タヒチの星の下 6話 BL
タオとのファーストKiss
潮風が気持ちいいからこのままでいてくれ
5月の風は身も心も丁寧に寒かった日々を忘れさせてくれます。
久しぶりに見るタオは、いつもより大人ぽくボクには見えているのは
少しだけ髪を切ったのか髪をかき上げる仕草が違って見えていました。
運転席からたまにボクを見てはニヤニヤする顔が愛しくて、ボクは彼の
右手にしがみつき頭を腕につけてタオの匂いを嗅いでいた。港の近くのカフェでランチをするために2時間かけてここまで来たのかと思いましたが運転好きの彼は満足してるようにも見えました。
車の外に出ると何ともいえない潮風がボクらを包み、思いっきり深呼吸をしているとボクは深呼吸をしながら、その空気を感じた。「いい匂いだ」とタオが微笑んで言うと、なぜか涙が目からこぼれた。
「おいおい、どうしたんだトニー。何かオレ、お前を傷つけたか?」「違うんだ。ただ、どこかでこんな同じ風景を見たような記憶があるんだ。不思議な気持で懐かしい気持ちなんだ」とボクは言葉に詰まった。
全く同じシーンを見たようなデジャブ記憶があるんだ。なんかそんな気がして自分でもわからない。
-それは未来で起きる白昼の予知夢のつづきのようだった-

タオはボクを抱き寄せ、海を見ながら
「思えばこの先のずっと向こうの東に日本があるんだよな」ボクの耳元で
「ママのミルクでも飲みたくなったのか?トニー!あはは」とジョークを
いわれ「かもしれないね!」と言い返すと「ランチする前に話たいことがあるんだ」「お前の誕生日の日を覚えているよな?7が付く日を2人で祝い合うこと。6月3日と2月4日で7の付く日」「勿論、覚えてるよ」「7月にオレの生まれたタヒチに行かないか。あと2か月あるから予定を合わせてくれない?」「どうしてもオレの妹夫婦やグランパ、グランマと両親に会わせたいんだ。それに南十字星をお前に見せたい!これだけは譲れない!」
「旅の費用はオレが用意する。お前には、オレの故郷の空気を吸ってほしい」とタオは真剣な表情で言った。ボクは、じっとその目を見つめながら、初めて会った時の魔法のような瞬間を思い出した。
ボクは、届く限り背伸びしてタオの頬にキスをした。「ありがとう、タオ。なんだか、まるで宝くじに当選したみたいな気分だ。どうやって会えばいいのか心がざわめくばかりだけど、行っていいの?」緊張と不安が心臓に重くのしかかる。
「そのままのトニーでいいんだよ。みんな喜ぶから」とタオは微笑んだ。目を見つめ合いながら、彼の真剣な表情が、初めて会ったときの魔法のような錯覚を再び呼び起こす。
「1つ質問してもいい?」「何だ」「もしかして、毎日忙しくアルバイトしてたのは、この旅費のためだったの?」
「んんまあそうだな。本当は、家族にお前を紹介したくて、それと、初めて見る南十字星だな。お前の笑顔が見たかったんだ」
タオは、目をキラキラさせて言ってはいるが、ボクは内心、変な恐怖感が湧きあがっていてそれは、とうとう初体験が訪れる日かもしれないということでした。いずれにしても、心の準備をする必要があると悟りました。
しかし勝手な想像でしかない、そういう行為をしたことがないので彼がリードしてくれるのだとも思いました。今まで一晩一緒にいたということはバーで酒をみんなと飲み朝までいたぐらいしかないので、胸がザワザワするのが分かって、この気持ちを2か月も引っ張りながら耐えられるのかと心配になったりもしました。普通の恋愛は何?と考えたりもしたけど、もう一人の自分が普通ってなんだよ!と打ち消して自問自答していました。
Taoと初めてのキス
初めてタオとのキスは、まるで魔法にかけられたような瞬間だった。出会ってから一か月、日々を彩るくだらない冗談や話題で笑い合いながら過ごしていた中で、その日は特別なものとなった。
普段は「じゃあ、いい夢を!」と簡単に別れる二人だが、その日は違った。
アパートのエントランスに向かう途中、急にタオの力強い手に引かれ、ボクの目とタオの目が合った。ほんの数センチしか離れていない距離で、タオの顔が近づいてきた。その瞬間、ボクは瞬きすら忘れ、彼の瞳に魅了される甘い息の匂いが漂う中で、唇が触れ合う。
ボクの身長175センチ、190センチ近いタオは圧倒的な存在感を放ち、マッチョで力強い体がボクを包み込んだ。彼の目は深く、どこまでも吸い込まれそうな魅力を持っていた。
キスの瞬間、周囲には誰もいない歩道で、ただ二人きりだ。時間の感覚が失われ、まるで別世界にいるかのように感じた。ボクは、目を閉じたまま、何分キスを交わしていたかすら分からない。それは、現実と夢の間の微妙な境界線を感じさせる至福の時間だった。
「これがキス……こんなに素敵なものだったんだ」とボクは心の中でつぶやきながら、その感覚を噛み締めた。妄想や想像とはまったく異なる、実感としてのキスの美しさに触れ、その瞬間ボクの魂を揺さぶられた。
初めてのキスの間、ボクは眩暈さえ覚えるほどの感動に包まれていた。その瞬間から、ボクの心はタオに向けられた深い愛と共に満たされていったのです。忘れられない…至福な夢のような時間を…初めて体験をした。
彼のやわらかい唇が離れると…タオはボクの目から目を離さず
I’m crazy about you! I love you more than words can I say! Tony!
オレはお前に夢中だ!言葉が見つからないほど愛してるトニー!
しかし、何よりも、ボクはパニックに陥り、口にする言葉が見つからなかった。階段の上までタオの右手を決して離さず、そして彼は階段を降りてゆく彼が車に乗り込むまで手を振り続けながら、小さくなる車を見送った。
ドキドキを抑えきれない気持ちを抱えながら、ボクは部屋に戻り、ぼんやりとした感覚に襲われながら、床にへたり込んだ。ボクの肩は小刻みに呼吸をする。右手の指で自分の唇を触り、タオの唇の触感を思い出そうと何度も触った。
そこにあったのは、ボクが恋に落ちた瞬間だった。ラブコメやBLのシチュエーションとは違う華やかなストーリーとは違ったけれど、それでもボクにとっては胸が高鳴るような展開だったのだ。ボクの心は、一瞬で変わり始めた。目の前で起きた不思議な出来事は、ただの物語ではなく、現実の奇跡だった。
タオは、バイセクシャルだと家族にはカミングアウトしていると言っていてボクは?どういう存在?どう説明する?何ていうの?友達?彼氏?男だから彼女にはならない?ボクの中で疑問詞のページが瞬く間に増えていくのが分かりました。ファーストキスからタヒチの実家とか心の独り言が多くて何かタオが話しているのに全く聞こえなかった。気づいたらメニューをタオが説明してくれていました。

