もんじゃ屋では、彼女は今でも保育園児
今日、姪っ子と地元のもんじゃ屋に行ってきた。
私の大好物のひとつ、もんじゃ焼き。
姪っ子も、もんじゃが大好き。
そこは一致しているんだけど、私たちの頼み方、ちょっと変わっている。

まず、ひとつめ。
「チーズもんじゃ」をベースに、追加で「チーズ」、さらに「チーズ」。
合計、トリプルチーズもんじゃ。
ふたつめ。
「紅生姜もんじゃ」をベースに、追加で「紅生姜」、さらに「紅生姜」。
合計、トリプル紅生姜。
そこに、チーズ、チーズ、チーズ。
そして両方に、ベビースタートッピング🌟
文字にすると、もう、なんかすごい。

通い始めの頃は、店員さんに毎回こう言われていた。
「あの……チーズ、もう既に入ってますよ? それに、チーズ、チーズですか?」
そりゃそうだよね。
ちゃんと確認してくれる、いいお店。
でも、何度通っても私たちが揺るがないからか、
だんだん何も尋ねられなくなった。
今では、注文を伝えると、無言で頷いてくれる。
常連認定、いただきました。

ちなみに、私たち以外の人と行くと、この頼み方はぜったいに通らない。
「いやいや、チーズの味しかしないでしょ」
と、却下される。
そうなんだよね。
たしかにそう。
だから私と姪っ子は、お店に向かう道すがら、いつも声を揃えて笑う。
「ここ、もんじゃ食べに来てるっていうより、チーズ食べに来てるんだよね〜」
うん、自覚はある。
この姪っ子。
私が17歳のときに生まれた。
姉が忙しく働いていたから、小さい頃から、しょっちゅう一緒にいた。
当時の彼氏ともんじゃに行くときも、必ず連れて行った。
保育園の送り迎えも、私の役目だった日が、たくさんあった。
そんなふうに育ったからか、もんじゃの頼み方がこうなった。
我ながら、もんじゃ教育32年の集大成である。

あの保育園児だった姪っ子も、気づけば32歳。
今では、小学生と幼稚園生、ふたりの子のママ。
立派な大人で、立派なお母さん。
でも、私からすると、いつまでも保育園児みたいなもんでね。
それでね、この姪っ子。
ちゃっかり屋なんですよ。
帰り際にいつも、こう言う。
「みーちゃん、ちゃーすぽ、しなきゃ」
ChargeSPOT。
コンビニとかにある、モバイルバッテリーのレンタル。
私もよくは知らないけど、姪っ子はもう完全に常連で、
「ちゃーすぽ、ちゃーすぽ」
と言いながら、毎回コンビニに寄る。
聞くと、月に10回くらい借りているらしい。
じゃあもう、自分のモバイルバッテリー買えばいいのに。
そう言ったら、彼女、こう答えた。
「先の5000円より、目先の500円が大事なの」
哲学。

そして今日。
もんじゃのあとに、彼女がこう言った。
「みーちゃん、時間ある? 商業施設、寄ろうよ」
私「いいよ〜」
姪っ子
「あのね、ラッシュってあるじゃない? こないだウチの子が映画でマリオ見てさ、マリオコラボの石鹸がほしいって言うんだよ〜」
……出た。
彼女は決して「買って」とは言わない。
でも、買ってもらいに来ている。
32年のキャリアの、別方向の集大成である。
私、ちょっと考えて、こう聞いた。
「買ってもいいけど、ちゃーすぽどうするの?
ここの商業施設、電気屋さんも入ってるよ。
充電器の方が良くなくない?」
姪っ子、数秒考えて、
「充電器にする」
マリオ石鹸への愛、3秒で蒸発。
さすが、目先の500円を全力で取りに行く女。
判断が速い。

結局、そのまま一緒に電気屋さんへ行って、充電器を買った。
しょうがないなあ〜。
だって、こうやって2人でいると、
彼女が保育園児だった頃を、どうしても思い出してしまうんだよね。
保育園のお迎えに行って、手をつないで帰った道。
当時の彼氏ともんじゃ屋で、3人でつついた鉄板。
まだ小さかった彼女と、はじめて分け合ったチーズもんじゃ。
彼女は32歳で、ふたりの子のママ。
なのに、私の中では、いつまでも保育園児のままだ。
だから今日も、
もんじゃ屋でチーズを3回追加して、
紅生姜を3回追加して、
ベビースターを乗せて、
店員さんに無言で頷かれて、
商業施設で充電器を買う。
もんじゃ教育の成果かどうかは、よく分からないけど。
私たちは、これからもきっと、
こうやって笑いながら、もんじゃを食べに行く🦢
