戦略室」**です。

私が提供したいのは、見栄えのいいブース案だけではありません。

顧客を理解し、伝える言葉を決め、ブースと接客に落とし込み、その後の商談へつなげる。

事業会社の展示会担当者として、遠回りしながら身につけてきたことを、展示会に本気で取り組むものづくり企業へ届けていきたいと思っています。

FACTREACH|ものづくり企業の展示会戦略室
技術の価値を、商談につなげる。
公式サイト:https://factreach.jp

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