『ちいさなヒーロー クマムシくん』
ちいさな ちいさな クマムシくん
コケのもりの すみっこに、ちいさな ちいさな クマムシたちが すんでいました。
みんなからは「ちっちゃすぎて、どこにいるの〜?」と からかわれてばかり。
でもクマムシたちは へいき。
ニコニコしながら、コケのおうちで くらしていました。
「ぼくたちは ちいさいけど、つよいんだよ!」
でも、だれも しんじてくれません。
あめのひに とつぜんの たいけん!
あるひ、そらが まっくろになって、
ピカッ! ゴロゴロッ! すごい あめが ふってきました。
コケのもりじゅうが おおさわぎ!
カエルさんも ダンゴムシさんも あわてて かくれました。
でも、クマムシたちは ふしぎそうに そらを ながめて、ポツリ。
「んー。これくらい、だいじょうぶ。」
「からっぽねむり、っていうんだよ。からだのうごきを おやすみさせるんだ!」
クマムシたちは ちぢこまって、まるくなって——
『からっぽねむり(かんみん)』に はいりました。
まいごの ミミズくん
あめがやんで、もりは しーんと しずかに。
そこへ、ぬれてふるえている ミミズくんが やってきました。
「ううぅ…… みんなとはぐれちゃった。おうちが わかんないよ……」
クマムシたちは、ねむりからさめ、そっとおきあがって にっこり。
「ぼくについてきて! コケの したのもっとしたまで、いっしょに いこう!」
ミミズくんは びっくり。
「えっ、そんなところ、くらくて、せまいし、きっとムリだよ!」
クマムシたちは ウィンクして、こういいました。
「ぼくらは、なんでも へいきなんだ! おひさまの ところも、くらいところも、さむい こおりも、
からっからの かわいた とこも、どーんと こい!」
クマムシたちは せまいすきまも
ひょいひょい、すいすい、
まっくらなとちゅうもとおりすぎ、
ミミズくんを ぶじに おうちまで つれていきました。
「ありがとう、クマムシくん! きみは すごいよ!」
氷もへっちゃら
こおりのよるに ひとりぼっちのチョウくん
そのばんは、とってもさむい ふゆのよる。
コケのもりの いけが ぜんぶ こおってしまいました。
ちいさな チョウくんが、まいごになって ふるえていました。
「ふるえちゃって、つばさが うごかないよぉ……」
クマムシたちは ちいさくても まえあしを ひろげて、そーっと そばに よっていきました。
「だいじょうぶ、チョウくん。
ぼくらの からだ、さむくても こわれないんだ。
いっしょに ねむって、あったかくなるまで まってようね。」
そして クマムシたちは、チョウくんのはねのあいだに はいり、
いっしょに ちぢこまりながら
“からっぽねむり”に はいりました。
あくるあさ、もりに おひさまが さしこむころ——
チョウくんは ぽかぽかの なかで ぱっちり めをさまし、
「ありがとう、クマムシくん! ぼく、また とべるよ!」と にっこり。
もりのみんなは また おどろきました。
「クマムシくんは さむい こおりのよるでも ともだちを まもれるんだね!」
「ちいさいからって よわいなんて、かんちがいだったよ!」
「クマムシくんは このもりでいちばん つよい ヒーロー だ!」
クマムシたちは テレながら、にっこり。
「ふふっ、ぼくらはちいさくたって、ぜーんぶ へいきさ!」
「ほんとうに つよくて やさしい ヒーローだ!」
みんなが にっこり。
クマムシたちも にっこり。
もりは また、しずかで あったかく なりました。
おしまい。
