我が家の小1の壁は、誰も教えてくれなかった
「小1の壁」
子どもが小学校に入学するとよく聞く言葉。
保育園との環境の違い。
学童に入れるか問題。
仕事との両立。
宿題を見る時間の確保。
入学直後は給食もなく、お昼には帰ってくる。
確かに我が家も、そういった一般的な小1の壁は多少あった。
でも、実はもうひとつあった。
それは誰も教えてくれなかった壁。
長男が、いわゆるクロスドミナンスだったことだ。用途によって使いやすい手が違う。
元々は左手ばかり使っていたので、左利きだと思っていた。
でも、4〜5歳くらいから、たまに右手も使うようになった。
長男は、
左手でカレーを食べながら、
右手で唐揚げを同時に食べれる。
そんなことが普通にできる。
字を書くのは右。
ご飯を食べるのは左。
ボールを投げるのは?
ハサミは?
歯ブラシは?
やることによって使う手が違う。
すると何が起こるか。
右と左がよく分からないのである。
我が家は長男以外、全員右利き。
次男には、
「お箸を持つ方が右だよ」
で済む。
でも長男にはそれが通用しない。
お箸は左。
字や絵を書くのは右。
やることによって、右を使ったり左を使う。
だから字を書く方が右と言っても、
「たまに反対の手でも書くよ!」と言われる。
だからこそ、どっちが右で左か理解するまで時間がかかった。
保育園までは何とかなった。
利き手を直されることもなかったし、
私たちも無理に直す必要はないだろうと思っていた。
そのうちどちらかに定まるかもしれない。
右脳も左脳も使ってるから、
頭がよくなるかも?とか
呑気に夫と話していた。
ところが小学校に入ると話は別だ。
右に並んでください。
右を向いてください。
右手をあげてください。
右と左が分からないと、なかなか困る。
そこで私は、
「どっちが右でしょう?」
と、日常の中でクイズを出し続けた。
買い物中も。
家の中でも。
ふと思い出した時も。
根気よく続けた結果、なんとか覚えてくれた。
まさか小1の壁が、
『右と左を覚えること』
だとは思わなかった。
誰も教えてくれなかったし、
どこにも書いていなかった。
まぁ、両方使える子が少ないから仕方ないのだけれど。
そして現在。
小4になった長男。
習字の授業があるたびに、
それなりの量の墨汁を服につけて帰ってくる。
なぜだ。
なぜ毎回なんだ。
なぜよりによって白っぽい服を選ぶんだ。
黒い服は持っていないのか。
いや、黒い服の方がいっぱい持っている。
なのになぜ、その日に限って白っぽい服を着ていくのだ。
私は小学生の頃、習字を習っていた。
でも、こんなに毎回墨汁まみれにはならなかった。
ある日、ふと思って聞いてみた。
「ちなみに筆はどっちで持つの?」
すると長男は即答した。
「左!」
「そっちの方が書きやすいから!」
……なるほど。
普段は右で字を書くのに、
筆は左なのか。
そういえば以前テレビで、
習字は左利きだと書きにくい
と言っていた。
右利きは筆を置いて引く動きがしやすい。
左利きは押す動きになりやすい。
だから難しいらしい。
つまり長男は、
左で習字を書き、
書きにくさと戦いながら、
墨汁とも戦い、
そして負けて帰ってきているのだ。
両方の手を使えるのは、
きっと便利なことも多い。
でも母は思う。
便利さの代償を、
なぜ私がブルースティック片手に払っているのだろう、と。
小1の壁は乗り越えた。
でも我が家には今もなお、
墨汁という新たな壁が存在している。
ただひとつ言えることは、
習字の日に白い服を着ていくのだけは、
そろそろやめてほしい。
母からは以上です。
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