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人生の分岐点になったあの出費

貴方の人生の分岐点はどこですか?

忘れることのできない出費と言われたら、
思い浮かぶのはアレだ。

アレはまさに人生の分岐点。

腹を空かせた弟達が帰りを待っている。
冷蔵庫は空っぽ。
笑っちまうくらいなんにもない。

今夜の答えは、俺の財布の中にある。

一万円札が一枚。

これは金じゃない。

命だと。

これは選択。

守るか、裏切るか。

兄でいるか、逃げるか。

分かっている。
頭では、全部。

俺は呼ばれたんだ。

これは分岐点。
人生の分岐点ってやつだ。


サンドに一万円を差し込む。
ズズ……という音が、妙に大きく聞こえた。

戻れる。
今なら、まだ戻れる。
弟たちの泣き顔が、確かに浮かんでいる。

それでも俺は、


レバーを叩いた。

テッテレテッテッテ‼︎

リールが回る。
世界も一緒に回る。

画面の奥で、ピエロが笑う。



おい、笑ってんじゃねぇよピエロ。

視界がぐにゃっ〜と歪む。
光が伸び、音が遠のく。

ジャグラーの画面に、
家で泣く弟たちの顔が重なって見えた。

重なるな。
やめてくれ。

俺たちの金を奪いやがって。
今日だけは許さねぇぞピエロ。

俺は心の中で叫びながら、
指は次のレバーを叩いている。

テッテレテッテッテ‼︎

千円が消える。
二千円が消える。
弟たちの涙が、現実として積み重なっていく。

負けはない。
勝ち負けの話じゃない。
これは命の話。

まだだ。
ここからだ。

これは分岐点。
人生の分岐点ってやつだ。


最後の千円が、サンドに吸い込まれる。

一瞬、世界が止まった。

何も起きない。
ペカらない。
音も鳴らない。

胸の奥が、遅れて痛み出す。

返せよ……
返してくれよ!!
人の物を盗むなぁぁぁあピエロォォォォ‼︎


答えなんて、返ってくるはずがない。

当然だ。

店を出た夜は、やけに静かだった。
泣いている弟たちの顔だけが、
おぼろげに頭に残っている。

人生の分岐点は、
後になってから気づくものじゃない。

一万円がサンドに吸い込まれた時点で、
俺は分かっていたのかもしれない。

ピエロは俺だったんだ

テッテレテッテッテ‼︎

俺は今、妄想と現実の境界線で戦っている。
君の「スキ」は弾丸だ。
撃ち込んでくれ。

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