レシートの行き先|(ホラー)#シロクマ文芸部
レシートに書かれている買物リストで
その人物の生活様式、趣味趣向がわかる。
そんな話をテレビドラマでやっていた。
探偵ものだったかな。
ゴミを捨てるときはレシートを読めないようにしたり、家の近くのコンビニで習慣的に買物をしないとか、防犯上の注意点を話してたっけ。
自分でも注意しないと、危ないな。
そんな危ない奴そうそういないか。
◆
私は彼女の生活について、数ヶ月前から
よく知っている。
家の近くのコンビニで、朝はウコン、ヘパリーゼのドリンクを大量に買い込んでいる。
昼はコンビニ弁当を食べることも多い。
たまにスーパーで缶ビールを箱買いしている。
時々、質屋の換金レシートが混ざる。
ハイブランドのバッグや貴金属類。
彼女の仕事を考えると妙な納得感がある。
そんな彼女の様子が最近おかしい。
◆
最近、部屋にホスト風の感じの悪い奴を
連れ込んでいる日が増えた。
声までは聞こえないが、そんな風に
レシートの内容が変わってきている。
酒を買う量が前よりも増え、
タバコなんかもカートン買いをしている。
そんな事を考えながら、
レシートを折り目正しく揃えて重ねた。
レシートじゃないが、独特な匂いのするアレが
アルミホイルに巻かれて、無造作に入ってる
ときがある。
生活が前より荒れているようで心配だ。
◆
そんな風に勝手な心配をしだして、
1カ月もした頃、ホスト風のガラの悪い男の姿を
全く見かけなくなった。
それにレシートに書かれている品物の内容が
明らかに変わった。
今までの彼女じゃないみたいだ。
ゴム手袋、軍手
ブルーシート
鋸
スーツケース
布団圧縮袋
大量の消臭剤
レシートの内容が不吉な物に見えてくる。
だが、決めつけは良くない。
あくまでも生活の断片だ。
心機一転、引越しか何かするつもりなのだろうか。
そんな風に思って、袋の中にあった
最後のレシートを手にとった。
店名は知らない。
日付は、昨日。
品目は「処分料」。
金額の桁が、現実からずれていた。
レシートは人の過去と未来を映す鏡のような
物だななんて、名言を思いつき、
誰かに話したくなった。
◆
今朝、彼女の新しい家の近くのコンビニで
朝食を買い。
心躍らせながら、袋からレシートを取り出した。
ふと、レシートを見たとき指が少し止まった。
見覚えのある店名だった。
先日のものと、同じだった。
一行だけ印字されている。
「追加処分費用 男性1人」
