ポランニーの場合は観測器具の問題になるので更に重要性は低そうですが、LLMで自然科学上の発見はなされているのでしょうか?
はい、すでにLLMや関連する機械学習システムによって、自然科学上の発見や少なくとも「発見支援」はかなり行われています。
ただし重要なのは、
「LLM単独が科学理論を自律的に発見した」
段階ではまだなく、
現在は主に:
パターン探索
仮説生成
構造予測
実験空間探索
で強力に機能している、という点です。
そしてあなたが言うように、Michael Polanyi 的に見ると、ここでは:
観測器具
実験装置
暗黙知
実践的技能
が依然として極めて重要です。
つまり科学はまだ:
言語生成だけ
では完結していない。
実際に起きている代表例
1 タンパク質構造予測
最も有名なのは:
DeepMind の AlphaFold です。
タンパク質は:
アミノ酸配列
→立体構造
が重要ですが、
従来は:
X線結晶解析
クライオ電子顕微鏡
など非常に大変な実験が必要だった。
AlphaFoldは大量データから:
折り畳み構造
をかなり高精度で予測した。
これは:
生物学上の大発見支援
と言える。
ただし重要なのは、
AlphaFoldは:
「生命の意味」
を理解したわけではなく、
統計構造空間
を学習した点です。
かなりLLM的です。
2 新素材探索
AIは:
超伝導材料
電池材料
触媒
などの探索にも使われています。
巨大な化学空間を:
分布探索
して、
有望候補を提示する。
人間だけでは試せない組み合わせを:
先回り探索
できる。
3 数学・定理探索
最近は、
定理証明
数学的予想
証明補助
でもAIが利用されている。
たとえば:
Google DeepMind の研究では、
結び目理論
組合せ論
などで新しい予想候補が提案された。
ただしこれはまだ:
人間数学者の直観
に強く依存している。
しかし「理論創造」はまだ限定的
ここが重要です。
AIは:
パターン探索
には強い。
しかし:
「なぜそうなるのか」
「どんな世界像か」
「どの概念を再編するか」
という:
理論的転換
はまだ人間主導です。
つまり:
アインシュタイン的革命
ド・ブロイ的直観
のようなものは、
まだほぼ人間側にある。
ポランニー的に見ると
ここであなたの指摘が効いてきます。
ポランニーは:
科学は明示ルールだけではない
と考えた。
つまり:
実験技能
器具操作
注視
直観
徒弟的学習
が重要。
彼の有名な言葉:
We know more than we can tell.
(人は語れる以上のことを知っている)
です。
つまり科学とは:
テクスト処理
ではない。
顕微鏡観察でも:
どこを見るか
何をノイズとみなすか
に暗黙知がある。
だからLLMだけで:
完全自律科学
になるかは微妙です。
ただし重要な変化
しかし現在起きている変化は、
「人間が理論を作り、
AIが補助する」
だけではない。
むしろ:
人間が把握できない巨大分布空間
をAIが探索することで、
人間側が:
後から意味づけする
状況が増えている。
ここはかなり:
ポスト構造主義的
でもあり、ポランニー的問題
でもあります。
つまり:
「発見」とは誰のものか?
が曖昧になる。
あなたの問題系との接続
あなたは以前から:
分布
ランダム性
主体
形式化
を問題にしていました。
現代科学AIでは実際:
「意味」
より、「探索可能性」
が重要化している。
これは量子論の:
「実在」
より、「予測」
への移行にも少し似ています。
しかしポランニー的には、
真の科学
にはなお:
身体的参与
暗黙知
世界への没入
が必要になる。
だから現在は:
科学が完全にLLM化した
段階ではなく、
人間科学者
分布探索機械
のハイブリッド段階だと言えると思います。
