見出し画像

出前、いいすか?って聞いたら、うどん出た。

入院してるとき、ちょっとした楽しみがあった。
それは、回診。

え?ただの回診なのに?って思うかもしんない。
うん、わかるよ。でもね、
私の主治医、十八代目 中村勘三郎に似てるんだよ〜

もうね、登場からちがうの。
カーテンの向こうから、
「ス…ッ」って足音がして、サラッとした白衣の姿が舞台衣装みたいで。

顔はキリッとしてるのに、ちょっと優しくて。
やっぱり「粋」だったんだよね。

説明もシンプルでわかりやすい。
なのに「なるほど〜」って思わせる“間”がある。
この人、セリフより“間”で伝えるタイプ。
まるで歌舞伎役者みたいな美学があった。

そんな先生に、ある日つい言っちゃったの。

「先生、ワンチャン……出前ってダメっすか?」

減塩食にうんざりしてたし、個室だし、ちょっとした冗談で。
先生、クスッと笑ってくれるかな〜と思ったらーー

「だめだよ。」

……ですよね〜。
しょんぼりしながら夕食待ってた。

で、来たんだよ。食事のトレー。
フタを開けたらさ……

うどん。

え?
うどん!?

さっき出前で頼もうとしたうどんが、ここにあるってどういうこと!?
まさか……先生……?

「出前はダメ。でも、せめて麺類で我慢しなさい」
っていう粋な気遣いだったんじゃない?って。

もちろん先生は何も言わなかったけど、
その“言わぬが花”な感じ。
“間”で伝わる、あの先生らしさ。

そのとき私は思った。
ああ、この先生に任せよう。

言葉少なくても、ちゃんと気持ちを届けてくれる人。
そんな先生だから、安心して身をゆだねられるんだなって。

たかが、うどん。
されど、うどん。

その一杯で、私はちょっと安心できたんだよね。

で、気づいたの。
ここまで粋な計らいをしてくれる先生なら、信じていい。
信頼って、こうやって生まれるんだなって。

そして最後はーー

この先生と藤娘を一緒に踊る気分で。

──治療って結局、信頼関係で成り立つコント芸なんだよ。
舞台袖には、もちろん「うどん」もスタンバイしてるけどね🤣

#脳出血
#高次脳機能障害
#note書くのがリハビリ
#入院生活
#医師との信頼関係
#二人藤娘

いいなと思ったら応援しよう!