【ゲームレビュー】ドラクエⅠ&Ⅱ:HD-2Dは3の反省を活かしたのか-DQ2編
ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ、ドラクエ2のレビューになります。1の内容は含みません。
規約違反となる箇所の内容は含みませんが、それ以外のネタバレにご注意下さい。
1のレビューはこちら。
3のレビューはこちら。
始める前に
全て書き終わった後にこの記事全体を俯瞰して見ると、自分でも結構面倒くさいことを言っているな...ってことは自覚してます。
なんか構成もグチャグチャになってるし。
でも、現時点で言いたいことは言い切った。
ドラクエ1&2全体の評価も行ったので是非最後までご覧いただきたいです。
はじめに
前回に引き続き、ドラクエ2のレビューを行う。
前回のレビューをご覧いただければ分かるが、1の方は特定の部分で結構萎えてしまった。
とはいえ2をやらないわけにはいかない。
どう考えてもこちらが本番なので、気合を入れていこう。
なお公式から発表があったように、
2の一部箇所は11月29日までネタバレが禁止されている。
『ドラゴンクエストII』の2回目のスタッフロール後のプレイの模様は2025年11月29日まで生配信、動画・画像の投稿をお控えください。
この規則に則り、クリア後の感想及び当該箇所に関しては現時点では言及しない。
何かあれば後ほど追記する形としたい。
ゲーム概要
継がれゆく、ロトの意志。
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の後の世界を描く『ドラゴンクエストI』と『ドラゴンクエストII』が、1つのソフトになって登場。
ドット絵と3DCGが融合した“HD-2D”の世界で、再び冒険の幕が開く!
※本作はタイトル画面で『ドラゴンクエストI』または『ドラゴンクエストII』を選択することができ、いつでもお好きな方をプレイいただけます。
■『ドラゴンクエストII』
◇ストーリー
かつてアレフガルドの地を救った勇者ロトの子孫たちによって、
新たに3つの国が興された世界。
しかし、その平穏は恐ろしい魔物の軍勢に突如として打ち砕かれる。
広がりつつある闇のちからに立ち向かうため、
ロトの血を引く若き王子・王女たちが真の平和を取り戻す旅に出る――!
◇冒険の舞台
はるか昔、伝説の勇者が巡った大陸などを含め
さまざまな町や城、洞窟や塔などのダンジョンが存在。
旅の途中で船を入手すると海や川を自由に行き来できるようになり、冒険の範囲が大きく広がる。
◇冒険を共にする勇者ロトの子孫たち
主人公であるローレシアの王子は、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女とともに魔物たちの討伐へ旅立つ。本作ではサマルトリアの王女も仲間に加わり、勇者ロトの血を引く4人で力をあわせ、平和を脅かす邪悪な魔物たちに立ち向かおう。
■「ドラゴンクエスト」シリーズおなじみのターン制コマンドバトル
武器を使った攻撃のほか、さまざまな効果を持つ呪文や特技を駆使して、襲い来る様々なモンスターを撃破しよう。
難易度:バッチリ冒険
過去作:1~8、11、3 と1のHD-2Dクリア済み
クリア時間:約35時間(シドー撃破まで)

※使用したスクリーンショットは全て初代Switch版のものになります。
なお、前回述べた箇所は軽く言及するに留める。
良かった点
戦闘バランス
別に他作品と比較して特別良いわけでは無いので、"良くなった点"と申し上げる方が良いか。
考えてみれば当然で、基本敵が複数で登場する以上、こちらの人数が増えた方がバランス面と戦略性の幅、二つの意味で優れたものになる。

それを象徴するのが最序盤だ。
仲間が未加入の状態で一人対多数の戦闘をこなす必要があるのでどうしてもキツくなりがちなのだが、今回は新しくパーティ入りするサマルトリアの王女(以下サマル妹)が一時的にゲスト加入する。

つまり1とは異なり、キツイところで補助輪をつけている形だ。
...マジで1のクソバランス何だったの?
と言わざるを得ない。
革新的な試み
前回述べたので程々にするが、ドラクエとしては珍しい、革新的な方向性は健在である。
前述の通りサマル妹が新しくパーティに加入する他に、

1と同程度のボリュームがある新規シナリオも追加された。

これらは人によっては蛇足と感じる要素かもしれないが、私は素直に良いと思った。


というのも、そもそも元々のボリューム自体が少ない上に、原作で突発的に感じられたイベントに意味を持たせ、補完しているからだ。


1、2、3の繋がりを意識してる点も良いポイントである。
BGM
実は2のbgmが歴代でもかなり好きだ。
遥かなる旅路と果てしなき世界が切り替わるのが天才。

一部1や3のbgmが流用されているのが気にはなるが、繋がりが分かりやすいと言う点では優れている。
悪かった点
難易度設定
前回述べたので割愛。
探索面
鍵付き宝箱の件は割愛するが、1の時に言いそびれた点を一つ。
何のヒントもない場所にアイテムを置くな。

