芝生に咲く、ちっちゃな花のお話
梅雨時の楽しみ
梅雨時は、じめじめしていて鬱陶しいものですが、花の写真を撮っている私にとって実はそれほど悪くない時期。ギラギラした太陽の日中は、日差しが強すぎて影が強く出ますが、曇り空や小雨の時は色が乗ってくれるのでありがたいし、雨上がりなどは水滴がアクセントとなって、うまく撮れたような気になります。
芝生で見つけるちっちゃい花
梅雨時の私の楽しみのひとつは公園の芝生の上にあります。公園ですから遠くに出かける必要もなく、散歩や写真を撮りによく出かけます。お目当ては二つあります。
一つ目はニワゼキショウ(庭石菖)という小さい花です。二つ目は、それよりちょっと遅れて咲くネジバナ(捩花)という、これも小さな花です。どちらも芝生によくみられますが、どこにでも咲いているというわけではありませんし、小さいので意識しないとなかなか見つけられません。

「宝探し」のはじまり
今年も芝生の上でちっちゃな花の「宝探し」がはじまります。毎年咲いてくれる、お気に入りの場所に出かけていきます。カメラを持っているので不審者扱いされたことはないと思いますが、大人がしゃがんでじっと地面を見ているのは、かなり怪しいかも知れませんね。
なぜ宝探しかといえば、見つける喜びもさることながら、それぞれの花の形がみんな違っていて、好みのものを見つける「推しさがし」のようなところがあるからです。
ニワゼキショウは横から見るのが好きで、さすがアヤメ科、黄色いところがとても美しく、本当は腹ばい状態で見たいのですが、一度公園での腹ばい状態の時に、倒れていると思われたのか、「大丈夫ですか?」と声をかけられたことがあって、それからは腹ばいは控えるようにしています。

何でねじれるの?
ネジバナはニワゼキショウのあとに咲きますが、これまた横からの眺めが最高です。雑草ながらラン科で、何といってもピンク色がかわいいし、咲き方がみんな違っていて、ちゃんとらせん状になっているものもあれば、ひねくれていたり、直線状になっていたりしているのもあって見ていると楽しくなってきます。

ねじれる理由は、やってくる昆虫で自家受粉するのを防ぐためのようです。隣り合う花が近いので、向きをねじって変えてコントロールしているのですね。そんなことを考えながら芝生の上で時間がどんどん過ぎていきます。

写真を撮る
小さい花の写真を撮るときは、だいたいマクロレンズを使い、マニュアルフォーカスで手持ち、かつあまり絞らずに撮っています。以前は三脚でカメラを固定して撮ることが多かったのですが、最近は身軽で自由度の高いこのスタイルがお気に入り。(マニュアルフォーカス、手持ち、絞りは開放、手振れ補正なしなので、失敗作だらけです。)
二本並んでいるときは、カメラと平行になるようにして、面でピントを合わせます。背景の色も考えて位置を決めます。本当は腹ばいがいいのですが、怪しまれないように、やむなくカメラのモニターの角度をかえて、しゃがんで撮っています。

最後に
芝生の上で、子どものときは、虫や四つ葉のクローバーを探していましたが、今はニワゼキショウやネジバナを探しています。探すものは変わっても探すたのしさは変わりません。
芝生の上で一歩立ち止まって足元を見ると、小さい花々が咲いています。私がこの花々を知らないときは、何の興味もありませんでしたが、今は梅雨時の芝生が宝もののありかのように見えています。
昨日まで何も感じなかったものが、何かのきっかけで「ハッとして」ガラッと価値が変わっていく。こういうことが人生の中ではよくありますね。
公園に行ったら、遠くの景色だけでなく、ぜひ足元にも目を向けてみてください。芝生の上には季節だけが知っている小さな宝ものが隠れていて「ハッと」するかもしれませんよ。
