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「部屋とYシャツと私」と「ライフワークとライスワークと経済的自立」  (リバイバル)

「部屋とYシャツと私」は、1992年に発売され第34回の日本レコード大賞を受賞した平松愛理さんの名曲である。女性版関白宣言ともいわれるらしい。

残念ながら、「部屋とYシャツと私」と「ライフワークとライスワークと経済的自立」は内容的に共通点はない。単にリズムが似ているだけである。

本題にはいろう。

ライフワークとライスワーク

エッセイストの外山 滋比古氏の『ライフワークの思想』(筑摩書房)には、このようなことが書かれている。

どんな人生であっても、(それが華麗であれ、さほど華麗とは言いがたいものであれ)たった一つのかけがえのない人生であって、時による熟成をへて、自分にしかない何かができるはずだ。できた酒は決しておしゃれな香味やなめらかな口当たりのものではないかもしれない。それでも、自分の中で蒸溜した酒をつくること、それがライフワークなのだ。

『ライフワークの思想』(筑摩書房)

とても素敵な話である。前節で出てきた神宮司さん(40歳)は、ライフワークへ向けたお酒の材料が揃いはじめたころであろうか。如月さん(25歳)は、若くしてすでに蒸留がはじまっているように感じる。そしてあなたにも、「時による熟成を経た自分にしかない何か」があると思う。
 
一方、我々は食べるために働かなくてはいけない。それを世の中では「ライスワーク」と呼んでいる。ライスワークについても、誰か素敵なことをいっていないかと探したが、よいのがなかなか見つからなかった。これはむしろ、日々命を懸けてライスワークをやっているライオンにきいたほうがいいのかもしれない。

子どもライオン「お父さん、ライスワークって何?」
大人ライオン「お前たちがおなかを空かせることなく、幸せに過ごせるためにやる仕事のことだよ」
子どもライオン「ライスワークって楽しいの?」
大人ライオン「楽しいとか、楽しくないとか、そういうことじゃない。俺の人生そのものだよ」

ライフワークもライスワークも、どちらも大切である。そして、ライフワークのようなことを考えられる我々は、幸せなのかもしれない。
ライオンの話をきいてちょっと感傷的になってしまったが、ここで冷静に客観モードに舵を切りなおそう。

ライフワークの悪循環

ライフワーク・ライスワーク vs. 食える・食えない マトリックス

上の図は、「ライフワーク・ライスワーク × 食える・食えない」の2軸で、4つのセグメントに分けたものである。

基本のストーリーはBからAを目指す、ということである。これは、ライオンにはできず、人間にしかできないことであり、天からそのような力を与えられた我々の責務でもあると考える。

ただ、そのように壮大なことをいっても、ここはそう簡単ではない。思い切って進むにはリスクが高すぎる。そのリスクをヘッジするために、本業とは別に副業として自分の好きなことをやろう、といったムーブメントが政府を巻き込んで近年高まっている。
 
これはこれでいいとは思う。ただ、その程度で、「時による熟成を経た自分にしかない何か」をつかめるものなのであろうか。

さらに、本業もライスワークとして家族および自分に幸せを与えるために大事なものである。それがおろそかになっていないか? やるならもっと本気でやろうよと、私は思うのである。

ただ本気でやると、ライフワークの悪循環の罠が待っている。そのストーリーが以下である。

ライフワークの悪循環

ライフワークと経済的自立

それでは、ライフワークへ本気で取り組みつつも、ライフワークの悪循環にはまらないようにするには、どうしたらいいか?

その答えは、神宮司さん(40歳)と如月さん(25歳)が知っている。そう、「期間限定・経済的自立」を使うのである。

「期間限定・経済的自立」 × ライフワーク

「期間限定・経済的自立」の期間に、お金の心配をすることなく、ライフワークを思いきりやる、これが私の推奨である。

ライオン親子に再び登場していただこう。
 
子どもライオン「お父さん、最近元気ないね」
大人ライオン「そうか、そんなことないぞ。元気だよ。今日だってシマウマ捕ってきただろう」
子どもライオン「うん。でも最近よく、ぼーっとしてるよ。なんかあった?」
大人ライオン「別に何もないけど……ただちょっと思うんだよね。このジャングルに住んでいるみんなが、もっと幸せになるといいなって。でもいまは自分たちが生きていくので精いっぱいだ」
子どもライオン(お父さん、そんなこと考えてたんだ)
 
––––後日
子どもライオン「お父さんいいニュースがあるよ!」
大人ライオン「どうした、狩りがうまくなったのか?」
子どもライオン「狩りの練習は最近さぼってて……」
大人ライオン「ちゃんとやりなさい!」
子どもライオン「そうじゃなくて、なんかこの前の山火事でゾウの大群がケガしたみたい」
大人ライオン「えっ、ホントか? いいニュースじゃないか。ケガしたゾウは捕まえやすいからな。これで1年くらいは食べるのに困らないな」
子どもライオン「その間にやってみたら。この前いってたこと」
大人ライオン「……」

ライフワークなき経済的自立は、手段の目的化である。目的は、ライフワークとしてあなたが心からやりたいことをやること。そのための手段としての経済的自立をうまく使っていこう。


【Case Study】の関連情報
 この話の中には、二人の経済的自立を目指す主人公が出てきます。
 
 一人目は、旅行好きのサラリーマン 神宮寺 明さん(男性40歳) 
 家族構成は、奥さんと子どもが2人。
 子どもは高校2年生と中学3年生。今年、下の子が受験だが、屁理屈ばかりいって、いつもだらだらしているので、奥さんがピリピリしている。
 神宮司さんは旅行が大好きで、旅行するために仕事をしているようなものである。今年は受験後の春休みにフロリダのディズニーワールドへ行き、全世界のディズニーランドの完全制覇を達成しようと考えている。
 過去、旅行にお金をつぎ込み過ぎて、金融資産はほぼ0である。投資の経験もない。最近ふと、「旅行が仕事だったらなー」と考えることがある。

 二人目は、夢をもったセラピスト 如月 凛さん(女性25歳)
 如月さんは大学卒業後、ずっと大手のマッサージ店で働いている。体育大学出身で、大学時代は部活に命をかけ、筋肉や食事についても詳しい。
 マッサージでは一人ひとりの状況に合わせて、独自の技を創り出すのが得意で、お客さまに合った施術をしてくれるということで、リピーターも多い。
 最近感じているのは、マッサージだけだとお客さまの体をよくするのに限界があることである。筋肉もうまくつけないといけないし、柔軟性も必要。食事も大事だし、お酒ともうまく付き合っていく必要がある。「このあたりを全体的にサポートできたら、もっともっとお客さまのパフォーマンスを上げられるのに!」と考え込むことが増えた。自分でやってみようかなと思いはじめている。
 
 「でも、やっぱりお金が心配。お金の心配なくチャレンジできたらいいなー」



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