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Dido - Thank You 解説和訳

先日のFEELCYCLEで、「BB2 Hit 4」という懐かしいプログラムを漕いできました。その1曲目が、Didoの「Thank You」
エミネムの「Stan」でサンプリングされたことでも有名なこの曲、流行った当時は中学生で英語も学びたて。大人になった今聴くと、当時とは違う景色が見えてきます。

この主人公は、軽い鬱状態なのかな。朝起きてはみたものの、会社に行けない、行きたくない。
My tea's gone cold, I'm wondering why...
最初は行こうと思っていたのでしょう。手をつける気力もないうちに冷たくなってしまった。うだうだしているうちにバスを逃して、また仕事に遅刻。周りからは「あいつ、今日一日もたないんじゃないか(今日でクビか、自分から辞めるか)」と冷ややかな視線を送られている。
I missed the bus and there'll be hell today

主人公は寝坊したわけじゃない。ただ、何もかもが噛み合わない。削られる自己肯定感。大人のリアルな「地獄」です。
I drank too much last night, got bills to pay / My head just feels in pain

ストレスからのお酒、甘いもの、ネットショッピング。その瞬間は現実を忘れたとしても、酔いが覚めれば残っているのは二日酔いの頭痛と、使ってしまったお金の現実。結局何も解決していないどころか、そのせいでお金は減り、体調もイマイチ、仕事に遅刻。この自己嫌悪。

だからこそ、際立つ「あなた」の存在。

最初は壁の写真。次は電話越しの声。そして最後、扉を開けると、そこには「あなた」がいる。
朝は「灰色」だった彼女の世界に「あなた」という優しい色がパッと広がる、この歌のクライマックス。どこかもの悲しかったメロディもここで雨雲から光が差すように明るくなります。
Push the door, I'm home at last / And I'm soaking through and through
ドアを押し開けて、ようやく家にたどり着いた。私は芯までびしょ濡れ。単に雨に降られたんじゃない。疲れ果てて、泥水を吸い込んだスポンジになったような感覚。大人になった今だからわかってしまう。
Then you handed me a towel / And all I see is you
そのとき、あなたがタオルを差し出してくれた。今朝は何も見えず(can't see at all)、見る余裕もなかった彼女の瞳に、今「あなた」だけが映っている。

自分で自分を大事にできなかった主人公が、誰かに「ケアされる」ことで自分を取り戻していく。その再生への、深く静かな「ありがとう」。

ずっと恋人同士の歌だと思って聴いていたけれど、この優しさのやり取りは、親子、友人、あるいは名前のない関係でも交わされる。誰もが知らず知らずのうちに、誰かにタオルを差し出され、救われている。

そんな静かな優しさに、「ありがとう」とそっと光をあてる。
本当に素敵な曲です。


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