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「百の燈」の続編 「燈の声」


「百の燈」の続編となります。前作気になる方はそちらも読んでください。
前作の話を引き継いでいますので、そちらを見てから読んで頂いた方が分かりやすいかと!

幻想と罪の記憶に揺れる「燈の声」の舞台…紙灯(しとう)と電話ボックスの静けさ、沈んだ記憶と語られなかった声、その世界が、今、形となって…

ては…本編へー


プロローグ:消えたページの先に



机の上で灰となった帳簿――その出来事を境に、沙希の日常は静かに狂い始める。神社も小道も消えたはずなのに、夢の中で何度もその場所を訪れる。

そしてある夜、耳元に囁く声が言う。

「百の燈は終わった。次は――“声の燈”だよ」

失われた願いの記憶が、再び彼女を異界へと導く。これは、火ではなく“声”が真実を揺るがす物語。

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第一章:もう一つの道



沙希が再び小道の存在に気づいたのは、雨の夜だった。道は変貌していた。石畳の代わりに、湿った泥と紙が敷かれている。風が吹くたびに紙が舞う。よく見ると、それは消えた帳簿のページだった。

“灯してくれてありがとう”
“でも、私の声はまだ残っている”

道の先には神社ではなく、古びた電話ボックスが立っていた。その中から、誰かが沙希に語りかけてくる。

「灯した火は、声に還る。君はまだ、終わっていない」

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第二章:声を喰う者



それ以来、電話が鳴る。自宅の電話、スマホ、見知らぬ公衆電話から――無作為に。そして決まって「灯された声を聞いて」と誰かが言う。

沙希はその声の主の記憶をなぞる。“声”の持ち主たちは、願いとともに忘れられた人々だった。事故死、行方不明、自死…帳簿では「成就」ではなく「黙殺」と記された者たち。

彼らの声を聞くたびに、沙希の記憶が欠けていく。日常がぼやけ、人の顔が思い出せなくなる。

誰かが囁く。「声を聞き続ければ、君は記憶の向こうに行ける。でも戻れない」

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第三章:紙灯


ある夜、夢の中で志乃が現れる。「火は願いを灯すもの。でも声は――その代償。帳簿には書けない“痛み”が記録されていたの」

沙希は新たな帳簿を見つける。それは紙ではなく、人の声を録音したものだった。百の声、それぞれが願いを叫んでいた。断末魔、懺悔、祈り、後悔…。

そして最後に再生されたのは沙希自身の声だった。幼い頃、神社で囁いた言葉。

「もし、志乃がいなくなれば――私が一番になれるよね」

言葉が彼女の胸を切り裂く。火を灯したのは願いだった。だが、声は罪を灯していた。

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第四章:声無き灯



次第に声は彼女の意識を侵食していく。沙希は鏡の中の自分が“誰か別の存在”になっているように感じる。通学路、友人、家族――すべてが見知らぬ存在になっていく。

志乃の霊が語る。「声を聞き続ければ、過去が現れる。でも、未来は失われる。君は灯した。“百の燈”は、自分の罪の記憶だった」

沙希は最後の電話に出る。「これで終わらせる? それとも――もう一度、灯す?」

彼女は答える。「声は私のもの。でも、罪も私のもの。ならば――消すのではなく、語る」

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第五章:灯と語り



沙希は再び小道を歩く。今度は誰もいないはずなのに、通行人たちが彼女に振り返る。すれ違う顔が、帳簿の中に記された名と一致していた。彼らは“声の燈”となり、この世界に現れた。

最後の紙灯を灯すとき、沙希は語る。「志乃の死は、私の嫉妬から始まった。でも、その感情すら誰も許さなかった。罪とは、“願い”の裏側だったの」

紙は燃え、声は消える。

彼女は再び目を覚ます。今度こそ、本当に日常だった。帳簿は消え、電話も鳴らない。

だが彼女の胸には、百の声と灯が、静かに残っていた。

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あとがき:灯したのは誰か?



「百の燈」が願いの記憶だったのなら、「声の燈」はその代償――つまり、語られなかった罪と感情。

この物語は、真実を求めることが、時に記憶の崩壊を意味すること。そして、“許されなかった言葉”こそが人を幽霊にするのだということを描いています。

あなたがもし、忘れられた声を拾ったなら――灯しますか?それとも、黙りますか?

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