通勤30分でも進む米国株自動分析の改善サイクル【スマホで周回!#4】
こんにちは、スマホ投資パパです。
スマホだけでできる米国株の自動分析システムの第4回目になります。
前回までの3記事で、改善サイクルの回し方を掴んでもらいました。
ChatGPTに依頼 → GitHubに反映 → 動かす → 確認する → また直す。
この流れを何度か回す中で、「これ、もう少し速く回せないか」と思った人もいるはずです。
今回は、このサイクルを速く・深く回すための4つの方法を紹介します。
AIコーディングエージェントでコピペをなくす
チャットパックでAIの理解精度を上げる
有料APIで分析の幅を広げる
Git戻しで「壊れた」から一瞬で復旧する
どれもサイクルを止めないための手段です。
特に4つ目は、知っているかどうかで精神的な安心感がまったく違います。
1. AIコーディングエージェントでコピペをなくす
前回まで、コードの修正はこういう流れでした。
1. ChatGPTにapp.pyを貼り付ける
1. プロンプトで修正を依頼する
1. 出力されたコードをコピーする
1. GitHubに貼り付けてpushする
これ、1回2回ならいいですが、何度もサイクルを回していると「コピペの往復」が地味に重くなります。
AIコーディングエージェントを使うと、この往復がなくなります。
代表的なツールとしては、OpenAIの「Codex」やAnthropicの「Claude Code」があります。
AIがGitHubのリポジトリに直接アクセスして、コードを読み、修正し、プルリクエストまで作ってくれます。
やることは「こう直して」と文章で指示するだけ。
コードをコピペする必要がありません。
AIがGithubリポジトリのコードを直接改修してくれるのです。
サイクルの「依頼→反映」の部分が一気に短くなるので、試行回数が増えます。
試行回数が増えると、改善の精度も上がります。
またGitHub Copilotの「エージェントモード」もおすすめです。
Codexと同じくコーディングエージェントですが、こちらはGitHub Actionsのログまで見てくれるのが強み。
「Actionsの○○ジョブの#123でエラーになったからログ確認して」みたいな指示もそのまま通ります。

それから注意点がひとつ。コーディングエージェントは「会話」が得意ではありません。指示を投げたら結果が返ってくるだけで、途中で方針を相談したり、やり取りしながら詰めることはなかなか難しいです。
なので実際の運用では、こうなります。
ChatGPTやClaudeとチャットで改修方針を詰める
合意したコードの差分(diff)を出力してもらう
その差分をCodexに渡して、リポジトリに反映させる
「頭脳はチャットAI、手足はコーディングエージェント」という分業です。これが現時点で一番効率の良い回し方だと思います。
2. チャットパックでAIの理解精度を上げる
前回まで、AIにコードを渡すときはファイルを1つずつ貼り付けていました。
app.pyだけの最小構成ならこれで問題ありません。
ただ、ファイルが増えてくると話が変わります。
複数のPythonファイル、yaml、設定ファイル。
これらを毎回1つずつ貼るのは手間ですし、AIも全体像を把握しづらくなります。
チャットパックは、リポジトリのコード一式を1つのテキストにまとめたものです。
これをAIに渡すだけで、プロジェクト全体の構成を一発で理解してもらえます。
作り方はシンプルです。
リポジトリ内のファイルを、ファイル名とコードのセットで1つのテキストに連結するだけ。全部まとめてZIPに圧縮でもよいです。
ChatGPTに「このリポジトリのファイル一式をチャットパック形式にまとめるスクリプトを書いて」と依頼すれば、自動化もできます。
ファイルが3つ以上になってきたら、チャットパックに切り替えた方が効率的です。
AIの回答精度が目に見えて上がります。


3. 有料APIで分析の幅を広げる
前回まではyfinanceを使っていました。
無料で手軽に始められるのが強みですが、本格的に分析を進めていくと限界が出てきます。
たとえば、こういった情報はyfinanceでは取りづらいです。
- ファンダメンタルデータ(売上成長率、EPS、利益率など)
- セクター・業種ごとの分類とランキング
- 安定した日次データの取得(yfinanceはたまにデータが欠落する)
- IPO情報や決算日の取得
有料の株価データAPIを使うと、こうした情報をまとめて取得できます。
個人で使いやすい主なサービスをいくつか挙げておきます。
Financial Modeling Prep(FMP)
ファンダメンタル、テクニカル、セクター分類、決算日、IPO情報まで幅広く取れます。
個人向けプランは月額数十ドルから。REST APIで扱いやすく、Pythonとの相性も良いです。
米国株メインで使うなら、カバー範囲と価格のバランスが良い選択肢です。
Polygon.io
リアルタイムデータに強いのが特徴です。
日足だけでなく、分足やティックデータも取得できるので、将来的にイントラデイの分析まで視野に入れるなら候補になります。
無料プランもありますが、本格利用は有料プランが前提です。
Alpha Vantage
テクニカル指標をAPI側で計算して返してくれる機能があります。
自分でコードを書かなくても移動平均やRSIなどを取得できるので、シンプルに始めたい場合に向いています。
無料プランは1日のリクエスト数に制限があるため、銘柄数が増えると有料プランが必要になります。
Tiingo
日足データの品質と安定性に定評があります。
yfinanceでデータが欠落する問題に悩んでいる場合、乗り換え先として検討する価値があります。
IEXデータも扱えるので、価格データの信頼性を重視する人向けです。
どのサービスを選ぶかは、自分が何のデータを必要としているかで決まります。
まずは無料構成で自分の分析スタイルを固めてから、「ここのデータが欲しい」と明確になった時点で導入するのが一番無駄がありません。

