子どもに気を使わせてしまった日
「お金いっぱい使っちゃったね、ボクも出すよ」
ドライブの帰り道、息子がぽつりとそう言った。
その一言に、胸がざわっとした。
楽しかったはずの一日なのに、どうしてそんなことを言うんだろう。
咄嗟に、
「そんなこと言われても、大人は嬉しくないよ。
息子ちゃんが楽しんで笑顔でいてくれた方がいいのに、なんでそんなこと言うの」
と、少し苛立ちながら言ってしまった。
でも帰り道、その言葉がずっと引っかかっていた。
もしかして、そう思わせてしまったのは自分なんじゃないか。
普段から、
「これは本当にやりたいもの?お金がいっぱいあるわけじゃないから、よく考えて選んでね」
と伝えている。
お金や時間に限りがある中で、自分で考えて選ぶ力をつけてほしい。
そんな思いだった。
でもその言葉が、
「お金を使うのは悪いこと」
そんなふうに伝わってしまっていたのかもしれない。
一人っ子で、何かあれば注意されるのは自分だけ。
そんな積み重ねも、もしかしたら影響しているのかもしれない。
気になって、その日の夜、一緒にお風呂に入りながら聞いてみた。
「この前ドライブ行った帰りに、“ボクもお金出すよ”って言ったの覚えてる?」
「うーん、覚えてない」
「もしかして、お金使うのって悪いことって思ったのかなって」
「忘れた(笑)」
少し拍子抜けしながらも、伝えておきたかったことを話した。
「もしそう思うことがあったら、気にしなくていいからね。
本当に使ってよかったって思えるものに使ってほしいから、“本当にほしい?”って聞いてるだけで、お金がないわけじゃないからね」
そして、もう一つ。
「あとね、“また言っちゃった”って落ち込まなくてもいいよ。
はじめからできる人なんていないし、誰でも失敗するから。
ほら、パパだって一回で良いと思える職場を見つけられなかったでしょ」
「うん!」
その返事を聞いて、少しだけ肩の力が抜けた。
きっとまた忘れてしまうこともあると思う。
でも、あのときの笑顔を見る限り、気持ちは少し伝わったのかなと感じている。
今回のことで気づかされたのは、
「正しく伝えること」と「安心して楽しめること」は、同じじゃないということ。
これからは、息子がただ笑っていられる時間を、もっと大事にしていきたい。