タルの中、ツボの中、本棚ならまだ分かる。何の変哲もない床に置かれても全く面白くない。
レミラーマの習得がかなり遅いのもストレスに拍車をかけている。
会話システムが無い
これは残念ポイント。
7で初導入され、以降のシリーズやリメイクでも好評な会話システム。
1と3に無いのは分かるが、2はこのレベルでキャラクター設定をするなら欲しかった。

次の内容に関連します。
無口主人公の限界
今回の最重要ポイント。
前回も軽く触れた点ではあるが、今回はガッツリ語る。
今作で強く感じたのは、無口主人公の扱いの難しさだ。
今回の主人公は、ロトの血を注ぐ勇者の一人であるローレシアの王子(以下ローレ)だ。
原作から魔法が使えない代わりに力が強いと言う設定がある。

そして彼はドラクエの主人公として、"喋れない"という呪縛に囚われている。
しかし、原作は全てのキャラが殆ど喋らなかったので違和感は皆無だった。
ただ、今回のリメイクでは全体の会話量が従来の何倍も増大しているにも関わらず、相変わらずローレが喋ることはない。
他のキャラクターは喋りまくるので、主人公でありながら蚊帳の外感が半端ない。
時折示し合わせたかのようにはいorいいえの選択を求められるのも違和感を加速させている。

彼は別に主人公だからと言って何か特別な能力がある訳ではない。後述するがキャラクター性能的には他キャラに遅れを取るレベルだ。
本当にただ喋らないだけのキャラクターになっている。

最早主人公と言うより、ただの傍観者である。
とはいえこれはシリーズの伝統だった。
例えばキャラクターボイスが付いていた8リメイクや11sも主人公は基本喋らなかったが、そこまでの違和感はなかった。
これはテキスト量の増加と旅する人数の少なさに起因しているのではないか。
パーティ人数とテキスト量をある程度調整しないとこのような事態になる。
この点は後で更に深掘りする。
サマル贔屓!?
ローレ冷遇の他にもう一つ大きなトピックがある。それは、共に旅する仲間の王子であるサマルトリアの王子(以下サマル)が贔屓されているのではないか?という疑問だ。

・テキスト面
最初の違和感はテキスト面にある。前述の通り主人公ローレは喋らないので、他作品なら主人公が言いそうなことを全部サマルに言わせてるのがこの違和感の根幹だ。


まさに、無口主人公の弊害である。
・性能面
因みに性能面でもサマルが大幅強化されている。
強力な特技や呪文を多く習得し、便利屋の一歩先を行く印象だ。
原作、特にFC(ファミコン)版ではいらない子扱いされていたサマルが出世した形になる。
...だけなら理解できるが、違和感の根源は他にある。
何と今回、ムーンブルクの王女(以下ムーン)からベホマ(体力全回復呪文)を取り上げ、サマルに与えたのだ。

特段それに代わる調整がムーンにされた訳ではない。
他にも、いかにもローレでも使えそうな剣の特技を一人で独占したりかなり優遇されている。
私見
このキャラ格差問題は2のリメイクに於いてかなり物議を醸しており、今作を語る上での重大なトピックだ。
これは私にとって受け入れられる部分とそうで無い部分がある。
許容した点
そもそも悪かった点として挙げているのに許容するしないと言うのもおかしな話だが、悪かった点を細分化した、少しニュアンスの異なる話だと捉えて頂きたい。
・主人公冷遇について
本作のシナリオと性能面に於いてローレは空気の様な扱いを受けている。

これに関して私は"一言も喋らない"という点を除けば、全く問題無いように思っている。
話は少し脱線する。
RPGには主人公が喋らない作品と、意志を持ち一人のキャラクターとして独立する作品がある。
それを代表作品の名前を取ってドラクエ型とFF型と呼ばせていただく。
ドラクエ型の例は、ポケモン、ペルソナ、厳密に言うとRPGでは無いがゼルダ等が該当する。
テイルズなど他の大半のRPGはFF型な印象だ。
これは個人的な意見だが、
正直私はドラクエ型の作品における異様なまでの主人公贔屓に辟易している。
何故ならそれは殆どの場合、主人公上げに他キャラ下げがセットになってしまっているからである。(特に二次創作でそれは顕著になる)
とは言えゲームや創作物においてキャラ格差が存在するのは避けられないのも理解している。
なので今回の様に逆に主人公冷遇の作品があっても別に良くないか?と思っている。
しかし今作を含む一般的な傾向として、主人公冷遇の作品は非難の対象になることが多い。
何故このような意見が散見されるのか。
ドラクエ型の作品は、主人公に自己投影している人が多い。
それは他人の物語として俯瞰して見ることが可能なFF型の作品と異なり、主人公=自分になるように設計されているので別に自然なことなのだが、不遇な扱いを受けると変な話自分が貶されたと思って怒る人が多い。
ドラクエ型の作品によくある主人公贔屓はプレイヤーのご機嫌取りが目的であるというのが私の見解だ。
そして多くの場合、冷遇される側が仲間キャラであればそれは途端にネタとして昇華される。
現にサマルは原作でネタキャラのような扱いを受けていた。それはつまり弱く、影が薄いのをある意味受け入れられていたということになる。
他のナンバリングでもそのような扱いを受けているキャラは思い浮かぶだろう。
もし仮にこれがローレ贔屓だった場合、ここまで突っ込まれていないのではないか。
...これはおかしいだろう。
つまり避けては通れないキャラ格差に於いて、その低い方に主人公を含めても問題は無い、というのが私の意見である。
前述の通り一言も喋らないというのがまた別の問題を生んでいるのも事実だが、方向性自体にそこまで問題があるようには思えない。
・サマル優遇について
では逆にサマルは優遇されているのか?
色々と申し上げたが、私は別にサマル贔屓だ!と言うつもりはない。
詳しくは後述するが今作に於ける仲間は全員、限りなく主人公に近いというのが理由だ。

