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yoshitravelogue
夜桜の余韻が呼んだもの
今年の桜は特に美しく感じられた
それは私自身が脱皮の時を迎えていたからだろうと思う
朝に昼に夜に桜を堪能した年も珍しい
桜がこんなにも心に深く入ってきた年も珍しい
同じ景色であっても自分の中に入ってくる感じが違うのだね
でも夜桜だけはいつも同じだった気がするのだ
少女の頃、よく自転車で通った場所に咲いていた一本の桜
その桜は毎年夜になるとライトアップされる
大人になった今は車でそこを通るのだが
私はほんの一瞬目に入った夜桜の余韻の中で
部屋で一人夜桜の景色を瞼の奥に浮かべては
恍惚の表情を浮かべている
何を思っての世界なのか
私は現在に過去に未来に思うままに心を旅させる
夜桜は私の奥へ奥へと入ってきて
私を妖しく解放させるのだろうか
その解放はいつのまにか幼き日の記憶の中へと潜り込んでいき
私の心にちくりとした痛みを思い出させていたのだろうか
真昼の居眠りの中でそれは起こった
私は夢の中で小さな少女になって泣き叫んでいた
小さな胸を痛めていた感情を吐露しながら嗚咽していたのだ
嗚咽状態のまま私は目覚めた
我の声にびっくりした
しっかりと苦し気な声で泣いていたのだから
私はこんなにも幼き少女の頃から思いを堪えながら生きていたのだろうか
そんな気持ちにさせられた
それと同時にどこかすっきりとしたような気持ちにもなった
夜桜の魔法か夜桜の治療かわからないけれど
夜桜が私の奥へ奥へと入ってきて
私を妖しく解放させたことだけは間違いないのだとわかる
夢の中の少女は少女の姿をしていたけれどあれはきっと
今の私の素直な感情を表した姿だったのではないかと感じている
夜桜の魔法か夜桜の治療かわからないけれど私は少女の姿をしながら
大人の女として妖艶に少しだけ激しく泣きたかったのもしれない
さて、今日も生きるとしよう
