🧹 小太郎、掃除機の正体をまだ理解していない〜何回見ても、はじめまして〜
ぼくの家には、
定期的に現れる“正体不明の生き物”がいる。
名前は知らない。
鳴く。
動く。
吸う。
そう。
あいつだ。

ある日、突然そいつは現れた。
ゴォォォォォォ———
……。
……???
ぼく
(……なに?)
(え、なに?)
(え、ちょっと待って、なに???)
耳、ピーン。
尻尾、シュン。
足、フリーズ。
はい、
初見対応、発動。
ママは言う。
「小太郎、それ掃除機だよ」
……。
(※このセリフ、たぶん人生で50回は聞いてる)
でもね、
ぼくの記憶では毎回ちがう。
昨日のやつと、今日のやつ、
音がちがう。
匂いもちがう。
つまり——
別犬…いや、別物。

ゴォォォォ———
ぼく
「ワン!!」
「ワンワン!!!」
「ワンワンワンワン!!!!!」
(※翻訳:
「来るな」
「動くな」
「なんなら消えて」)
止まった。
……。
あ、止まった。
今なら、
勝てるかもしれない。

そーっと近づく。
クンクン。
(……動かない)
(……寝てる?)
(……もしかして、弱い?)
ママ
「ほら、怖くないでしょ?」
(いや、
今はな。)

ゴォォォォォ———
ぼく
「!!!!!!!!」
⸻
後退。
後退。
心も後退。
はい、
また初見。
人間もあるでしょ?
分かってるのに、
知ってるはずなのに、
急に来られるとビビるやつ。
それと一緒。
ぼくにとって掃除機は、
毎回“記憶を消してから来る敵”。

全部終わると、
ぼくはゴロンする。
(ふう……)
(今日も生き延びた……)
ママは笑ってるけど、
ぼくは真剣。
だって次に来る時も、
きっとこう思う。
「え?なにあれ?」
🔚 オチ
掃除機は、
ぼくの記憶より、
いつも一歩先にいる。

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