・キャラクター性について
原作ではほぼ言葉を発しなかったキャラクター達が途端に多くを語りだしたので、そこに違和感を覚えた方が一定数いるらしい。
"解釈違い"という言葉がある。これは自分が想像していたキャラクター像が他人の考えと異なる事を意味する。
まさにこの感覚を覚えたということだろう。
前々から思っているが、この解釈違いというのが図々しい考え方に思えてならない。
それこそ二次創作なら理解できるが、これは公式の見解なのでそれが全てだろう。
私は寧ろ隠されていたキャラクター性が垣間見えて良かったと思っている。

許せない点
・習得呪文格差問題
先ほど申し上げたベホマ問題である。
これに関しては"負の方向の調整"なのがいただけない。
サマルを強化したいなら普通にベホマを与えるだで良いだろう。バランスを取るという目的なら別の技でも良い。何故取り上げる必要があるのか全く分からない。
何とは言わないが、こんな調整するから裏側の事情に対する憶測が飛び交う事態になるんだよ。
・"喋らない"違和感
優遇冷遇とはまた別の話で、今回の場合は主人公の存在そのものが完全に違和感になっている。
まず2は後のシリーズと比較しても珍しく操作キャラ全員が勇者の血を引いており、変な話、キャラクターとしての特徴も薄い。その分区別する必要も無ければ優劣も無い筈だ。
つまり同じ立場のキャラである筈なのに一人だけ無言なのが強烈な違和感を生んでいる。
そしてもう一点。主人公を操作し、自分で意思決定する余地がこのゲームにはほぼ無いので存在価値も薄い。
他のゲームやDQの他ナンバリングは無口主人公を違和感なくストーリーに介入させていることを鑑みると、今作に於いては主人公を決める必要そのものが無かったように思えてしまう。
逆に言うと全員が主人公だ。
これはドラクエの伝統、悪く言えば呪いのような物に囚われてしまった結果だと言えるだろう。
これらを纏めると、"キャラクターの格差はある程度許容できるが、今作に於いてはそもそも主人公制度が不要だし、何よりよく分からん調整するなよ。"
というのが私の意見だ。
...以上のように、2に関しては3からの改善がある程度達成されているが、今までとは全く別の問題点が噴出している。
Ⅰ&Ⅱ全体のまとめ
HD-2Dで表現した古風な外見に反して、非常に革新的なリメイクであった。
そこに一定の満足感があった反面、だからこそ旧来の伝統に縛られた点が悪目立ちしてしまう。
所謂"らしさ"との境界線を考えるのは非常に難しいが、ドラクエというIPに於いてはまだまだ改善できる点が多い。
繰り返すが、この1&2に関しては目を見張る変化が多い反面、肝心なところで伝統が足枷になっている。今こそ真の意味で、悪しき伝統の打破が必要なのかもしれない。
お勧めできるか?
まず1で挫折した人に関しては、勿体ないので遊んだ方が良い。
色々と言いたいことはあるが、二本の犠牲の末にようやく生まれた原作越えの良リメイクだ。
3に失望し、そもそもまだ未購入の方はセール待ちでも良いかもしれない。
基本的なストレスポイントは残念ながらあまり変わっていない。
新規の方は、"ロトシリーズを"遊びたいと思ったタイミングでの購入をお勧めする。何も焦る必要はない。
おわりに
正直な話、ここ数年のドラクエには疑問が多い。黒歴史ユアストーリーに始まり、期待外れの外伝、粗製濫造されては消えていくソシャゲ、昨年の3リメイク、以前述べたドラクエ7のシナリオカット問題、 そして発表から全く続報のない12...。
2人の偉大な先生を失った後とはいえ、11という大傑作を生み出した後数年に渡って足踏みが続いている状況が非常にもどかしい。
停滞期を打ち破り、再び老若男女に愛されるIPに返り咲いて欲しいものだ。
最後までご覧いただきありがとうございました。

