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「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&Aが更新されました

「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&Aが更新されました(本文4,423文字)
 
 
食品安全委員会は、令和7年3月19日付にて「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&Aを更新し、新たにQ14を追加しました。 ここではPFASについて、そして評価書bに関するQ&Aについてまとめます。
さらに詳しい情報は、<一次情報>他からご確認ください。
 
 
<PFASとは>
“PFAS”とは、”Per- and Polyfluoroalkyl Substances”の略で、日本語では一般的に「有機フッ素化合物」と呼ばれます。PFASは撥水性・撥油性が高く、難分解性で蓄積しやすい化学物質であり、現在は規制対象となっています。食品安全委員会は評価を行い、特定のPFASの摂取量基準を設定しています。食品安全委員会による用語集では、次のように説明しています。

 有機フッ素化合物(PFAS:Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、一般に一部あるいは完全にフッ素化された疎水性のアルキル鎖と親水性の末端基からなる物質の総称であり、その分子種の定義は複数存在する。PFAS分子種として知られる化合物の数は、OECDによると4,730(平成30年時点)、EPAによると12,000(令和3年時点)を超えるとされている。PFASは、撥水性及び撥油性並びに物理的及び化学的な安定性を併せ持つことから、かつて幅広い用途で用いられていたが、難分解性、高蓄積性等を有することから、近年、日本を含め各国の規制対象となっている。
 我が国においても、PFASの一種であるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS:Perfluorooctane Sulfonate)、パーフルオロオクタン酸(PFOA:Perfluorooctanoic Acid)及びパーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS:Perfluorohexane Sulfonate)の製造及び輸入が原則禁止されている。
 食品安全委員会では、PFASに関して「自ら評価」を実施することを決定し(令和5年1月)、「有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループ」を設置のうえ、令和5年2月から調査審議を行い、令和6年6月に評価結果をとりまとめ、PFOS、PFOAについて耐容一日摂取量(TDI)を20 ng/kg体重/日と設定、PFHxSについて現時点では指標値の算出は困難であると判断した。

【食品安全委員会】用語集:有機フッ素化合物(PFAS) PFAS:Per- and Polyfluoroalkyl Substances【最終更新日 2024年9月】から引用
https://www.fsc.go.jp/yougoshu/kensaku_kagaku.html#item530

 

<評価書に関するQ&A>
食品安全委員会は、「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&Aを更新し、新たにQ14を追加しました。このQ14では、2022年度に収集した文献を基に、PFASワーキンググループが食品健康影響評価に用いる文献をどのように選定したかが説明されています。
 
Q&Aは14問が示されており、大きく3カテゴリ、さらにそれらを細分化しています。

I.評価の背景・手順・方法論
Q1 食品安全委員会は、なぜPFASの健康影響について自ら評価をしたのですか?
Q2 PFASの食品健康影響評価はどのような手順により行ったのですか?
Q3 食品健康影響評価(リスク評価)として、何を行ったのですか?
Q4 評価書は、動物試験と疫学研究に大別して記述されています。どのような違いがありますか?
Q5 評価において、日本人を対象とした研究結果はどの程度、取り入れられていますか?
 
食品安全委員会は、食品や飲用水を通じた有機フッ素化合物(PFAS)の健康影響を評価する必要性を認識し、2023年に自ら評価を実施しました。評価は、国内外の学術文献や各国政府機関の評価結果をもとに、PFOS、PFOA、PFHxSを中心に行われました。リスク評価は、①ハザードの特定、②ハザードの特性評価、③曝露評価、④リスク判定の手順で実施され、動物試験や疫学研究の結果を総合的に検討し、耐容一日摂取量(TDI)を設定しました。動物試験は曝露条件を制御しやすい一方、疫学研究は実際の生活環境下でのデータを提供し、両者を併用して評価を行いました。また、日本人を対象とした研究も考慮しましたが、研究数が限られているため、海外の研究も参考にしつつ総合的に判断しました。
 
II.評価書の概要
(1)健康影響
Q6 ハザードの特性評価(PFASの健康への有害影響の性質と程度の評価)においては、どのような項目がどう評価されたのですか?
1)肝臓、脂質代謝
Q6-1 国外のリスク評価機関が健康影響に基づく指標値の算出に用いている血清ALT値や血清総コレステロール値の上昇について、どのように評価したのですか?
2)免疫毒性
Q6-2 ワクチン接種後の抗体価低下について、他国の評価で採用されているフェロー諸島での疫学研究をどのように評価したのですか?
3)発がん性
Q6-3 PFOSとPFOAの発がん性について、2023年に国際がん研究機関(IARC)が発表した分類結果を踏まえて、どのように評価したのですか?
 
