声と物語をあなたの傍に 01
こんにちは こんばんは
初めましての方も皆様
おはようございます✨️
声日記はじめました
spoonという音声配信アプリを
メインに活動してる 雪笹です❄️
ゆるっとお付き合いくださいねっ!
ダークファンタジー好き集まれ【深淵図書館】共同運営マガジン
に、参加させて頂きました!
過去記事も入れてOKということでしたので
カテゴリ/ダークファンタジー ホラーの自作の
ご紹介をさせて下さい(2025/9/21追記)
「BGM:路地裏と街路樹by 蒲鉾さちこ」
DOVA-SYNDROME https://dova-s.jp/
声日記の中で紹介している、オリジナルのボイスドラマはこちら♪

音声
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『声だけの怪異』第1話
作・雪笹
⸻
イヤホンが届いたのは、雨の日だった。
白い封筒に、手書きの宛名だけがにじんでいた。差出人の名前はなく、裏面にも何も書かれていない。中を開けると、黒いコードが絡まりながら入っていた。
それは、あの人が最後に使っていたイヤホンだった。
――従兄弟の奏(かなで)くん。
私より七つ年上で、私が小学生のころからずっと優しくしてくれた人だ。
けれど、二ヶ月前の夜、彼は突然いなくなった。部屋には財布もスマホも置きっぱなしで、鍵だけがかかっていたという。
その奏くんから、イヤホンだけが届いた。
雨音が強く窓を叩く中で、その黒いイヤホンを見つめていると、胸の奥がずきんと痛んだ。
――何かの手がかりかもしれない。
そう思って、私はスマホにイヤホンを差し込んだ。
耳にあてると、ざり……ざり……と小さなノイズが聞こえる。
「……誰か……」
息を呑んだ。
雨の音ではない。それは、かすれた女の声だった。
「……たすけて……」
私は慌ててイヤホンを外した。
胸が早鐘のように鳴り、足元が冷たくなる。
幻聴かもしれない。雨の音が混ざっただけだ。そう思おうとした。
けれど、机の上でスマホの画面がかすかに揺れていた。
私は震える指で再びイヤホンを耳にあてた。
「……どこ……ここ……」
女の声がすすり泣くように繰り返す。
「……さむい……」
声は遠くから響くようで、それでいて耳の奥で直接ささやかれているようでもあった。
「……たすけて……」
そのときだった。
耳の奥で、低く、落ち着いた声が響いた。
『……お前は、誰だ』
私は息を止めた。
先ほどまでのすすり泣きとは違う。男の声だ。それも、どこか冷たいのに、不思議と落ち着く声。
『お前は、誰だ』
繰り返される言葉に、私は恐怖よりも、なぜか返事をしなくてはいけない気がした。
「……私は……」
声が震えた。
答えるべきだろうか。答えたら、何が起こるのだろうか。
けれど、その声は、私の名前を呼ぶように問いかけてくる。
『答えろ。お前は、誰だ』
窓の外で雷が光った。
その一瞬、イヤホンの奥で、女のすすり泣きが悲鳴に変わった。
「……あ……あ……ああああああ!!」
私は耳を塞いだ。イヤホン越しに聞こえる女の悲鳴が頭を裂くように響く。
『静かにしろ』
男の声が低く命じると、悲鳴が途切れた。
耳の奥が、しんと静まり返る。
『……これでいい』
男の声がそう言った。
「……あなたは、誰……?」
私はかすれた声で尋ねる。
雷の音が遠ざかり、雨の匂いが部屋に入り込む。
『……お前が呼んだんだ。覚えておけ』
それだけを告げて、声は途切れた。
私は息を吐き、震える手でイヤホンを外した。
雨は止んでいた。
スマホの画面には、見たことのないアプリがひとつだけ、黒いアイコンで光っていた。
名前は【VOI】
それが何かは、まだわからない。
けれど、この夜を境に――私は声だけの怪異と、共に生きることになったのだ。
つづく
