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頭の上から花火が降ってきた。第80回・伊東市の按針祭、1時間で2万発の花火ドーン

ドーン,ドドドドドーン

打ち上げ場所が近いので、胸の奥まで、音が響く。

2026年8月10日。

伊東市で開催された、第80回按針祭海の花火大会へ行ってきました。

今年は80回という節目。

いつもの約1万発から、なんと約2万発。

なんと、倍です。

しかも、ただ数が多いだけではありません。

海のあちこちから、次々と上がる。

右を見ても花火。

左を見ても花火。

首を振るのも、忙しい。
一体、どっちを見ればいいの? っていう感じ。

そもそも「按針」って何?

按針祭の「按針」。

「ところで、何?」

という人もいるでしょう。

これは人物名です。

私も、歴史の授業を全部覚えているほど頭が良くはありませんが。

三浦按針、本名はウィリアム・アダムス。イギリス人です。

徳川家康の外交顧問として活躍し、1600年代初め、伊東で日本初の洋式帆船を建造した人物として知られています。

その功績をたたえて始まったのが、伊東の按針祭。

1947年8月10日に第1回が開催され、それから80回。

考えてみると、すごい話です。

400年以上前に伊東で船を造ったイギリス人の物語が、今では夏の夜空を埋め尽くす2万発の花火につながっている。

まさか、按針さんも伊東市のお祭り名前になるとは思わなかったでしょうね。

今年は、いつもと違う2万発

按針祭には以前にも行ったことがあります。

たしか2〜3年前。

そのときも十分きれいでした。

ただ、今年は明らかに違いました。

第80回記念。

約2万発。

20時から21時までの1時間です。

単純計算なんて野暮ですが、とにかく、休ませてくれない。

ドン。

ドドン。

ドドドドドン。

夜空が暗くなったと思ったら、また明るくなる。

ひっきりなしに上がります。

海風に乗って火薬の匂いまで流れてくる。

花火大会というより、花火の中に座っているような感覚でした。

この花火の魅力は「近さ」だと思う

伊東の按針祭を見て感じるのは、

やっぱり花火との距離です。

とにかく近い。

もちろん実際には安全な距離が取られているのでしょうが、観客席から見ると、

「これ、本当にこっちへ来ないよね?」

と思うくらい。

特に印象に残ったのが、しだれ柳のように光が落ちてくる花火でした。

大きく開く。

そして金色の光が、ゆっくりこちらへ垂れてくる。

きれい。

でも、ちょっと怖い。

いや、かなり近い。

しだれの火の粉が、頭の上へ降ってくるように見えるんです。

通常、遠くから眺める花火には、

「きれいだなあ」

という美しさがあります。

伊東の花火には、それに加えて、

「うわっ!」という感覚が。

これが按針祭の魅力なんだと思います。

海風が気持ちいい。ところが……

この日は台風の影響も気になる空模様でした。

それでも会場では適当に海風が吹いていて、涼しい。

普通、真夏の花火大会というと、人が多い、汗が出る。

みたいな覚悟をしていたのですが、海から吹いてくる風が気持ちいい。

「今日は風があってよかったね」

そんなことを話していました。

ところが。

その風が、なかなかの曲者でした。

しかも今年は、台風が近づいている、、、。

風にのって、打ち上げたあとの煙が観客席のほうへ流れてきます。

打ち明け場所から、煙をかぶる観客席は大変だっただろうなと。

左のほうから「ワーッ」という声がした

そして、花火を見ている途中。

左の向こうのほうから、

「ワーッ」

という少し大きな声が聞こえました。

ただ、そのときは観客が喜んでいる声なのだろうなと気にしなかったのですが。

やはり、これだけの花火です。

あちこちから歓声が上がっています。

「すごい!」

「近い!」

「うわー!」

「怖い」

そんな声はずっと聞こえていました。


後になってニュースを見て、花火の破片が観客側へ飛んだと知りました。

「あの時の声、もしかして……」

そう思いました。

現場にいたのに、その時には分からなかった。

それくらい会場は花火の音と歓声に包まれていたんです。

被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。

楽しいはずの夜に怖い思いをされたことを考えると、手放しで「迫力があって最高だった」とだけ書く気にはなれません。

それでも、あの迫力は残してほしい

安全と迫力。

この二つは、ときどき難しい関係になります。

遠ざければ安全性は高まる。

でも、あの「頭上に落ちてくるような感覚」は薄れてしまう。

もちろん、安全が最優先です。

今回の出来事を受けて、運営側でも原因や観覧場所、風向きなど、いろいろ検討されるのだと思います。

そのうえで。

あの近さ。

あの音。

建物まで震えるような2万発の迫力。

できることなら、残してほしい。

そう感じました。

危険を残してほしいのではありません。

「近いからこそ感じられる花火のすごさ」を、安全な形で残してほしい。

そんな気持ちです。

そして花火が終われば、伊豆半島の名物が待っている

21時。

花火が終わりました。

「いやあ、すごかったね」

そんな話をしながら、熱海へ戻ります。

……戻るはずでした。

ですが、渋滞です。

伊豆半島を車で移動する人なら、なんとなく分かると思います。

伊豆は地形上、移動できる道路が限られます。

隣町へ行くだけなのに、

「ほぼ、この道しかない」

という場所も珍しくありません。

花火が終われば、大勢の車が一斉に動く。

そりゃ混みます。

2〜3年前に来たときは、すんなり熱海まで戻れた記憶があります。

でも、今年は80回記念。

しかも2万発。

人出も多かったのでしょうね。

普段なら1時間もかからないのに、今回は2時間はかかりました。

また行くかと聞かれたら

たぶん、行きます。

遠くから眺める大きな花火大会も好きです。

でも伊東の按針祭には、

「花火の中にいる」

という感覚があります。

音が胸に響く。

海風が頬に当たる。

火薬の匂いがする。

そして光が、頭の上から降ってくる。

テレビでは、たぶん伝わりきらない。

写真でもこの大迫力は写しきれない。

現場でしか分からない距離があります。

今年は事故もありました。

だからこそ、安全面についてはしっかり検証してほしい。

それでも、伊東の花火が持っているあの独特の迫力まで、小さくなってしまわないでほしいなと思っています。

海から吹いてくる風に当たりながら、

夜空いっぱいの花火を見上げる。

ドーン。

胸に響く。

また来年も、あの音を聞けたらいいなと思っています。

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