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異端な君へ、弾圧された「異端思想」入門の入門|⑥ランゲという異端者

「異端思想」とは、正統な考えから逸脱した思想です。正統とは、キリスト教正統派の考え方を指します。当時の異端思想を見てみましょう!

 ランゲという異端者を見てみましょう!


ランゲ『市民法理論』

 1767年『市民法理論』という書物が発行されました。著者は匿名。本の出版場所はロンドンとなっていましたが、偽の情報です。後にランゲの著作であることがわかりました。

「啓蒙思想」を批判

 彼は当時の啓蒙思想(社会は自由な個人の合意で成立したという考え)を真っ向から否定しました。

「自由貿易の矛盾」と「ワーキングプア」

 この本では、当時の重商主義を批判しています。重商主義とは、金銀を直接貯め込み、植民地運営などで粗利を生み出し、作り、製造業をフル回転させることです。それを国家が強く介入し、推進する体制です。富国強兵と言うとイメージしやすいと思います。

 当時、国王と小麦商人が結託し、小麦価格を吊り上げるため、わざと市場に出る量をコントロールしていました。「自由な市場」と今聞くと、市民に開かれているイメージを持つかもしれませんが、「国家の支配層」や「特定のポジションの人間(商人、資本家)」によって、独占や寡占されることが横行していたのです。
 ランゲはその点を早期に指摘していました。

 「自由な市場」(資本主義システム)は、本来的に欠陥を含んでいる。「大多数の市民」の人間は、労働と賃金を交換することで生きていますが、働き口を求める人々全員に、十分な賃金が与えられなかったり(資本の搾取)、働き口が無い状態(労働希望者と求人数のギャップ)が発生することを指摘していました。また、賃金は最低限に抑えられ、働いても貧困からぬけだせない状況にも陥りやすい。いまでは「ワーキングプア」と呼ばれています。

 著作の中では、人口の1/4の資本家が3/4を奴隷にしていると指摘していました。現代では、個人資産保有者の上位1%が、富の45%を占めています。そして、この労使関係は、後のマルクスの主張(史的唯物論)へ多きな影響を与えました。また、自由と社会とは両立しない、とも言っています。奴隷制は資本によって成立している。これは暴力や階級闘争という発想につながります。

 必要な食料や貨幣が与えられれば、人間は戦争はしない、と考えました。国家の歴史を、食料を集めてこれる国家の能力の発展の歴史だ、とも述べてします。

ランゲの社会観

 人間は、原初は「自由状態」であった。自由な状態とは、生殖器官を持ち、子孫をつくる。それ以外は何も必要としない状態である、と述べます。しかし、人間はもはや「自由状態」にもどることはできない。「社会状態」の中に産まれて、逃れることができない、と考えました。
 「社会状態」とは、=「奴隷状態」を示します。生まれながらに社会に取り込まれていて、積極的に奴隷(社会の何かの役割)となって生活費を稼ぐ必要がある。各労働者は進んで競争することになり、「個々人の貧困化を目指す競争社会」と表現しました。法律や正義は、その資本社会を安定させるために設けられている装置である、と現状を説明します。

 彼は、ルソーなどが唱えた「社会契約説」、社会は自由な個人の合意で成立したという考えに、批判的でした。そんなにお行儀のよい理性的な世界ではないということです。

おわりに

 ランゲは思想家であると同時に、雑誌編集者でもあり、雑誌を発行して、自分の思想を広めました。その行為は強烈な体制側への反逆運動とみられて、弁護士資格を剥奪されて、バスティーユ牢獄へ投獄されました。フランス革命の最中に、ギロチンにかけられ、その生涯を閉じました。

 次回は、これまでの異端者を振り返ってみましょう。

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つづく!


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