『卵白婦人のふしぎなたまご』:貧子ちゃん、それ食べられる!?
――ほんとうに欲しかったものはなんだっけ?
おなかがすいているはずなのに、一体どうしてその願い!?
ナンセンス×寓話。ちょっと笑えて考える、ふしぎなたまごの物語
卵白婦人と貧子ちゃん
「あーあ、毎日つまらないなー」
貧子ちゃんは、今日も口をとがらせて、文句ばかり言っています。

「そうだ、街まで出てみよう! つまらないところにいるから、きっとつまらないんだわ!」
そう言って、街にも行ってみた貧子ちゃん。
だけど、やっぱりつまらなくて、とっとと帰ってきました。
「あーあ、おなかすいたなー」
街にはおいしいものがたくさんあったのに、結局なにも食べてません。
「あれも食べればよかったー、これも食べればよかったー」
おなかがぐーぐー鳴りました。
「お金があれば、なんでも食べれたのにー」

文句ばかりの帰り道。
すると、歌声がきこえてきました。
♪らんらん、らーんぱく、らんらんらーん♪
見ると、ドレスを着て着飾ったたまごが道を歩いています。

おなかがすいた貧子ちゃんは、たまごをつかみあげました。
「このたまご、食べれるかしら」
貧子ちゃんがそう言うと、たまごは怒りだしました。
「キーッ!おはなし!ぶれいもの! あたくし、たまごじゃなくってよ!」

怒ったたまごの顔には、ぴしっと亀裂が走ります。
こんなに怒ったたまごでは、とても食べる気になれません。
「ごめんなさい、おなかがすいていたものだから…」
貧子ちゃんが謝ると、たまごは機嫌をなおします。
「おーほっほっほっ、よくってよ」

「ところで一体あなただれ?」
「おーほっほっほ、あたくしは、卵白婦人でございます。たまご体型、たまご肌、けれど、たまごじゃございません」
卵白婦人は歌うように言いました。
「そんなにたまごがほしければ、ひとつ産んでさしあげますわ!」
卵白婦人はそう言うと、「ふぬーっ」といきみはじめました。

「ふぬーっ、ふぬーっ」
ころーん!

卵白婦人は自分と同じ大きさのたまごをひとつ産みました。
「さあ、あなたの願いをこめて、たまごを割るのでございます」
「わたしの願い? うーん、とりあえず、たまごを食べるには、まずはフライパンが必要ね」

「フライパンがあれば、目玉焼きでもオムレツでも作れるでしょ!」
「では、あなたの願いをこめて、たまごを割るのでございます。思いどおりのそのとおり、願いを叶えてごらんなさい!」
貧子ちゃんは願いをこめて、たまごをわってみました。
「フライパンがほしい!」

たまごがわれると、中からフライパンが出てきました!
ところが……
「なによ! 肝心のたまごの中身がないじゃない! フライパンだけあっても、何も食べられないわよ!」
貧子ちゃんは怒ります。
「おーほっほっほっ、願ったとおりでございます」
そう言って、卵白婦人は、歌いながら去っていきました。
♪おなかがすいたはずなのに
ほしいのは なぜかフライパン
たべたいものなら なんだって
たべれたのに なぜ ねがわない~
たべものよりも ほしいのは
たべれないただのフライパン♪

おしまい
