ふたり 終章

■5月12日(金)終章
 私の誕生日は当初菜緒ちゃんと二人だけで行う予定でしたが、有子ちゃんと鳴海君も呼ぶことになり私の家で盛大に行うことになりました。
「なあ、田村。スコールは?」
「京子ちゃんドクペ買ってないってことないよね?」
「あーもう二人の分は冷蔵庫に買ってあるから!!」
 人の家に来たのに変わらず二人とも自分の好きな物を飲もうとするその心意気が凄いと思います。
「菜緒ちゃんごめんね。急に二人も呼ぶことにして」
「大丈夫だよ。楽しくて、良いね」
 こっそり菜緒ちゃんと手を繋いでいます。テーブルの下で。ちょっとエッチな気がしますね。
「京子ちゃん体調良くなって安心したよ。二日も休むなんて初めてだったし」
「その件については本当に菜緒ちゃんにはご心配をおかけして・・・」
「そうだよ。もう、次からは心配かけないでね」
 珍しく菜緒ちゃんがプリプリ怒っています。普段見られない姿が見れてこれはこれで良いですね。ごちそうさまです。
「おーっし、田村のためにプレゼント買ってきたぞ」
 なんとさっきの飲み物の流れは冗談で、外にプレゼントを取りに言っていたみたいです。
「え!?」
「有子と二人で選んだ」
「気に入ってもらえると良いんだけどね」
 さっそく開けるとそこにはペンケースが入っていました。
「うわ!ちょうど買い替えようと思ってたから凄く嬉しい!ありがとう二人とも!」
 二人は満足そうな顔をしています。
菜緒ちゃんももじもじしながらプレゼントをくれました。
「えっとね、その、似合うかなって思って」
 開けてみると可愛いネックレスが入ってました。
「ね、ネックレスだ!」
「これね、実は私の指輪とおそろいのデザインなの」
 菜緒ちゃんがいつもつけているお洒落指輪と同じデザインがされたネックレス。これはもうもしや結婚では?今すぐに抱きたいです。
「ひゅー!私達が言うのも変だけど、二人も本当に仲良いわね」
「だなー。これからも4人で仲良くやって行こうぜ」
「うん!みんなこれからもよろしくね!」
 楽しい楽しい誕生日会は夜になってお開きになりました。

 京華。今日の誕生日会の後菜緒ちゃんと二人で一緒に暮らさないかって話したよ。今すぐは無理かもしれないけど、大丈夫。京華の言う通り、20歳になった私は未来が見られるようになったよ。少し先の未来で私は菜緒ちゃんと一緒に暮らしていたの。だから寂しくないよ、大丈夫。降霊術ができるかは今度実家に帰った時にお母さんと一緒に試してみることになったの。
 そうそう、あれからね元会長さんが今後うちを訪ねてくることになったの。霊に関することとか過去の事件の事とかを色々教えてくれるんだって。いつか当主になった時に必要な知識だからって。
 それからそれからね。鳴海君の事もお母さんに相談したよ。鳴海君にも話したら是非コントロールできるようになりたいって。有子ちゃんも若干霊能力あるみたいだから菜緒ちゃんも含めて4人で今度私の実家に行くんだ。菜緒ちゃんには霊能力の事まだ話してないけど、いつか話そうと思う。
 少しだけ私自身も変わったところがあるんだよ。ちょっとだけ見た目が大人っぽくなったみたい。菜緒ちゃんだけじゃなくて、鳴海君や有子ちゃんにも言われたから間違いないと思う。きっと、京華の影響だよね。20歳になったから少しだけ大人としての自覚も出たよ。
 あ!20歳になったから今日初めてお酒を飲んでみたけど、あれってあんまり美味しくないね。すぐに身体が熱くなってふらふらして、全然楽しい気持ちにならなかったよ。でもね、お姉さん京華とは一緒にお酒飲んでみたかったなって思う。お父さんは実家に帰った時に20歳になった私と一緒にお酒が飲めるのを楽しみにしているんだって。
 京華が居なくなってまだ1日も経ってないのに、これだけ沢山の事があったよ。やっぱりちょっとだけ寂しい気持ちがあるよ。だって、家族以上の存在の人だったんだから。でもね、今日菜緒ちゃんたちと一緒に過ごして、きっと私は大丈夫って思えたよ。
 だからさ、心配しないでね。京華はきっと心配なんてしてないんだろうけど、一応ね。格好つけてみたいから、言ってみたよ。
 
もうすぐ5月13日(土)になる。リミットとか何だかんだ言われていた私の誕生日はあっという間に終わりを告げる。そしてそれは、正常に時間が進めている証拠。京華、あなたのおかげで未来に向かって針は動き出しているよ。本当にありがとう。
これからもずっと、ずっと私の事を見守っていてね。大好きだよ京華。

『私も、京子が大好きだよ。ずっと側で見守っているからね。怖い意味じゃなくてね。守護霊みたいなものだと思って。菜緒ちゃんと幸せにね』 
 空に一瞬だけ京華のような姿映り、私にウィンクして消えてきました。大丈夫、頑張るよ。

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