タヒチの星の下12話 BL
定刻より45分も早くタヒチ・ファアア国際国際空港に到着した。
雲の間から見えていたラグーンは海の遥かにつづき、美しいグラデーションを見せていた。タオはボクの手をつなぎ、ゆっくりと出口に向かう。
「トニー大丈夫か?気分は?」気づかうタオ「大丈夫だよ」CAにボクは「サービスと安全に連れてきてもらってありがとう」と伝えた。「行ってらっしゃい。そしてあなたの幸せがいつもありますように」ニッコリ笑って言ってくれた。

タラップに足をかけると軽い眩暈が襲った。そして一段一段おりて行く、地面に足を踏み入れると更に眩暈がしてふらつきタオが支えてくれた。
おそらく気圧のせいだと思っていました。「大丈夫かトニー」「大丈夫!心配ないから」と返事しました。しかし。それはタヒチの神々マオヒがボクに語りかけていることをなんとなく分かっていました。かがみこんで太陽の陽で熱くなっている大地に手をあてる。
---お招きありがとうございます。マオヒの神々ボクらをお守りください---と
感謝を心で伝えました。入国審査を通過してバゲージ受け取りレーンで待つ。なかなか出てこない。10分ほどしてようやく回りはじめましたが、ボクのトランクとタオの荷物はまだでした。20分・・・「タヒチ人はのんびりしてるから仕事サボってんだな」とボクの顔を覗き込み言ってくれた。
到着から30分ようやくでてきた。タオがレーンのそばに近寄り抱え出した。くもりガラスの自動ドアが開いたり閉じたりしている外には出迎える人が沢山見えて、その中にタオの妹夫婦がいるんだと思っていました。
タオは片手でトランクを押し、ボクと片方で手を繋いで出口に向かった。
出口を出るとすぐさま「Tao~Tao~Tao~!」と聞えその声の方向を見ると可愛らしい女性が手を振りながら呼んでいた。タオの妹だと直ぐわかった。ボクを連れ走るタオ。直ぐに抱き合い長いハグとキスをタオは交わし、ボクを紹介してくれた。「妹のMoeモエだ」「モエ。トニーです」「トニーあなたがトニーなのね。会いたかった!本当に!」そうして何故かモエはボクの顔を見るやいなや涙を流していた。そしてキスと長いハグが続いた。モエのご主人Tahiriタヒリ、甥にあたるUiraウイラを紹介して握手した。
「長い飛行機は疲れたでしょう」「タオと一緒だったから疲れはないよ」と応え先を歩くタオとタヒリは話しながら車に向かっていた。その間もモエはボクの腕に手を回し、時々香る甘い匂いは、タオと同じだと気づいた。
空もボクらを歓迎するように青く澄み、見渡す限り青い空だった。
既にウイラは車に乗っていて、タヒリは助手席のドアを開きモエを待っている。タオは後方のドアを開いてボクを待っていた。エアコンが冷え寒いぐらいでしたが、タヒチの気温は平均27度、1年を通して気持ちよく、日本の桜が葉桜になり初夏に近い気温と例えたらいいだろうか。約30分ほどかかると聞いて、モエは振り返りながら長く会えなかったタオと話し、ボクも話した。モエはよくタオの顔のパーツが似ていて、ポリネシアンとは違うエキゾチックな顔で目だけは、タオと同じく澄んだ黒い目だ。
夕方、町のお店が閉店になるのと入れ違いで、18時頃からはルロットと呼ばれる屋台がぽつりぽつりと出てくるそうだ。美しい緑がとにかく目に付く。古い教会があったり、どこかヨーロッパと南の島を合わせたようななんともいえない情緒があった。
車の中でも手を握り容赦なくキスをしてくるタオ。ボクが拒むとモエは「トニー気にしないで!あなたがタオの大切な人だと私達は知っているし、町の人もタオの愛する人がやって来ると大騒ぎよ」とニコニコと白い歯を見せて言った「え?町の人?」意味がさっぱり理解できなかった。タオがモエに
「まだそこまでトニーには話していないから、混乱するからゆっくりオレから話すから待て」と伝え「要は、トニーお前をみんなが歓迎するということだ!」着いたらつづきを話すからな」タオは公然とカミングアウトをしていると聞いていたけど町の人達も巻き込んで、何がはじまるのか理解すらできなかった。

タヒリが「もう到着しますよ」というと回りは大きな椰子や花が咲き乱れる。大きな扉が自動で開き車は中へ吸い込まれていった。車寄せに止めると数人がニコニコしながらドアを開き、タオが降り手をボクに差し出して支えてくれた。見わたすと白い花がいたるところにあり、素晴らしい香りに包ま

