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刑務所の中の医療事情

私が医療従事者となり、一番長く関わったのが矯正医療。 
刑務所や少年院、医療刑務所など転勤を繰り返し、10年以上勤務しました。


矯正医療とは

刑務所や少年院の中の診療所

そもそも、矯正医療ってなんだと思いますか?

多くの方は歯科の歯列矯正を思い浮かべるのではないでしょうか。

私が10年以上関わった矯正医療とは、

犯罪や非行によって刑務所少年院などの矯正施設に収容している被収容者に対する保健衛生及び医療の提供を総称するもの

https://www.moj.go.jp/content/001323825.pdf

のことです。

刑務所などの矯正施設に医療施設があり、医師や薬剤師、看護師といった一通りの医療従事者が在籍しているんです。

恥ずかしながら私は、このことを、勤務することになった矯正施設の求人を見て初めて知りました。

他の医療従事者たちもご存じなく、ほとんど知られていないと言って良いと思います。

医療従事者の間でも知られていない、未知の世界
それが矯正医療です。

塀の中は小さな町

刑務所などの矯正施設の中って、どのようになっていると思いますか?

日本の受刑者は、裁判所が決めた刑期(「懲役~年に処する」というやつです)、刑務所内で作業をすることになっています。
ですので、刑務所内には「工場」と呼ばれる作業所が多数存在しています。

「工場」の中には、木工や金属の製品を作る生産工場の他に

収容者の衣類・寝具等を洗濯する所
収容者たちの食事を作る所
施設の修繕や工事などを行う所
散髪をする所
図書館
物品の購入に関わる所

といったように、通り一遍の機能を備えているため、塀の中で収容者の生活が完結するようにできているのです。
その中の医療部門を矯正医療が担っていると考えてください。

※受刑者と収容者の使い分けは以下の通り
受刑者⇒刑が確定しており、懲役刑など分類上受刑中となっている者。
収容者⇒施設に収容されている者。裁判中の被告人等を含む。


矯正医療の基本的な考え方

矯正施設に収容されている人たちも、一般社会で暮らしている人たちと同じく、憲法で保障された「生存権」や「健康的で文化的な生活を営む権利」を持っています。 

そのため、被収容者が病気や怪我をした際には適切な医療を受けられる体制が整えられています。

刑事施設で受刑者の健康を維持し、円滑な社会復帰を支援することは国の責務であり、その医療費や薬代はすべて国費でまかなわれます。

矯正施設の医療体制は、大きく分けて以下の二つの区分に分けることができます

1.刑務所内診療所

  • 多くの矯正施設には診療所があり、医師・歯科医師、薬剤師、看護師などのスタッフが在籍

  • 通常の診察に加え、慢性疾患の管理軽度の病気や怪我の治療各種定期健康診断を実施

  • 所内の医療設備では対応できない疾患や外傷に関しては近隣の外部医療機関医療刑務所に依頼。

レントゲンやエコー、上部消化管内視鏡、採血(血球数、CPR測定装置)といった機器を備えています。

2.医療刑務所

  • 全国に4か所あり、医師・歯科医師、薬剤師、看護師、放射線技師、臨床工学技士、理学療法士などが専門スタッフも在籍

  • 各種手術人工透析機能回復訓練緩和ケアなど専門性の高い医療を実施

  • 精神科専門の施設もあり、施設内で処遇を行うことが困難な精神疾患患者の治療を実施

病院のような設備、構造をしていますが、あくまでも刑務所。
個々の病室内に入る際に鍵が必要ですし、必要に応じて刑務官の立会も要します。


矯正施設ならではの課題


近年は被収容者の高齢化が進み、慢性疾患介護が必要な者が増えています。

認知症の者や筋力低下により日常生活動作の困難な者など、一部の施設では高齢被収容者に特化した対応を行う施設もあります。

では、なぜ被収容やの高齢化が進んでいるのでしょうか。

上記のリンクが詳しいのですが、高齢者の孤立や貧困など社会的な要因が加わっていることが大きいと考えられています。

また、薬物依存摂食障害の患者も多く、精神科医療への需要が高まっています。
いわゆる「アディクション」と呼ばれる行為の裏には発達障害があることも多いと言われています。

発達障害であることは犯罪ではありません。
しかし、発達障害に起因する問題行動が法に反する場合があり、刑務所に入ることになる。
これもまた社会が引き起こす犯罪の一つであると思います。

まとめ


矯正施設の医療は、被収容者の健康を守るだけではなく、社会復帰を支えるために欠かせない機能です。

健康でなければ働くことができないし、働けなければ収入を得ることができません

お金が無ければ、住む場所も食べるものもありません

そうなれば、再び法に触れる行為を行うことで、矯正施設に再度入所する可能性が高まります。

被収容者の健康を保つことは、再犯防止につながる土台の一つといえます。 


最後に

 
今回は矯正医療について、簡単に書かせていただきました。

世間からは目立たないですが、受刑者が更正を果たすためには必要な存在です。
医療の側面で受刑者を支える医療従事者たちの事を、少しでも知ってもらえたら幸いです。

ご質問もお待ちしております!
 
最後までご覧くださり、ありがとうございました。


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