ヴァッテルの「国際法」英米圏での普及
ヴァッテル 『国際法と自然法の原理』 1792年 ダブリン刊
Vattel, Emerich de, The Law of Nations; or Principles of the Law of Nature: Applied to the Conduct and Affairs of Nations and Sovereigns. Dublin, Luke White, 1792 <R21-45>
8vo, lxxii, 728p., contemporary calf. ESTC T60748
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本書は、スイス出身の外交官であり国際法学者として活躍したヴァッテルの主要著作「国際法 または諸国民と諸主権者の行動および事務に適用される自然法の諸原則」のダブリンで発行された英訳版です。

原書のフランス語版初版は、彼の故郷であるヌーシャテルで印刷され、1758年にロンドンで出版されました。英訳版の初版は、他言語訳に先駆けて1760年にロンドンで刊行されており、原著初版からわずか2年後のことです。

本書は、1760年、1787年の英訳版に続く、1792年にダブリンで刊行された事実上の第三版にあたる版です。初版以降のフランス語版に付け加えられた著者のメモが含まれていないため、1758年フランス語初版や1760年、1787年英訳を参考にして発行されたものと思われます。以降20世紀前半に至るまで、英米圏においてヴァッテルの主要著作は刊行を重ねることになります。

ヴァッテルの思想は英米圏において高く評価され、特にアメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンも本書を手元に置いていたとされ、その影響はアメリカ独立の思想的基盤の一つとなったとも言われています。またヴァッテルが明確化した「中立」の概念は、アメリカ独立以降にヨーロッパ諸国との紛争を避けるアメリカの中立政策の維持に多大な影響を与えたといわれています。
参考文献
松隈清『国際法史の群像 その人と思想を訪ねて』1992年 酒井書店 253-281頁
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