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音楽回顧録( 芝(レイシ)②編)

とにかく芝のオーディションでコテンパンに打ちのめされた。
人前でギャラを頂いて歌うというのは、抜きんでる演奏とボーカル、
そしてキャラクターが伴っていないといけない、それが当たり前なのだ!
お前はまだまだ高校の学園祭!とモチベーションがダダ下がりの状態で芝で歌う様になった。

ラムネと出会い、私も洋楽を歌う事に目覚めた。とは言え洋楽を弾き語ると言っても何から始めたらいいのかもわからない。そこでラムネがよく歌っていたサイモン&ガーファンクルのベスト盤CTを買い、とにかく聴きまくり
ベストに収録されている曲をコピーしまくった。それ以外のアーティストは皆目見当が付かないので、ラムネが歌う洋楽をラムネバージョンのままコピーしていった。

芝は各曜日毎に出演者が決まっていた。青い鳥同様お客さんは飲みに来る
一見さんが中心だったが、演者目当てでしっかりライブを聞きに来るお客さんもいた。そしてレコード会社関係者も。週末は満席になるので、やはりしっかり盛り上げる事が出来る演者。かけだしの私はお客様も中だるみの水曜日。とは言え、オリジナルは作り続け、歌うカバーは洋楽へと変え、回を重ねる毎にただただ緊張の中歌う事から、芝の雰囲気を楽しみながら歌う様になって行ったのだが、

「カバー曲、まるでラムネやな~!しかもラムネの方が全然ええし~!」
スタッフからは酷評をもらい続けた。

仕方がないのである!私の洋楽の師匠はラムネ。それしか歌えないのと同時に、ラムネの様に歌いたかったのだから。とは言え、ラムネとはほど遠い事は、本人が一番分かったいた。

並行して青い鳥やシャムスンでも歌っていたが、次第に芝中心の活動となっていった。そして忘れもしない1985年8月12日。

大学は夏休み、この日は私のライブではなかったのだが暑さのあまり、

「今晩は芝でキンキンに冷えた生ビールと共にライブ観戦しよう!」

阪急電車で梅田に向かい地下街を抜け芝に到着。オーディションの時と同じ重たい扉をを開けると、お客さんが誰もいない。演者の姿もない。されど
テーブルは豪華な料理で埋め尽くされている。時刻にして夜の8時前位だっただろうか。

「おはようございます!あれ??今日は貸し切りですか??」

すると、

「自分知らんのか?JALの飛行機が墜落したんや。実はな、今日はN〇Kの
貸し切り予約が入ってたんやけど、全員仕事に戻りはったんよ!」

「ええ!!JALが墜落??そりゃN〇Kとしては飲んでる場合では
 ありませんね…。」

すると、

「自分ええ所に来たな~!このテーブルの料理、会計済んでんねん。
 タダで好きなだけ食べてええで~!と言うか食べてもらった方が助かる
 わ!しっかり食べていきや~!」

各テーブルに並んでいるご馳走!いくらなんでも全部は無理にしてもこんなラッキーな事はありません!不謹慎にもほどがある事は分かっておりますが、突如降って沸いたご馳走の数々!スタッフと音楽談議や事故の話を
しながら飲み物代だけでご馳走をガッツリ頂き最終電車まで。

その後、事故のあまりの大きさに驚愕したわけですが、その飛行機には
たまたま坂本九さんや阪神球団の関係者も搭乗されていた事を知り愕然と
させられた事、自衛隊のヘリによって御巣鷹山から唯一救助された乗客の
少女の姿を見て安堵した事をしっかりと覚えている。この事故で命を落と
された多くの一般の乗客の皆さんのご冥福を今も8月12日になる度に祈って
いる事は言うまでもありません。

芝ではラムネ以外にも知り合ったミュージシャン達がもちろんいる。
大学4回生の後半は無事就職活動も終え、彼らと音楽と酒で大騒ぎ!その
ドタバタの様子は芝最終編に続けたく思う。

あ~!芝!我が青春なのである!


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