【ゲームレビュー】SRPG嫌いのFFT初見プレイ感想とスクエニへの提言
ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ(以下FFT)のクリアレビューになります。
詳しいストーリーへの言及はありませんが、スクリーンショットによるネタバレにご注意下さい。
過去のFF感想記事はこちら
始める前に
苦しさの先の喜び。
このゲームの感想を一言で表すとこうなる。
というのも、理由の一つはほぼ全編最低難度を選んだにも関わらず、大苦戦を強いられたからである。
確かに序盤は私の超絶初歩的なミスもあった。
FFT、最低難度なのになんか難しいなと思ってたら、この欄にジョブのアビリティ入れる必要があるのを知らなかった...。自分の頭が心配になる一件でした。 pic.twitter.com/BHCv5v1227
— コバルトブルー|noteゲームレビュー (@ilvSRkN5l440748) October 26, 2025
しかし後半になるにつれ少しずつ楽になるのでは...?と思っていたが案外そんなこともなかった。
ステージを一つ進めるごとに詰まり、詰まり、また詰まり...。


良かった点も多かった作品ではあったが、これからの内容は必ずしも耳ざわりの良いことばかりではない点にご留意いただきたい。
はじめに
突然だが、皆さんはSRPGが好きだろうか。
私はこのジャンルをどうも苦手としてる。
その理由として、チマチマとユニットを操作するのをどうしても面倒に感じてしまう事と、ストーリーに関しても大抵は軍記物で、情勢を覚えて理解するのがしんどくなり、深みに至る前に投げ出してしまうというのが挙げられる。
昨年はユニコーンオーバーロードを個人的GOTY(その年一番の新作)として挙げさせていただいたのだが、それは私の嫌いなSRPGというジャンルで予想外の名作に出逢い、思わぬカウンターを食らったというインパクトがあったのが大きかった。
この経験から少しは苦手意識が消えた私は、SRPGの名作として必ずと言って良い程名前が挙がるFFTに挑戦することに決めた。当然今作も初プレイだ。

今作にはオリジナル版(クラシック)とリメイク版(エンハンスド)の2種類が用意されているのだが、エンハンスドの方をプレイ。
理由は単純に初めて遊ぶ人間向けにもオススメされていたからである。
概要
心震える物語が、いま鮮やかに蘇る———
1997年に誕生したタクティカルRPGの金字塔『ファイナルファンタジータクティクス』。
戦術性の高いバトルと重厚なストーリーを備えた本作が、新たな時代のプレイヤーたちに向けて、鮮やかに蘇る。
「エンハンスド」と「クラシック」
ふたつの体験が、この一本に。
グラフィックスを進化させ、ユーザーインターフェースを全面一新、
そして現代版として大きく加筆・調整の施されたストーリーを
フルボイス対応にてお届けする「エンハンスド」。
オリジナル版をできるだけ忠実に再現し、
かつての思い出のままに楽しめる「クラシック」。
好みに合わせてプレイできる2バージョンを同時収録した本作は、
『ファイナルファンタジータクティクス』の決定版となる!
難易度:カジュアル
クリア時間:約 35時間
Switch2版でプレイ
良かった点
ストーリー
今作の魅力の9割を占める要素と言っても過言ではない。
このゲームを進める原動力であり、時が経っても変わらない魅力がある。

前述の通りかなり戦闘で苦戦していたので、もしシナリオが悪かったら挫折していた可能性もあった。

先ほど難解な対立構造は苦手だと申し上げたが、今作は詳しい解説をいつでも確認できるので理解はさほど難しくない。


好きなシーンはかなりあるのだが、一部をご紹介。





ただ一点申し上げるなら、後半になるにつれファンタジー感が増してきたのが残念だった。
ここは完全に好みの問題だが、私は前半の純粋な戦争、人間同士の争いが好きだった。
後半の展開の方がFFらしいと言えばそうかもしれないが、2でかなりガッツリと戦争の題材を扱っているし、意外とそうでも無い気もする。

明言は避けるがエンディングも非常に考えさせられるものだった。
過去の作品特有の多くを語らないスタイル。素晴らしい読後感だったと素直に感じる。
狂気的な作り込み
その素晴らしいストーリーと合わせて紹介したいのは、本作のある意味異常なまでの作り込みである。
一切の妥協も許さないその姿勢は、設定資料集がそのままゲームに入っているイメージだ。

シリーズファンが喜ぶ小ネタが多いのも嬉しい。

あのシーンも...?