日本株含めてグローバルな市場の情報にも対応可能です
4. Git戻しで「壊れた」から一瞬で復旧する
サイクルを何度も回していると、そのうち「何を直しても動かない」という状態になる場合があります。AIとの会話が長引くとだんだんバグや認識違いが増えてくる。修正するたびに別のエラーが出る。どこから壊れたのか分からない。
こうなると、サイクルが完全に止まります。
ここで諦める人も多いですが、実はGitには「前の状態に戻す」機能があります。
壊れる前のコードに一発で戻せるので、にっちもさっちもいかなくなっても大丈夫です。
スマホからGitの操作をするには、Working Copyというアプリが便利です。
iOSの買い切りアプリで、GitHubのリポジトリをスマホから直接操作できます。
壊れた状態から戻す手順は3ステップです。
ステップ1:Resetする
Working Copyでコミット履歴を開き、戻したいコミット(正常に動いていた時点)を選択してResetを実行します。
ステップ2:変更を破棄する
スマホ側に差分が残っているため、Working Copyの Revert(変更の破棄) を実行して、スマホのコードをステップ1の状態に合わせます。
ステップ3:Pushする
Remote → origin からPushを実行します。通常のPushは拒否されるので、Force Push をON にしてください。GitHub上のコードもスマホと同じ状態に上書きされます。
この3ステップだけで、壊れる前の状態に復旧できます。


※初回のみ「History Rewriting」をONにする必要あり


大事なのは、「壊れても戻せる」と知っていることです。
戻せると分かっていれば、思い切って修正を試せます。
失敗を恐れずにサイクルを回せるようになるので、結果的に改善の速度が上がります。
逆に、戻し方を知らないと「壊したらどうしよう」という不安がブレーキになります。
このブレーキを外すだけで、サイクルの回転数はかなり変わります。
ちなみに Working Copy は iPhone 専用です。Android ではTermux + Gitがよさそうです。
5. コストをかける順番
4つの方法を紹介しましたが、全部同時に導入する必要はありません。
効果が出やすい順番があります。
まず最初に効くのは、チャットパック化です。
ファイルが増えてきた段階で導入すると、AIへの依頼精度が一気に上がります。
コストはかかりません。
次に効くのは、Git戻しの準備です。
Working Copyは買い切りのアプリなので、一度入れておけばずっと使えます。
壊れた時の保険があるだけで、攻めの改善ができるようになります。
その次が、AIコーディングエージェントです。
コピペの往復がなくなるので、サイクルの回転数が上がります。
ここから月額コストが発生します。
最後が、有料APIです。
分析の幅を広げたいと思った時に導入する形で十分です。
無料データで回せるうちは、急ぐ必要はありません。
つまり、コストゼロの改善を先にやって、その上で有料の加速手段を足していく。
この順番が一番無駄がないです。

ここまで見てきたように、これは単にAIで作業を省力化する話ではありません。
大事なのは、一度作って終わりにせず、小さく直しながら仕組みを育てていく周回プレイを継続できるようにしておくことです。
最初から完成形を目指すより、動かして、確認して、また直す。この流れを軽く回せる状態を作っておく方が、結果として実用性の高い仕組みに近づきやすいと感じています。
6. ここまでのまとめと、次の話
生成AIを活用すると、改善サイクルを速く、深く回しやすくなります。
ただし、それはAIが全部やってくれるからではありません。
AIに自然言語で指示し、その結果をすぐ確認し、必要に応じて修正する。
この往復を短い時間で何度も回せるようになることに、本当の価値があります。
特にスマホだけでこの流れを回せるようにしておくと、通勤時間や休憩時間など、日常のちょっとしたすきま時間をそのまま改善に使えるようになります。
机に向かわないと何も進まない状態より、はるかに手を動かしやすくなります。
もちろん、AIに任せれば常に正解が返ってくるわけではありません。
だからこそ、人が方針を決め、結果を見て、必要な修正を加える前提が重要です。
その上で使えば、生成AIは作業を丸投げする相手ではなく、改善を前に進めるための強力な補助役になります。
私自身、今後もこの形で改善を重ねながら、より実用的な仕組みに育てていくつもりです。
この記事が、生成AIを使った仕組み作りや改善のヒントになればうれしいです。
さて、4記事を通してこういう流れが出来上がりました。
- 第1回:全体像と考え方
- 第2回:最小構成でトレンドテンプレートチェックをSlackに通知
- 第3回:改善サイクルを4回まわして、条件追加・スケジュール実行・通知改善
- 第4回(今回):サイクルを速く・深く回すための加速手法
次回は、生成AIを使って仕組みを改善していく中で、生成AIの暴走を防ぐために私が実際に気をつけている「ガードレール」についてです。
気になる部分があればコメントで教えてください。
最後にひとつだけ。
この記事は、米国株の売買そのものをおすすめするものではなく、あくまで分析や仕組み作りの考え方をまとめたものです。
実際の投資判断は、ご自身の責任でお願いします。
