タヒチの星の下11話 BL
マオヒが呼ぶ声
Shall I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more temperate.
君を夏の日にたとえようか 君の方がずっと美しく 幽玄だ
/シェークスピア
前日は寝付けなくて夜中の2時に起きて少しグラッパを飲みながら窓の外を見ていた。人通りは殆どなくて警察のサイレンだけがけたたましく響いていた。---長い時間乗るんだから早く寝ろ!眠れなくても寝ろ!---
タオの残る移り香を部屋に感じながら思っていた。もう寝てるよな・・・
人を好きになって愛することってこんなにも胸が張り裂けそうになるの?
ボクを愛してくれてるのは分ってる。
でも今すぐに会ってタオにキスしたい。
2杯目のグラスで少し眠気がきたのでベットに戻った。目覚めると7時になっていて急いでシャワーに入り準備を始めた。管理人にも2週間不在にするからよろしくと言わなければならなかったのを忘れていた。MILLER夫人は最上階に住んでいていつもパイプをくわえタバコ好きだ。屋上には、花やハーブを植え楽しんでいる。時計は8時20分、もうタオが来るまで時間がない階段を駆け上りノックすると応答がない。今度はドアベルを鳴らす。やっとドアが開いた。「おやeast BB!どうしたの?こんな早くに。コーヒーでもどうお?」ミラー夫人はボクのことを東からきた少年とニックネームで呼び、
2週間留守にすることを伝えた。「あらいいわねー。私行ったことないから羨ましいわ」ソーサーをつけコーヒーを持ってきた。「ミルクと砂糖はここよ」時間が無いから焦っていました。話しが長い。とにかく長い・・・コーヒーどころじゃないのに・・・日当たりのいい部屋には趣味のいい骨董が置かれ、彼女と亡くなったご主人とのウエディング姿が飾られ、とても美しかった。
モノクロだったから余計に際立った笑う顔の美しさがわかった。話を聞いていても時間ばかりが気になる。10分ほど話しをして「ミラー夫人。じゃーそろそろ飛行機の時間があるので行きます。コーヒーありがとうございました」「今度ゆっくりお話ししましょね。East BB!気を付けて行くのよ。ハグしてちょうだいタヒチの話し聞かせてね」ミラー夫人の部屋を後に戻るとドア前にはタオが待っていた。「遅いぞトニー!」「管理人に留守を頼んできたゴメン」「そうなのか」
「鍵を渡しているのに入って待てばいいものを」と独り言を言った。
「荷物はこれだけでいいのか」「トランクとあとは貴重品と紙袋、これで全部だよ」「「パスポート持ったか?もう1度確認!これが一番大事」ボディーバックの中にあるのを確認した「あるよ」「OKよし!行くぞ!」
トランクを持つ前にボクを持ち上げるようにキスをして「とうとう行けるなトニー愛してるよ」「ボクもだよ」ドアを開けタオは、トランクを一気に抱え階段を下りて行く。
Seattle-Tacoma International Airportシアトル・タコマ国際空港は、
市街地の23km南に立地している。30分ほどで行ける。
そう言えば朝食を食べずに来て、空腹だった。「何か食べたの?」「いやコーヒーだけだ」「空港で何か食べよう」ということになり

エアタヒチヌイのカウンターで荷物を預けたがスムーズだった。immigration出国手続を済ませて食べようとなりました。Return ticketも必要なもの。見るとそれも、そのはず「え?ビジネスクラス?」だからスムーズだったのかと思い、「タオたくさんお金使わせたね。ありがとう」「長いフライトだから疲れるし、狭い座席は体デカイからオレには無理!」と一喝されて
「肩を抱かれた」「何食べよう」と探しているとラウンジがあって、
ボクの持ってるクレカと提携しているのが分かりラウンジで朝食をすることになった。広いソファーもあるしシャワーもあってラッキーだった。タオの皿にのる量が多かった。ボクは沢山食べられずに果物とクロワッサンにして軽く済ませた。

搭乗まで1時間を切り「トニー窓の外見て見ろ!2つ目のヤツがオレたちが乗る飛行機だ」白に鮮やかなブルーの機体。タヒチの国花”ティアレ”と、タヒチの綺麗な青い海を連想させるライトブルーをロゴにしています。
タオの右肩に頭を寄せて見ているとすーっとサングラスの間から何故か涙が零れた。タオの右手は力をこめてボクの左手を握っている。
「やっと行けるな。オレが生まれた国へ」言葉にできないほど幸せでした。
鼻をすするとタオが「どうした?また泣いているのか。お前はよく泣くヤツだな」と言ってボクの髪を左手でかき回す。
「夢みてるようでコワイんだ」「夢なんかじゃない!天使がくれたプレゼントだと思え。将来、お前の両親が許してくれるなら、結婚してもいいとオレは思ってる」初め「え?」と耳を疑いましたが、もちろんできるものならしたい。時間が止まりこのまま過ごせたらと思い嬉しかったのです。

搭乗30分前になりアナウンスが聞え、乗り込むことになった。
ファーストクラス、ビジネス、エコノミークラスと続く、この間もタオは
ボクの手を握り、機内まで離すことはなかった。
飛行機の入口では、チャーミングなCAが出迎えこの前の方にと説明して
Are you on your honeymoon? I'm introducing him to my family.
Have a great honeymoon.
ハネムーンですか?彼を家族に紹介するんだ。
それに近いよ。とタオが応え「素晴らしい旅を!」とCAが言ってくれた。

と微笑みながら優しく言ってくれた。嬉しかった。軽々と上部の棚に紙袋を入れてくれ、時々ボクをタオが見てウインクする。座席は広く、すぐに飲み物をCAは運んできた。タオは、スパークリングワインにしてボクは、水にした。簡単なつまみとボクにはナッツがきた。20分遅れで飛行機は離陸して、タヒチの玄関口であるファアア国際空港へ飛び立った。

背もたれが高いせいで誰も視野に入らないのでタオは頻繁にボクにキスをするが、出口で迎えてくれたCAには見つかり、またここでも「何でもご用の際には呼んでください。これは、あなたに!幸せになってくださいね」と
ボクに白い花を渡され優しい微笑みながら次の席へ向かっていった。
家長おじいさんの事、風習、両親、妹夫婦などを聞き、空港には、妹夫婦が出迎えるようです。タオとの2人旅がはじまったばかりなのにもう、こんな

に幸せでいいのでしょうか。12時間後にタヒチの大地を踏みます。