多彩なジョブによる育成
FF本編よろしく、本作にもジョブチェンジシステムが搭載されている。
本編では聞いたことないようなジョブも存在し、戦闘の幅を広げている。

"ガチ"フルボイス
リメイク版は豪華なことに、道具屋の店員からそこらへんのモブキャラまで全てのキャラクターがボイス付きだ。
特に戦闘中のやり取りは2Dキャラであるにも関わらず、声優の方々の熱演により非常に迫力あるものに仕上がっている。

それが若干のテンポの悪さと後述する問題点に繋がっているのも事実だが、パートボイスのようになって没入感を下げるよりマシである。現代の作品として素直に褒めるべき点だろう。

悪かった点
まずは明確に悪かった点から申し上げる。
お洒落な反面使いづらいUI

今作のUIはかなりオシャレで個人的には好きなのだが、実用性を兼ねているとは言い難い。
例えば、
・セリフのログ機能がない。
・場面が切り替わるとオートモードが解除されてしまう
・メニュー画面が常に開けない
・初見イベントは早送りのみでスキップ不可(やり直した場合に問題になる)
総じて痒いところに手が届いていない印象が拭えない。
見づらいフィールド
フィールドにかなり高低差があり、自分のキャラクターが何処にいるのか、どのマスに移動できるのかが非常に分かりづらい。
真上から俯瞰するモードもあるものの、一々ボタンを押す必要があるのでテンポ悪化の原因になっている。

連戦システム
これは正直入れるか迷ったのだが一応。
今作、重要なポイントでは連戦を強要される。

この連戦は一回一回準備する時間もあり、セーブも可能だが、通常マップに戻ることができないので、途中で詰んでしまった場合最初からやり直す可能性もある。
私のような下手くそには非常にキツかった。

セリフ、テキストに感じる違和感
この点に関しては後述する。
考えたこと
以下は本作を遊んで考えたことについて。
ユニコーンオーバーロードとの比較
思い返してみれば私がSRPGをクリアまで進められることは滅多に無かった。恐らく人生二本目だ。折角なのでその一本目、前述した昨年のユニコーンオーバーロード(以下ユニオバ)と比較してみる。
まずストーリー面ではFFTの圧勝だろう。
ユニオバのシナリオに関しては正直かなり普通だった。確かにそっちの方が展開的にも世界情勢的にも分かりやすい、と言う面では優っているが、FFTの方は深さが違う。
では戦略面ではどうだろうか。正直それはユニオバに軍配が上がる。
SRPGとしての楽しさについて
つまり"SRPGとしての面白さ"はユニオバに劣った訳だが、そもそもそれは何だったのか?
私なりに考えてみた。

例えばジョブチェンジに関してはユニオバの方は進化するだけだが、FFTは細かく変えることができる。
しかし、FFTが優っていた点はそれくらいで、
それ以外の点、例えばユニットを組む楽しさやガンビットに似たユニークなシステムはユニオバの方が印象に残った。(FFTはPTの人数が少なかったこともある)

そして、それはFFTが1997年に発売された古い作品という理由もあるだろう。
しかし、これは次世代の作品に受け継がれていると言う点で、私はむしろポジティブに捉えている。
SRPGとしての面白さについて様々考えてみた。しかし私は実際これを正確に捉えていないのでSRPGに苦手意識があるのだろう。
皆様の中で確固たる定義がある方がいれば是非ご教授いただきたい。
"ファブル化"について
これについても触れざるを得ないだろう。
今回リメイク版のセリフに罫線が多すぎることが、さながら人気漫画、ザ・ファブルの表現であるとネット上で話題になってしまった。