シーフードをオーダーして食べ終わりその後、浜辺を散策しました。
ボクが知りたかったタヒチの人たち、シアトルからどう移動するのか。とか山のように質問責めしてもう片方の思考は、何をお土産にしょうかなど色々考えていました。デニムの裾をまくり上げ小波を素足に受けながら手をつないで歩くとまだ海水は冷たいけど気持ちは、タヒチに飛んでいました。
波のこないところに座りタオはボクにバックハグしながらボクの肩に顔をのせ遠くの地平線を見ながら沢山のことを話しました。時々、首にキスをするけど刺さる濃い髭が少し痛かった。そしてタオは簡単な日本語の幾つかを覚えました。まだ街中には侍や忍者がいるのかと聞いてきて、ボクは「たまにいるよ」とウソを言いましたが、帰る時にあまりいないともちろん訂正しました。あまり・・・と言ったのは現に映画村は数か所そういう所があるので
期待を削らず言いました。
タオにとっては、クールらしい!興奮気味に言うし、箸の使い方を覚えたい!日本に行ったら失礼にならないようにしたいとか21歳.22歳の同世代とはいえカワイイところがあって、ボクの先祖は侍の家系だというと目をまん丸にしてoh samurai my Babe!といって更に興奮していました。


タオの日本のメージは近未来的な高層ビルが建ち並び侍や忍者が歩いている。どういうカオス状態なのでしょうね。
こうして久しぶりに会ったデートは素敵なものになりボクはボクで最低限のタヒチ語の勉強をはじめます。

ますますタオの愛を感じながら童話のような物語が展開してゆくのです。
