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『卵白婦人のふしぎなたまご』:貧子ちゃん、それ食べられる!?

――ほんとうに欲しかったものはなんだっけ?
おなかがすいているはずなのに、一体どうしてその願い!?

ナンセンス×寓話。ちょっと笑えて考える、ふしぎなたまごの物語

卵白婦人と貧子ちゃん


「あーあ、毎日 まいにちつまらないなー」


貧子 びんこちゃんは、今日も口をとがらせて、文句もんくばかり言っています。

貧乏そうで不機嫌そうな口をとがらせた女の子

「そうだ、まちまで出てみよう! つまらないところにいるから、きっとつまらないんだわ!」

 そう言って、まちにも行ってみた貧子 びんこちゃん。
 
 だけど、やっぱりつまらなくて、とっととかえってきました。

「あーあ、おなかすいたなー」

 
 まちにはおいしいものがたくさんあったのに、結局けっきょくなにもべてません。

「あれも食べればよかったー、これも食べればよかったー」

おなかがぐーぐーりました。


「お金があれば、なんでも食べれたのにー」

色々な食べ物を思い浮かべながらとぼとぼ歩く貧乏そうな女の子

文句もんくばかりのかえみち

すると、歌声うたごえがきこえてきました。

♪らんらん、らーんぱく、らんらんらーん♪

見ると、ドレスを着て着飾きかざったたまごがみちあるいています。

ドレスを着て日傘をさすたまごが歩いている。それを見てよだれをたらす貧乏そうな女の子。

おなかがすいた貧子びんこちゃんは、たまごをつかみあげました。

「このたまご、食べれるかしら」

貧子びんこちゃんがそう言うと、たまごはおこりだしました。

「キーッ!おはなし!ぶれいもの! あたくし、たまごじゃなくってよ!」

怒って顔にひびが入ったたまご

おこったたまごのかおには、ぴしっと亀裂きれつが走ります。

こんなに怒ったたまごでは、とても食べる気になれません。

「ごめんなさい、おなかがすいていたものだから…」

貧子びんこちゃんがあやまると、たまごは機嫌きげんをなおします。

「おーほっほっほっ、よくってよ」

ひび割れた顔の部分を向いてつるっとなった顔のたまごが手のひらの上で笑っている

「ところで一体いったいあなただれ?」

「おーほっほっほ、あたくしは、卵白婦人らんぱくふじんでございます。たまご体型たいけい、たまごはだ、けれど、たまごじゃございません」

 卵白婦人はうたうように言いました。

「そんなにたまごがほしければ、ひとつんでさしあげますわ!」

 卵白婦人らんぱくふじんはそう言うと、「ふぬーっ」といきみはじめました。

いきんでいたまごのご婦人

「ふぬーっ、ふぬーっ」

ころーん!

スカートをまくりあげてたまごを産んだたまごのご婦人

卵白婦人らんぱくふじん自分じぶんおなじ大きさのたまごをひとつみました。

「さあ、あなたのねがいをこめて、たまごをるのでございます」

「わたしのねがい? うーん、とりあえず、たまごを食べるには、まずはフライパンが必要ひつようね」

それぞれオムレツと目玉焼きを焼いた二つのフライパンを思い浮かべる女の子

「フライパンがあれば、目玉焼めだまやきでもオムレツでもつくれるでしょ!」

「では、あなたのねがいをこめて、たまごをるのでございます。おもいどおりのそのとおり、願いをかなえてごらんなさい!」

貧子びんこちゃんは願いをこめて、たまごをわってみました。

「フライパンがほしい!」

割れた卵の中からフライパンが出て来る

たまごがわれると、中からフライパンが出てきました!

ところが……


「なによ! 肝心かんじんのたまごの中身なかみがないじゃない! フライパンだけあっても、何も食べられないわよ!」

貧子びんこちゃんはおこります。

「おーほっほっほっ、ねがったとおりでございます」

そう言って、卵白婦人らんぱくふじんは、歌いながらっていきました。



♪おなかがすいたはずなのに 
ほしいのは なぜかフライパン

たべたいものなら なんだって 
たべれたのに なぜ ねがわない~

たべものよりも ほしいのは 
たべれないただのフライパン♪

日傘をさして歌いながら去っていく卵白婦人

おしまい



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