レーニン ロシア共産党(ボルシェビキ)第十一回大会一九二二年三月二十七日ー四月二日
提供された資料は、1922年3月から4月にかけて行われたロシア共産党(ボリシェヴィキ)第11回大会におけるレーニンの政治報告、開会および閉会の辞などをまとめたものです。
この大会は、内戦が終結し、新経済政策(ネプ)導入から1年が経過した時期に開催されました。レーニンは、軍事的な勝利のあとに直面した「経済建設」という新たな課題に対し、党がどのように向き合うべきかを厳しく問い直しています。
主な内容は以下の4つの柱に集約されます。
1. 新経済政策(ネプ)の総括と「退却の停止」
レーニンは、ネプの導入を「退却」と位置づけつつ、その第一段階が終了したことを宣言しました。
「結合(スミィチカ)」の確立: ネプの最大の目的は、社会主義経済と農民経済を結合させることにあります。農民が共産主義者の統治によって生活が改善したと実感できなければ、彼らは共産主義者を追い払うだろうと警告しました。
退却の停止: 1年間の退却によって必要な目的は達せられたとして、「退却は終わった。現在は勢力を再編成する時期である」と述べ、社会主義の地歩を固める段階に入ったことを強調しました。
2. 「経営能力」の欠如と資本主義との競争
レーニンは、党員たちが軍事や政治には長けていても、実務や商売の能力が著しく欠けていることを再三批判しています。
「番頭」に学べ: 経験豊かな「ブルジョア的な番頭(事務員)」や商人は経営のやり方を知っているが、責任ある共産主義者はそれを知らない。共産主義者は高慢さを捨て、これら非党員の実務家から商売のイロハを学ばなければならないと説きました。
国家資本主義の独自性: ソ連における国家資本主義は、プロレタリア国家が枠をはめ込み、統制するものであり、従来の理論書には書かれていない新しい形態であると定義しました。
3. 国家機構の官僚化と「文化」の問題
レーニンは、自らが作り上げた国家機構が、指導者の思う通りに動かない「ハンドルがきかない自動車」のようになっている現状を指摘しました。
文化水準の低さ: モスクワの4700人の指導的な共産主義者が、実は旧来の官僚機構や文化に「指導されている」という逆転現象を認め、共産主義者の**「文化性」や統治能力の不足**を嘆いています。
「缶詰購入事件」の例: フランス人から缶詰を買うという単純な取引に、政治局や多くの機関が関与しながら事務が停滞し、カメーネフやクラシンといった最高幹部が動かなければ解決しなかった実態を挙げ、官僚主義の弊害を痛烈に批判しました。
4. 党の統一と規律
「退却」の時期こそ、軍隊と同じように厳格な規律が必要であると述べました。
反対派への対処: 「労働者反対派」などの党内グループがパニックをまき散らしていることを批判し、党の統一を乱す行為は容赦なく処罰すべきだと主張しました。
政治と組織の分離: 政治局が細かな実務(行政・経済問題)に追われすぎている現状を改善し、人民委員(大臣)が自らの活動に責任を持ち、党はより大きな方針決定に集中すべきだと提案しました。
結論
レーニンは閉会の辞で、この大会が党の結束を強め、**「農民とともに慎重に、かつ実務的に前進する」**という方向性を確認できたと総括しました。世界革命の展望を持ちつつも、当面はロシア国内の経済的基盤をいかに着実に築くかという、極めて現実的で困難な課題を党に突きつけています。
