N64、自作PC、そしてプロの熱狂へ。一人の「元兵士」が語るFPS 20年史
はじめに

僕にとっての「青春」を音で表すなら、それはきっと乾いた銃声になるでしょう。
中学時代、友人の家で握ったコントローラー。大学の寮で出会った「怪しい」PCゲーム。そして、社会人になって見つけたオンラインの絆。僕の傍らには、いつもFPS(ファースト・パーソン・シューティング)というゲームジャンルがありました。
この記事は、かつて夜通しモニターに向き合っていた「戦友」たちや、今まさに熱狂の中にいる若い世代、そして「一つの趣味に区切りをつけようとしている」すべての人に届くことを願って書きました。僕がFPSから受け取り、そして今、新たな一歩を踏み出すまでの物語です。
始まりは「黄金銃」の争奪戦――64コントローラーが教えてくれた興奮

僕がFPSと出会ったのは中学生の頃。当時はNINTENDO64が全盛期で、4つのコントローラーポートを使って友人たちと対戦するのが放課後の定番でした。
その中心にあったのが、伝説的な名作『007 ゴールデンアイ』です。友人の「ミスターD」の家に集まり、3Dスティックを必死に倒しながら打ち合う日々。
黄金銃の奪い合い: 敵を一発で倒せる「黄金銃」が出現した時のあの緊張感。
マップ習熟度の差: 地形を覚えているやつがとにかく強い。僕は覚えられなくて「初見殺し」を食らってばかりでした。
今の主流である「パッド(コントローラー)でFPSを遊ぶ」というスタイルの原体験は、間違いなくあの頃にあります。あの独特の操作感と、友人たちと肩を並べてワイワイ遊ぶ空気感。それが僕のゲーム人生の根底に流れる「楽しさ」の基準になりました。
寮生活と低スペックPCの「戦場」

高校で一度ゲームから離れたものの、大学生になって再び火がつきました。きっかけは、大学の寮にいた韓国人の先輩です。
「みんなゲームやろうぜ!」
そう言われて手渡されたのは、海賊版と思しき「怪しいCD-R」。中身は『レインボーシックス』(初期のタクティカルシューター※シージではない)でした。当時のノートPCでも動くほどグラフィックは簡素でしたが、内容はシビアそのもの。人質救出などの地味ながら緊張感のある任務に、寮の仲間たちと夢中になりました。
その後、僕の興味はPCゲームのディープな世界へと広がります。
『ポスタル2』: 雑誌『iP!(アイピー)』で紹介されていた、不謹慎でグロテスク、だけど妙に癖になる「なんでもあり」な世界。
『バトルフィールド 2 (BF2)』: 現代戦のリアルさに圧倒されましたが、当時の僕のマウスコンピューターのデスクトップPCはスペック不足。オンボードグラフィックではガクガクで、時を止める能力「ザ・ワールド」を発動させたかのように画面が固まる始末でした。
なけなしのお金でAGP規格(PCI Express普及前のグラフィックボード用スロット)のグラボを買い、低解像度で必死に食らいついたあの頃。スペックの壁に悩みながらも、オンラインでつながる楽しさを知ったのは大きな転換点でした。
Skypeの向こうの戦友と、プロシーンへの熱狂

社会人になり、自作PCを組むようになると、世界はさらに広がりました。 職場では『モンスターハンター ポータブル』(PSP)が流行っていましたが、僕は一人、PC版の『コール オブ デューティ(CoD)』に没頭。当時はまだ珍しかった「PCでFPSを遊ぶマニアックな人」でした。
特に思い出深いのは『CoD: モダン・ウォーフェア 2 (MW2)』です。 誤訳で有名な「殺せ、ロシア人だ」という台詞に翻弄されながらも、オンラインで知り合った九州出身のプレイヤーとSkypeでつながり、身の上話やデバイスの話をしながら夜な夜な戦場を駆け抜けました。
その後、時代は『ブラックオプス (BO)』シリーズへ。
BO1: 冷戦下の狂気を感じるストーリー、お気に入りだった銃G11(H&K社製の無茶な構造の銃)。
BO2: 近未来の設定、フランク・ウッズの再登場、そしてマルチエンディングの衝撃。
さらに『モダン・ウォーフェア(2019年リブート版)』では、国内のプロチーム「Rush Gaming」でCoDの選手として活躍していたGreedZzさん、WinRedさん、GPさんといったプロゲーマーたちの配信を追いかけました。立ち回りや武器カスタムを学び、自分史上最も「熱狂」してプレイした時期だったと思います。
「報酬」を追う時間から、自らの「表現」を楽しむ時間へ

しかし、最近の僕は少しずつFPSから距離を置くようになりました。 最新の『BO6』や『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は触れたものの、かつてのような熱量ではプレイしていません。
理由は、ゲームデザインの変化とライフステージの変化です。 今のFPSは「シーズンパス」や「アンロック要素」が主流。報酬を解除するために膨大な時間を投資する必要があります。仕事や、noteの執筆、副業(フードデリバリー)、そして何より大切な子育て。限られた時間の中で「極めたいのに極められない」という葛藤が、僕を少しずつ戦場から遠ざけました。
特殊部隊への憧れ、戦略的な思考、そして瞬時の判断力。FPSから得たものは、間違いなく僕の宝物です。それらは今、ゲーム以外の場所で活きています。
おわりに

今、僕は銃を置き、キーボードを叩いて文章を書いたり、街を走って荷物を届けたりすることに新しいワクワクを感じています。
もし、この記事を読んでいるあなたが「最近ゲームに時間が割けない」「昔ほど熱くなれない」と悩んでいるなら、それはきっと「新しい楽しみ」に出会うための準備期間なのかもしれません。
ゲームは素晴らしい。でも、ゲームの外側にも、旅行や新しいスポーツ、創作活動など、心を躍らせるものはたくさん転がっています。
僕にとってのFPSが「青春の1ページ」になったように、皆さんも自分なりの「今、一番ワクワクすること」を大切にしてください。もしまた、どうしても遊びたいタイトルが出てきたら、その時はまた短時間でも、全力で楽しめばいいのですから。
さて、次はどんな世界に飛び込んでみようかな。
いいなと思ったら応援しよう!
配達の現場で感じたことを、誰かの役に立てばと思って書いています。
「使えそう」「分かる」と思ったら、チップで応援してもらえると励みになります🚴♂️
