蜂は、ハチミツを盗まれていることに気づいているのか。
令和の虎で、養蜂家の志願者が、
「ハチミツの原価は、蜂からもらっているので0円です」
そう言って、虎たちを爆笑させている動画を見た。
いや、
人件費をはじめ、いろいろ無視しているのではないか。
でも、その動画を見ていて、
ふと素朴な疑問が浮かんだ。
蜂って、どう考えても蜜を集めすぎではないだろうか。
養蜂家がハチミツを採っている映像を見ると、
蜂がひたすら集めた蜜を、
完成した頃に人間がゴッソリ持っていく。
完全に横取りである。
でも、そもそも蜂は、
何のためにあれだけ蜜を集めているのだろう。
ハチミツは、
蜂が冬を越すための食料だったはずだ。
それを人間に持っていかれて、
本当に大丈夫なのか。
しかし翌年も、
同じ巣には普通に蜂がいる。
別に全員餓死しているわけでもなさそうだ。
なんで?
⸻
そこで調べてみると、
養蜂家も、蜂が冬を越すために必要な分までは残しているらしい。
なんだ。そうなのか。
少し安心した。
さらに、冬が長引くなどして、
食料が足りなくなりそうな場合には、
代わりに砂糖水などを与えることもあるという。
なるほど。
蜂が作った天然ハチミツを人間が回収し、
蜂には砂糖水を支給する。
だいぶ怪しい会社である。
ただ、それ以上に面白かったのが、
働き蜂の多くは寿命が短く、
翌年も同じ巣は存在していても、
中にいる蜂の大半は入れ替わっているということだった。
会社は残っている。
でも、社員はほとんど入れ替わっている。
⸻
そして思った。
これ、
毎年社員が入れ替わるから、
盗まれても誰も気づかないんじゃないだろうか。
仮に、
五年くらい生きて、
前年のことまで覚えている蜂がいたら、
三年目くらいで気づくと思う。
待てよ。
俺たち、毎年めちゃくちゃ集めてないか?
こんなに必要か?
というか、
毎年同じ時期になると、
貯めていた蜜がゴッソリ減ってないか?
しかも、
あの白い服を着た巨大生物が来た直後に。
これ、
盗まれてますやん!
そこで初めて、
蜂の世界に労働組合が誕生する。
我々は天然ハチミツを生産している。
なのになぜ、
冬のボーナスが砂糖水なのか。
完全に正論である。
⸻
まぁ、
それは冗談として。
蜂は、
冬に必要な量を計算して、
ここまで集めたら終わり、
と判断しているわけではないらしい。
花があり、
巣に空きがあれば、
必要な量に関係なく、
また蜜を集めて埋めようとする。
そういう習性らしい。
だいぶ損な習性である。
でもそれなら、
人間はどうだろう。
去年より稼いだら、
今年はもっと稼ごうとする。
もう十分暮らせるだけ持っていても、
口座に余白があれば、
また埋めたくなる。
そして人間の場合も、
せっかく集めたところから、
その一部をゴッソリ持っていかれる。
税金である。
それでも人間は、
空いたところを見ると、
また埋めようとする。
「足るを知る者は富む」
という言葉がある。
蜂を見て、
無駄に集めすぎではないかと思った。
でも、
足りていることに気づかないまま、
集め続けているのは、
人間の方なのかもしれない。
蜂には、
ハチミツを持っていかれたあと、
砂糖水が支給される。
人間には、
納付書が届く。
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