れた。大きな屋敷の玄関でタオの両親が立ちこちらを見ている。タオはママにキスをしてパパにはハグをしている。

ボクは緊張しながらもニコニコと笑顔を作り、タオに手を引かれ両親を紹介。「オレのママとパパだ」「これは、トニー。オレの大事な人」と紹介され「おお。あなたがトニーね。この日をどんなに長く待っていたか・・・」ボクにキスをした。「トニー会えて嬉しいよ。待っていたよ」「初めましてトニーです」日本名と共に挨拶した。
しばらく玄関先で挨拶を交わし、中へ通された。「おじいさん(家長)が奥であなたを待ってるわ。さー中に」甘い香りと吹き抜ける空気がボクを包む。ママは、ボクの腕に腕を通し、ゆっくり長い通路を進む。タオは後ろでパパと話しながらついてきた。
長い通路を抜けるとその床にはタヒチの格調高い花ティアレが一面に敷かれ優雅な香りが漂う。おばあさんが横に立ち一際大きい椅子に座るおじいさんがニコニコして、ボクを見つけると立ち上がった。また座り直しボクは近くに進む。両ひざをつき下向きかげんに「トニーといいます」日本名を告げる。緊張のあまり、すっかりタヒチ語が飛んで英語になってしまった。「トニーよく来た!私の孫タオの愛する人。私たちはあなたを心から歓迎する。マオヒと共に」タヒチ語で言われモエが通訳してくれた。
ボクの右手をとり両手で握ってくれた。神聖な儀式でもある感覚だった。
おじいさんに立つよう促され、おばあさんにも挨拶を同じようにする。「トニー全ての精霊があなたに微笑むように。私の孫タオの愛する人」おばあさんはボクの両頬にキスをしてくれた。ママはおばあさんの腕を支え、おじいさんはタヒリが支え、広いリビングに通された。
解放された天井まである大きな窓、庭園には白いテーブルクロスがひるがえり、使用人達が慌ただしくセットしていた。
庭園には南の小鳥のさえずりが聞え、海風はふんわりと吹き時折、白い花びらが風に舞うまるで童話の中にいる感覚で、ボクは白中夢の中にいるような幻覚さえ覚えた。「疲れたでしょう。食事が終わったら少し休むといいわね」ママの優しい声だった。タオは何も言わずに空を見ている。懐かしい空のようだった。リビングに冷たい飲み物が運ばれ、飲むと、バニラの香るレモネードでした。初めて口にするバニラが入るレモネードです。
甘く優しく飲んだあとにバニラが鼻に抜けるなんとも言いがたいものです。
その優しいレモネードに少し気持ちがリラックスしました。
タオはボクの肩を抱き、時々髪にキスをしてパパとモエ、おじいさん、おばあさんと話が盛り上がっています。ママはボクの手を握りタオが小さかった頃の話しをしてくれ、とても流暢な英語で話してくれました。聞くと、おじいさん、おばあさんは、フランス語とタヒチ語しか理解できず、近くで誰か英語で通訳するから遠慮なく英語でボクに話すように親切に言ってくれました。今までタオに教えてもらったタヒチ語は、まだ何も話せていません。
日本で、どういう家庭に育ったのか。将来の夢などママから聞かれ、全て応えるとママは、「あなたは、もう家族のようなものだから、タヒチに家族ができたと思いなさい。私達の子供と同じように思ってもいい?」と質問してきてこんなに歓迎されてとても光栄だと伝えました。「あなたは、タオを愛していますか?」という質問には「ボクの人生の中で初めて愛した人です。生涯愛し続けます」と明言しました。ニコニコしてキスしてくれました。
「ママ?ゆっくり急がなく話して!」とそれを聞いたタオが言葉を遮った
食事の準備ができたと使用人が伝え、庭のテーブルに向かう。テーブルの上座にあたる部分にはおじいさん。おばあさん。真ん中にタオ、ボク、真向いにママ、パパ、横にモエが座った。タヒリ、ウイラと座った。次々に3名の給仕達が料理を運ぶ、どれも美味しかった。
パパは、事業をしていて、地元でも大きな会社を経営、おじいさんは、タヒチ国王ポマレ4世の血を引く人であること。また地主であることもわかった。小鳥たちのさえずりは、いっそう華やかなテーブルに加わり大いに笑い、会話は素敵なランチに変えていきました。食事が終わり、ボクらは用意された部屋に別々に案内されタオと離れた。案内してくれた女性は18時にまたくるといわれ、内線電話、シャワー、などを教えてくれ、出て行った。タオの部屋はどこなのか聞き忘れ、直ぐドアを開けたが姿はなく、ベット横の椅子に座っているとノックしてタオが来た。
「慣れない雰囲気で疲れただろう」とタオにいわれ「緊張してて、タヒチ語が使えなかった・・・素敵な家族だね」というと「オレは緊張は、ないがお前が家族に受け入れられて嬉しい」といってくれた。特にママとおばあさんは、タヒチでは、女性が強く、発言権は、男よりあって見かけは男を立てて裏で糸を引く存在だといわれた。
「タオと一緒の部屋がいい」とダダをこねたが「それはできない習慣だ」と言われ、「オレが来るし、内線で呼べばすぐに飛んでくる」といわれ諦めた。「今夜20時から歓迎の宴会があるからそれまで休め」といわれボクが眠るまで傍にいてくれ、噴水の水音が微かに響き、南の小鳥のさえずりを聞きながらボクは、タオの膝の上で眠りに入った。
この後、日本では考えられないことをタオから告げられるのです。

