第一話 私の嫌いなアイツ
変わり映えしない毎日…
私は中学3年生になってもただ、ひっそりと息を殺して生きていた。
雨女だからなのか、今日も空はどんよりしている。春なのに、こう毎日雨が降ると心にカビが生えそうだ。
蒼井 雫 (あおい しずく)
自分の名前を探していると、誰かがこちらに走ってくるのが見えた。
親友の、北野 結衣(きたの ゆい)だ。
結衣は、抱きつくと興奮気味に
「雫と同じクラスだ。やったね」と言った。
私は張り出されたクラス分けを見て小さく息を吐いた。
3年C組
その下に書かれた担任の名前を見て、気分が落ち込む。
久瀬 和人(くぜ かずと)
最悪だ…
私達が入学した日、新任としてやって来たのが
アイツーー久瀬和人
若くて、それなりに整った顔立ち。
サッカー部の顧問で、生徒からの人気も高い。男女関係なく、生徒を名字では無く名前で呼ぶ。アイツが女子の人気を得るのに、そう時間は掛からなかった。
私は、昔から距離の近い人が苦手だ。
育った環境のせいかもしれない。
誰かが近づいてくるとつい、身構えてしまう。
毎日アイツの顔を見ることになるなんて…
結衣と共に教室に入る。
机にはすでに名前が書かれた紙が貼られていた。自分の席を探す。
「雫、席あった?私、ここだよ」
「…あった」
「前後の席じゃん‼︎」結衣の声が弾む。
窓側の後ろから2列目
1番後ろは結衣だ。
割と良い席かも…
結衣と席が近い事が、せめてもの救いだった。
