面接研究#002面接官は「人柄」を見ているのではない。見ているのは「再現性」
「面接では、自分らしさを見せましょう。」
就職活動では、よく聞く言葉です。
もちろん間違いではありません。
しかし、採用に関する研究を調べていくと、少し違う景色が見えてきます。
実は、多くの面接官が本当に知りたいのは、「この人は良い人か」ではありません。
この人は、入社後も同じように働いてくれるのか。
つまり、「再現性」です。
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私も昔は、「面接は人柄を見る場所」だと思っていました。
笑顔。
礼儀。
ハキハキ話すこと。
もちろん、それらも大切です。
ですが、それだけで採用してしまえば、会社は大きなリスクを抱えることになります。
面接官は数十分という短い時間で、その人の数年後の働きぶりを予測しなければなりません。
だからこそ、近年の企業では「構造化面接」と呼ばれる方法が広く使われています。
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構造化面接とは、応募者全員に同じ質問をし、同じ評価基準で採点する面接です。
1997年にCampionらは、この構造化面接について詳細なレビューを行いました。
そこで示されたのは、「良い面接」とは面接官の勘に頼るものではなく、職務分析に基づいて設計された、再現性の高い評価方法であるという考え方でした。
例えば、
・全員に同じ質問をする
・評価基準を統一する
・面接官への教育を行う
・回答を記録して採点する
など、多くのルールがあります。
つまり、雑談を減らしたいわけではありません。
評価を公平にすること。
それが最大の目的なのです。
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では、本当に構造化面接は効果があるのでしょうか。
1994年、McDanielらは約8万6千人分、245件の研究を統合したメタ分析を行いました。
結果は非常に明確でした。
構造化面接は、雑談中心の面接よりも、仕事の成果を予測できる精度が高い。
つまり、「面接官の勘」より、「設計された質問」の方が当たりやすかったのです。
さらに1998年にはSchmidtとHunterが85年分の研究を分析し、構造化面接は採用方法の中でも高い妥当性を持つことを示しました。
そして2022年、Sackettらは過去の研究の計算方法を見直しました。
「これまで効果を少し高く見積もりすぎていた」と修正されたのです。
しかし、結論は変わりませんでした。
構造化面接は、現在でも有効な採用方法である。
これが最新の学術的コンセンサスです。
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ここで一つ、考えてみてください。
なぜ企業は、
「学生時代に頑張ったことは?」
「仕事で困難を乗り越えた経験は?」
「失敗した時はどうしましたか?」
という質問ばかりするのでしょうか。
未来のことを知りたいなら、
「入社後はどう頑張りますか?」
だけ聞けばいいはずです。
しかし、企業はそうしません。
理由は単純です。
未来は分かりません。
でも、過去の行動には事実があります。
心理学や人事選考の研究では、過去の行動は、将来の行動を予測する最も有力な手掛かりの一つと考えられています。
だから面接官は、未来ではなく過去を聞いているのです。
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ここで、多くの人が勘違いしていることがあります。
「面接は、自分を良く見せる場所。」
もちろん、それも必要でしょう。
しかし、本当に大切なのは、自分を飾ることではありません。
自分が働いている姿を、相手に具体的にイメージしてもらうこと。
私はこれこそが、面接の本質だと思っています。
派手な自己PRよりも、
具体的な経験。
実際に困難をどう乗り越えたのか。
その話の方が、企業は安心します。
なぜなら、その行動が入社後にも再現される可能性があるからです。
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そして、この研究を知ることで得をするのは、企業だけではありません。
応募者にも、大きなメリットがあります。
面接官が何を見ているのかを知れば、
こちらも会社を見抜けるようになるからです。
「なぜ、この質問をするのか。」
その意図が分かれば、
会社が求める人物像や職場の価値観まで見えてきます。
面接は、一方的に評価される場ではありません。
あなたが会社を見極める場でもあるのです。
次回は、面接官が実際によく使う「4種類の質問」を、研究結果をもとに詳しく解説します。
「あの面接も、この面接も、全部このパターンだったのか。」
そう感じてもらえる内容になるはずです。