それは強ち間違っておらず、本作のテキストは至る所で罫線が多用される。


ハッキリ言ってかなり違和感があった。
またそれとは別件になるが、繰り返しの台詞も非常に目立つ。


繰り返し表現というのはその言葉が強調される反面、口語的な会話としてはあまり使わないので不自然になってしまう。
ここぞの場面で使う分には問題無いだろうが、今作のそれは流石にくどい気がしてしまった。
例えば演劇等であれば多用しても良いのかもしれないが、ゲームの表現として私は正直違和感を覚えた。
今のスクエニに必要なモノ
何故こうなってしまったのかを考察する。
私が思うに今のスクエニに足りないものは、"引き算の美学"だと思っている。
一般的に引き算の美学とは、余計な部分を削ぎ落とし、あえて余白を残す行為のことを言うらしい。
引き算の美学
茶道はよく「引き算の美学」と言われます。
例えば、茶道の精神の源流となっている禅寺には枯山水の石庭があります。枯山水とは、水を一切使うことなく、岩と砂だけで山水をイメージさせる空間を作ったものです。
余計なものをギリギリまで削ぎ落としていくと、最後に核となる本質的な「美」が残ります。
(中略)
余白を察し、その背後にある見えないものの美しさを感じ取ることこそ、日本人が大切にしてきた引き算の美学なのです。
そう切り出したものの、流石に私も限界まで削ぎ落とすのが正しいと言うつもりはない。
しかしこの姿勢に見習うべきものがあるとは思っている。
スクエニにおけるその典型例がFF7リメイクシリーズだろう。
確かに、ゲームのリメイク作品としては異例の三部作構成でこれでもかというほど語られるリッチなゲーム展開はファンからすれば嬉しいだろう。外伝作も含めれば相当なボリュームである。
しかし、それによって逆に原作の特徴であった多くを語らないミステリアス感は完全に失われてしまったり、その壮大な物語について行くファンの数(販売本数)も年々減っている。
FFというIPは、時が経ち、ハードの容量が大きくなるごとにその限界近くまで膨らませた構想を詰め込んでいる様に見える。
それは一定の評価をされるべきではあるが、それによる失敗も積み重なっている以上、利点ばかりではないことを思い出すべきである。
少し話が逸れたが、今作もその例に漏れず大風呂敷を広げてしまっているように感じる。
つまり今回のリメイクで生じたネガティブなポイントの多くはこれに起因すると考えているのだ。
ただ、緻密に練り込まれた設定面が示すように、それが良い方に転がれば良いのだが...。
今回は単にサービス精神が空回りしているだけ、ファンサービスの賜物だ、とも取ることができるがそれは一概に良いことばかりではない。
確かに今回はオリジナル版(原作のベタ移植)も同梱してある。文句がある人はそっちで遊んでね、というスタンスなのかもしれない。"革新的な変更こそリメイクの醍醐味である"という思想も、その塩梅の難しさも理解できる。
繰り返すが、何も手を加えるなと言っているのではない。適切な取捨選択を行って欲しいというだけだ。スクエニには今こそ、引き算の美学を思い出して欲しい。
おわりに
SRPGの名作FFTは噂に違わぬクオリティのシナリオと作り込みの深さが魅力的な作品であった。
クリア後にエクストラダンジョン的な物も用意されていた。もう少し頑張ってみたい。
そしてリマスターの手法一つとってもスクウェアエニックスという会社の現在地が見えてくる。
"選択と集中、再起動の3年間"を掲げた彼らが再び業界の旗印となることを願っている。
最後までご覧いただきありがとうございました。


