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apricotpink
『唐揚げ死なず』
箸の先から唐揚げがポロリと落ちた。
「お、この唐揚げ生きとるで」
やや顔色の悪げな男が言う。
「お客はん、よう分かりはりますな」
答えたのは旅館の女将だ。
「この唐揚げホンマにまだ生きてますのんえ。魚の活け造りならぬ鶏の活け造りを唐揚げにしたんですのん」
「さよか。しかし生きる力ってのは偉いもんやなぁ。ワシもこれ食うてあやかりたいもんや」
「ふふ、お上手」
「元気になったら、女将、どや、今夜一晩付き合わへんか」
男は下卑た笑いを浮かべて女将に抱きつこうとする。
「んもう、おいたはあきまへんえ」
袖口から一枚の札を取り出すと、女将は男の額に貼り付けた。
「はぁ、生きた屍のキョンシーが死なずの唐揚げを食べるなんて、ホンマ、悪趣味やわぁ」
