アメリカ独立の思想的基盤の一つとなった国際法の体系書
ヴァッテル 『国際法と自然法の原理』全2巻(1冊)新版 1775年 アムステルダム刊
Vattel, Emmerich de, Le Droit des Gens, ou Principes de la Loi Naturelle. Nouvelle edition. 2 tomes en 1. Amsterdam, Harrevelt, 1775 <R14-302>
New edition. 2 vols. in 1. 4to, [iv], xxviii, 316; [iv], 216pp, contemporary full calf. INED 4391
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スイスの外交官、国際法学者として活躍したヴァッテルによって著され彼の代表著作であり、初版は1758年にフランス語で刊行されました。彼の死後も1774年、1775年、1777年と版を重ね、当時広く読まれた国際法の体系書として高い評価を受けました。

本書は、法学・哲学における神学的影響を排し、自然法の世俗化を推進したヴォルフの思想に強く影響を受けています。しかし、単なるヴォルフ思想の紹介にとどまらず、自然法および国際法に関する画期的な著作として広く読まれました。アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンも本書を手元に置いていたとされ、アメリカ独立の思想的基盤の一つとなったとも言われています。

本書では、人民主権の原則を明記し、主権に基づく国家間の平等を提唱するとともに、戦争権を国家主権の一部として定義しました。特にスイスにとって重要であった戦争における中立の問題に関して大きな貢献を果たしており、「Neutrality(中立)」という語を初めて国際法史において用い、その定義を明確にしたことでも知られています。

参考文献
松隈清『国際法史の群像 その人と思想を訪ねて』1992年 酒井書店 253-281頁
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