国内外のトップシェフたちが信頼を寄せる炭焼き職人さんを訪ねる【第125回 地域活性化という「遊び」】 著者:山本晋也
紀州備長炭は炭の最高峰とされる。
その中でも群を抜く品質を誇る職人さんを訪ねた。
山を知り、窯に入れる前の木の状態を掴み、消火も一本ずつ丁寧に。
その技術には驚くことばかり。
奇絶峡に佇む炭焼き小屋
鬼が投げ落としたような大きな石
中国の山水画のように切り立った山。
奇絶峡と名付けられたのも頷ける。
そんなところから脇道へ入ったところに
その小屋はありました。
野鳥の声に混じって
放し飼いされている鶏の声。
ところどころ手作りの階段がある
急な坂道を下っていくと
伐採された木が太さごとに選別され
綺麗に積まれていて
さらに下ると
むわっとするような木酢液の匂いが漂い
なんだか東南アジアに暮らす山岳民族の
集落に迷い込んだような錯覚に陥る。
ここで暮らすのは
僕らが暮らす限界集落より
さらに厳しそう
などと思いながら辿り着いたのは
知る人ぞ知る炭焼き職人さんの作業小屋。

右:鶏は完全に放し飼い。 夜になったら身を守るため高い木の枝に止まって寝るそうです。
もう他の人が焼いた備長炭は使えない
炭火焼きというと
原始的で極めてシンプルな調理法ですが
遠赤外線の放射量が極めて多く
現代のハイテク厨房機器をもってしても
その理想的な火の入り具合を再現することはできないとされています。
特に紀州の備長炭は
一度火がつくと安定した高温を維持でき
炭の中でも特に遠赤外線が多く放射されるため
最高品質とされています。
その紀州備長炭の中でも
今回お邪魔した職人さんの焼く炭の品質は群を抜いていて
その炭火に手をかざすと
熱いを通り越して痛いと感じるほどの火力があり
日本のトップシェフがこの人の炭を使うと
もう他の人の炭が使えなくなるというくらいの品質だそうです。
紀州の山には
良い炭の原料となるウバメガシという
非常に緻密な樫の木が沢山あったため
紀州備長炭が生まれたと言いますが
この職人さんの暮らす地域の山には
ウバメガシが非常に少ないそうです。
良い炭の原料となるウバメガシがないのに
なぜこの職人さんの炭が
他の備長炭よりダントツと言われるほど優れているのか?
ここから先は

農業経営者Web《定期購読》
農業に関心のあるすべての方に向けた情報満載の定期購読マガジンです。 農業経営、市場情報、食と地域を支える取り組み、プロ農業者のコラム、農業…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
