あらすじを読まずに、ただ圧倒されてほしい。映画『最後まで行く』で目撃した「狂気」と「滑稽」。
はじめに
「これは、あらすじを入れずに見たほうがいいやつだな」
見終わった直後、そう思った。
岡田准一さん×綾野剛さん×藤井道人監督。
この組み合わせで、面白くないはずがない。
評価:☆☆☆☆
前半と後半、そして終盤。
視点が切り替わるたびに見えている景色が変わり、伏線が回収されていく。
その過程がとにかく気持ちいい。
今回は、この映画の中にあった「滑稽さ」と「狂気」、そして二人の俳優が見せた「顔」について整理してみる。
追い込まれていく人間の「滑稽さ」
前半、岡田准一さん演じる工藤が、
不運と自業自得の連鎖でどんどん追い詰められていく。
本来ならシリアスで重たい展開のはずなのに、
なぜか少し笑ってしまう瞬間がある。
あまりにも後手に回り続けるからだと思う。
必死に状況を立て直そうとするほど、
さらに状況が悪化していく。
「脳に汗をかいている」感じが、そのまま画面から伝わってくる。
サスペンスなのに、どこか人間くさい。
この“追い込まれていく感じ”が、物語を一気に引っ張っていく。
綾野剛が作る「狂気の温度差」
一方で、綾野剛さんの存在はまったく別のベクトルで怖い。
特に印象的だったのは、
視点が変わることで印象が大きく変わるところ。
前半と後半で、同じ人物なのに違って見える。
狂気と、繊細な表情の揺れ。
そのバランスが絶妙で、見ている側の感情が揺さぶられる。
正直、あの「顔」を見せられると、
他の登場人物の印象が一瞬飛ぶくらい強い。
悪の濃さというより、
「温度」が変わる感覚に近い。
その表現を成立させているのが、綾野剛という俳優の力なんだと思う。
最後に残るのは「顔」だった
物語は、テンポよく転がり続ける。
それぞれの思惑が交錯して、
予想とは違う方向に進んでいく。
そしてラスト。
岡田准一さんと綾野剛さんの「顔」。
あれはちょっと言葉にしづらい。
善と悪の境界が曖昧になって、
ただ執念だけが残っているような表情。
「すごい映画を見た」としか言いようがない体験だった。
おわりに
緻密に張り巡らされた伏線と、
それを超えてくる俳優の熱量。
この映画は、情報を入れてから観るより、
何も知らない状態で飛び込んだほうがいいと思う。
自分はたまたまそうなったけど、
結果的にはそれが正解だった気がしている。
あなたは、映画を観る前にあらすじを確認するタイプだろうか。
それとも、何も知らない状態で飛び込むタイプだろうか。

