#136話|心を整えたあとに残った「本当に大切なもの」
ふと、昔の自分が大事にしていたものを思い出すことがあります。
評価。
肩書き。
成果の数。
誰かにすごいと思われること。
当時の僕にとって、それらは生きる軸でした。
忙しくしていることは価値で、求められることは存在証明のように感じていました。
だから、手帳が埋まっていないと不安になり、
成果が見えない日は、意味のない一日を過ごしたような気持ちになっていました。
あの頃の僕は、
「大事なものはたくさんあるほどいい」
そう信じて疑っていなかったのだと思います。
心を整えるようになってから、少しずつ変化が起きました。
何かを足したわけではありません。
むしろ、減っていきました。
無理な予定。
気を遣いすぎる関係。
期待に応えるためだけの行動。
一つひとつ手放していく中で、不思議なことに気づきました。
なくなったはずのものよりも、
ずっと残り続けているものがあったのです。
家族と食べる、何気ない夕飯。
一日の終わりに、今日を振り返る静かな時間。
自分の中で「これでいい」と思える感覚。
派手さはありません。
人に自慢できるものでもありません。
でも、確かにそこにあり続けていました。
正直に言うと、手放すときは怖かったです。
これを失ったら、何も残らないんじゃないか。
自分の価値までなくなるんじゃないか。
そんな不安が、何度も頭をよぎりました。
でも、実際に手放してみて分かったことがあります。
安心感は、失われませんでした。
むしろ、
「何かを守ろうと必死にならなくてもいい」
そんな静かな安心が、あとからやってきました。
頑張り続けていた頃は、
安心するために走り続けていたのだと思います。
でも、心を整えてからは、
立ち止まっても大丈夫だと感じられるようになりました。
気づいたことがあります。
本当に大切なものは、
最初からそんなに多くなかったのだと思います。
ただ、たくさんのノイズに囲まれて見えなくなっていただけでした。
期待。
不安。
比較。
焦り。
それらが重なって、
「もっと持たなきゃ」
「もっと頑張らなきゃ」
と、自分を追い立てていただけだったのかもしれません。
心を整えるというのは、
新しい価値観を手に入れることではなく、
余計なものをどけていく作業だったのだと、今は感じています。
そうすると、不思議なほどシンプルになります。
大切にしたい人。
守りたい時間。
自分が納得できる生き方。
それだけで、十分だったのだと。
もし今、
「何か足りない」
「もっとやらなきゃ」
そんな気持ちを抱えているなら、少しだけ立ち止まってみてください。
あなたの人生から、
いろいろなものを削ぎ落としたとしても、
それでも残るものは何でしょうか。
毎日じゃなくてもいい。
完璧じゃなくてもいい。
それでも、なくならなかったもの。
そこに、あなたの本質があります。
増やさなくていい。
取り戻そうとしなくていい。
ただ、思い出せばいいだけです。
心を整えたあとに残ったものは、
想像していたよりずっと少なくて、
でも、想像していたよりずっと強いものでした。
派手じゃない。
目立たない。
評価もされにくい。
それでも、折れない。
次回は、
「整える人生は、派手じゃない。でも折れない」
というテーマで書きます。
ここまで読んでくださったあなたにも、
きっと、もう残っているものがあるはずです。
また迷ったときに読み返せるよう、
保存しておいてもらえたら嬉しいです。
