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「サイレンだよ」と、だんなは言った。

「サイレンだよ」と、だんなは言った。

先日、め〜ちゃんとランチをした。

め〜ちゃんは、わたしの10個上。

人生の大先輩だ。

そのめ〜ちゃんが、ランチのあいだじゅう、おもしろい話をしてくれた。


ある日のこと。

だんながいない時間に、自宅の倉庫を整理していたら。

棚の一番上、手が届かないような高いところに、なにやら箱がおいてある。

なにかの拍子に、それが落ちてきた。

中身が、ぶちまけられた。

「…………。」

め〜ちゃん、絶句。

箱の中身は、だんなの

大人の秘密道具♥️♥️


だったのである。

一瞬、大学生の娘のものかと思ったけれど。

いやいや、そんなはずない。

じゃあ、だんなの。

そういうことね。

め〜ちゃんは、黙って箱に戻した。

そして何事もなかったかのように、数日間を過ごした。

(えらい。)


ところが、である。

今度は、だんなと一緒に倉庫を整理していたとき。

倉庫だから、物音なんてしないはずなのに。

「ぶーーん。ぶーーん。」

音がする。

め〜ちゃんには、正体がわかっている。

電池が入ったままだったのだ。

知らんぷりして、だんなに聞いてみた。

「アレ? なんか音しない?」

「ん? そうか?」

だんな、すっとぼける。

そうこうしているうちに。

例の箱が、また落ちてきた。

「ぶーーん」と鳴りながら。

だんなはあわてて、め〜ちゃんに見られないように体でガードしながら、ブツを隠した。

「なに? なんの音?」

と聞くと。

だんなは言った。

「サイレンだよ。」

サイレン。

倉庫で鳴る、サイレン。

そう言い残して、だんなは

「ちょっと車のところへ行ってくる」

と、ブツを持ってその場をあとにした。

「サイレンって何〜〜!」

め〜ちゃんは大笑いした。

笑い話みたいだけれど。

め〜ちゃんの中には、少し引っかかるものもあったらしい。

だんなが同級会に行くようになったのは、少し前のこと。

それから帰りが遅い日が続くようになった。

なんとなく、怪しい。

あの「サイレン」も、もしかしたら……。

そんな想像が頭をよぎることもある。

でも、め〜ちゃんは言った。

「詰めるのも疲れちゃうし。」

「私が黙ってれば、いいのかなって。」

ランチの終わりに、め〜ちゃんはわたしに聞いた。

「みーちゃん、若い子と、妙齢のヒトと、どっちなら許せると思う?」

「え〜……」

わたしは答えられなかった。

今も、答えられない。

すると、め〜ちゃんは笑いながら言った。

「この先、誰かと恋愛して、結婚するワケじゃないし。」

「ま、そんなもんかなって。」

そして最後に、

「ただただ、元気だなあと思うだけ。」

と言った。

元気だなあ。

怒るでもなく。

責めるでもなく。

ただただ、元気だなあ。

イソジのわたしには、まだたどり着けない境地だった。

10個上の大先輩は、

倉庫で鳴るサイレンよりも、

もっと遠くを見ている気がした。




曲を作りながら思いました。

「サイレンだよ」は、

たぶん今年いや、今まで生きてきた中で
いちばん意味のわからない言い訳です🤣🚨



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