人事に仁慈なし
次年度の人事の内々検討が始まった。
ゾワゾワするような辛辣な意見と、オトナの仮面の下に隠されたホンネが行き交う会議だった。
今回、Hさんの次年度ポジションの検討が、議論のテーブルに乗った。
もうすぐ50歳のHさんは昇進したくてたまらない。
その分しっかり仕事もしてきたけれど、自分の好きな仕事にだけ片寄っているし、会議やミーティングでの物言いも配慮に欠けていることがある。
パワハラすれすれの言動も一部あり、それとなく伝えるけれど相手次第で態度を変える危うさがある。
そこまで言うならHさんを候補にするなと思うのだけれど、本人でないと難しい仕事があり、頼らざるを得ないという組織上の弱みもある。
今回昇進の話が流れれば転職を考えていると上司に呟いたらしく、会議の場ではHさんのそういう駆け引きを仄めかすやり方に嫌悪感を示す管理職が顔をしかめていた。
自分の昇進が決まった会議でもこんなふうに言われていたんだなと背筋がヒヤヒヤ、胃が痛くなる会議だった。
一方で、Tさんの昇進は一瞬で決まった。
実績があること、将来性があること、協調性や周囲からの信頼が厚いこと、理由はいくつでも挙げることができた。
HさんとTさんではポジションが違うとはいえ、こんなにも流れが違うのか。
当然だが管理職の気分やその場の空気感で決まっているわけではなく、業績に関する人事評価の結果をもとに議論されている。
それでも生々しい話がでることもあり、そういう場にはいたくないと思う。
本当に自分には向かない仕事だ。
転職も考えたいけれど、この年ではどこに行ってもプレイヤーとしては採用してもらえないだろう。
早期退職という選択肢が頭に浮かぶものの、現実的ではない。
「嫌になったら会社をやめればいい、プレイヤーに戻ればいいだけだ、そのくらいの気概はある」とずっと思ってきたけれど、人事を考える方の立場になってみてわかったのは、管理職まで経験した女性を新たに採用しても使い方に困るだけだということ。
働き続けるのは簡単ではない。
仕事人生をきれいに終えることは、さらに難しい。
