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AIが進化する時代だからこそ、共感が組織の競争力になる。─人的資本経営シリーズ①

──共感型リーダーシップが組織の未来を左右する理由──

こんにちは。
企業・組織のキャリア開発を支援しているキャリアコンサルタントの米津幸絵です。

生成AIの進化によって、私たちの働き方は大きく変わり始めています。
資料作成や情報収集、文章作成など、これまで人が時間をかけて行ってきた仕事の多くをAIが担えるようになりました。

企業にとってAIは、生産性向上や人手不足への対応、競争力強化を実現する大きな可能性を秘めています。
だからこそ、多くの企業がAI導入を進めています。

しかし、その一方で、現場では違う景色が見えています。
「AIによって自分の仕事はなくなるのではないか。」
「AIを使いこなせなければ評価されなくなるのではないか。」
「変化についていけるだろうか。」
そんな不安を抱えながら働いている社員も少なくありません。

経営層は「企業の未来」を見ています。
一方、社員は「自分の未来」を見ています。
どちらも間違っているわけではありません。
しかし、この"見ている景色の違い"が、AI導入を難しくしているのではないでしょうか。


AI導入の課題は、技術ではなく「人」

AIを導入すれば、すぐに生産性が向上するわけではありません。
社員が安心してAIを活用できる環境があってこそ、その価値は発揮されます。

近年の調査では、AI導入が進む一方で、職場における「共感」の重要性に対する経営層の認識が低下しているという結果も報告されています。
AIへの投資が加速する一方で、現場で働く人との対話や理解に十分な時間を取れないと感じる経営者も少なくありません。

AIへの投資が進む今だからこそ、同時に「人への投資」がこれまで以上に重要になっているのではないでしょうか。

近年、多くの調査や研究では、AI導入の成否を分けるのは、技術力だけではなく、組織文化やリーダーシップであることが指摘されています。

その中でも重要なのが、「共感型リーダーシップ」です。

リーダーが、
「AIを使えば効率が上がる。」
と説明するだけでは、人は動きません。

まず必要なのは、
「不安になりますよね。」
「一緒に学んでいきましょう。」
「あなたの経験や価値がなくなるわけではありません。」
そんな言葉で、社員の気持ちに寄り添うことです。

人は、「わかろうとしてくれている」「理解しようとしてくれている」と感じたときに初めて安心できます。

そして、安心できたときに初めて、新しいことへ挑戦する勇気が生まれるのです。

共感が、組織の競争力をつくる

「共感」と聞くと、「優しい人」「相手に合わせること」と思われることがあります。
しかし、私が考える共感とは少し違います。
相手の立場や背景を理解しようと努め、その人が安心して考え、自分の言葉で話し、自ら行動できる状態をつくること。

共感とは、迎合ではありません。
理解しようとする姿勢そのものです。
この姿勢があるからこそ、心理的安全性が生まれます。
心理的安全性があるからこそ、人は挑戦できます。
挑戦が増えるからこそ、学習が生まれます。
学習が積み重なるからこそ、組織は変化に適応し、イノベーションを生み出します。

つまり、
共感

心理的安全性

挑戦

学習

イノベーション

という好循環が生まれるのです。

AIが企業を成長させるのではありません。
AIを安心して活用できる組織文化が、企業を成長させるのです。

AI時代に管理職へ求められるもの

これからの管理職に求められるのは、「正解を知っている人」ではありません。
AIが知識や情報を提供してくれる時代だからこそ、
・部下の可能性を信じること
・問いを投げかけ、自ら考える力を引き出すこと
・一人ひとりの違いを尊重しながら、チームの力を高めること
・安心して挑戦できる環境をつくること
こうした力が、これまで以上に重要になります。
知識だけでは、人は動きません。

「この人と一緒に働きたい。」
「この人なら安心して挑戦できる。」
そう思える信頼関係こそが、AI時代の組織の競争力になるのではないでしょうか。

人的資本経営の本質とは

人的資本経営とは、人を「コスト」ではなく、「企業価値を生み出す資本」として捉える考え方です。

AIを導入すること自体が、人的資本経営ではありません。
AIを活用しながら、人が安心して学び、挑戦し、成長できる環境をつくること。
そして、一人ひとりの能力や可能性を最大限に発揮できる組織を育てること。
それこそが、人的資本経営の本質ではないでしょうか。

私はキャリアコンサルタントとして、多くの方のキャリア支援に携わってきました。
人は、「正しいこと」を言われたから変わるのではありません。
「この人は自分を理解してくれている。」
そう感じたときに、人は安心し、自ら考え、自ら行動し始めます。

これは個人支援でも、組織でも変わらないと感じています。

おわりに

AIは、人の仕事を支えることはできます。
しかし、人の不安に寄り添うことはできません。

相手の表情から戸惑いを感じ取り、
「大丈夫。一緒に考えていきましょう。」
と声をかけられるのは、人だからこそできることです。

AI時代だからこそ、人にしかできない仕事があります。
それは、人を理解し、人を育て、人と人との信頼関係を築くことです。

私は、これこそがAI時代における人的資本経営の原点だと考えています。

人的資本経営という言葉は広く知られるようになりましたが、その実践方法は企業によってさまざまです。

人が育つ組織には、必ず「人への投資」があります。
このシリーズでは、キャリア開発、人材育成、組織開発の視点から、「人が育ち、組織が育つ」人的資本経営について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


ありがとうございます。
個人と組織のキャリア開発
キャリアコンサルタント
米津幸絵


参考記事

今回の記事を書くきっかけになったのは、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの「AI導入には共感型リーダーシップが不可欠」という記事でした。
AI導入における経営層と現場の認識のギャップや、共感型リーダーシップの重要性について考えさせられる内容です。
この記事を読みながら、私自身が20年以上、企業・教育機関でキャリア開発に携わる中で感じてきたことを重ね合わせ、本記事を書きました。


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