食品安全委員会の評価では、PFASの健康影響を「肝臓・脂質代謝」「免疫毒性」「発がん性」の観点から検討しました。まず、肝臓や脂質代謝に関する影響について、国外のリスク評価機関が指標値の算出に用いる血清ALT値や血清総コレステロール値の上昇を評価しました。その結果、動物試験と疫学研究の両方でPFASの曝露による影響が示唆されました。次に、免疫毒性に関しては、フェロー諸島での疫学研究を含む他国の評価を踏まえ、ワクチン接種後の抗体価低下が重要な影響であると判断しました。最後に、発がん性については、国際がん研究機関(IARC)が2023年にPFOSを「グループ2B(発がん性の可能性)」、PFOAを「グループ1(発がん性がある)」と分類したことを考慮し、最新の知見を反映した評価を行いました。
 
(2)指標値
Q7-1 耐容一日摂取量(TDI)の設定の考え方やTDIの意味するところを教えてください。
Q7-2 米国や欧州のリスク評価機関では、疫学研究のデータが採用されていますが、今回のTDIは、国外のリスク評価機関が設定しているそれらの指標値と比較して高すぎるのではないでしょうか?
 
食品安全委員会は、PFASの健康影響を踏まえ、耐容一日摂取量(TDI)を設定しました。TDIとは、生涯にわたり毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと考えられる1日あたりの摂取量のことです。PFOS、PFOA、PFHxSについて、動物試験と疫学研究の結果を総合的に検討し、指標値を設定しました。
米国や欧州のリスク評価機関では、主に疫学研究のデータを用いてTDIを設定していますが、食品安全委員会のTDIは動物試験と疫学研究の両方を考慮し、総合的に判断したものです。そのため、国外の指標値と比較して高めの値となっていますが、評価手法の違いに基づくものであり、安全性を十分考慮した設定になっています。
 
(3)摂取量
Q8 日本人はどの程度PFASを摂取していますか?
 
食品安全委員会は、日本人のPFASの摂取量について、食品や飲用水を通じた曝露データをもとに評価しました。食品については、農林水産省や厚生労働省の調査結果を参考にし、飲用水については環境省のデータを活用しました。
その結果、日本人のPFOS、PFOA、PFHxSの摂取量は、食品および飲用水の両方を合わせても、今回設定された耐容一日摂取量(TDI)を下回る水準であることが確認されました。ただし、摂取量には個人差があり、今後のデータ収集や評価の継続が重要であるとしています。
 
(4)血中濃度
Q9 PFASの血中濃度と健康影響との関係はどのように評価したのですか? PFASの血中濃度が、米国科学・工学・医学アカデミーのガイダンスで示される指標の濃度よりも高い住民の健康影響をどのように考えたらよいでしょうか?
 
食品安全委員会は、PFASの血中濃度と健康影響の関係について、国内外の研究結果をもとに評価しました。PFASは体内に蓄積しやすく、特に血中濃度が高い場合には健康への影響が懸念されます。
米国科学・工学・医学アカデミーのガイダンスでは、特定の血中濃度を超えた場合に健康影響のリスクが高まる可能性が示唆されています。しかし、血中濃度と健康影響の因果関係は個々の状況によって異なり、日本国内のデータを含めた更なる研究が必要とされています。そのため、食品安全委員会は、個別の健康リスクについては医療機関などの専門家と相談しつつ、今後のデータ収集と科学的知見の蓄積が重要であるとしています。
 
(5)まとめと今後への課題
Q10 通常の一般的な食生活を送っている人たちへの影響について、食品安全委員会はどのように考えているのですか? 国内の高濃度汚染地域の住民の実態についてはどうなのでしょうか?
Q11 今回の評価書には、どのようなメッセージが込められているのでしょうか?
Q12 今後、新たな知見が得られればPFASの再評価を行うのですか?
Q13 PFOS、PFOA、PFHxS以外のPFASの健康影響をどう捉えたらよいですか?
 
食品安全委員会は、一般的な食生活を送る人々へのPFASの影響について、現在の摂取量が耐容一日摂取量(TDI)を下回るため、重大な健康リスクはないと評価しています。ただし、国内の一部高濃度汚染地域の住民については、特定の地域でPFASの血中濃度が高く、健康影響のリスクが懸念されるため、個別の対応が必要とされています。
今回の評価書には、PFASの健康影響を科学的に評価し、一般市民へのリスクを明確にすること、また高濃度汚染地域への注意喚起が込められています。今後、新たな研究結果や知見が得られた場合には、PFASの再評価を行い、リスク管理の方針を更新することが予定されています。また、PFOS、PFOA、PFHxS以外のPFASについては、現時点で十分なデータがなく、今後の調査と評価が必要であるとされています。
 
III.その他
Q14 令和4年度に調査事業で収集した文献を基にしながら、PFASワーキンググループで評価を進める際に、食品健康影響評価に用いる文献をどのように選定したのですか?
 
食品安全委員会は、令和4年度の調査事業で収集した文献を基に、PFASワーキンググループで食品健康影響評価を進める際に、以下の基準で文献の選定を行いました。まず、科学的信頼性が高いものを優先し、査読を受けた学術論文や国際機関、政府機関の報告書を中心に選定しました。次に、PFASの健康影響に関連する研究を広範囲に収集し、その中で動物試験、疫学研究、環境調査の結果をバランスよく取り入れました。また、国内外の最新の研究成果も反映させることに重点を置き、評価の透明性と信頼性を高めました。これらの選定基準に基づき、最も信頼性の高い文献を使用し、科学的根拠に基づいた評価を行いました。
 
 
<まとめ>
食品安全委員会は、有機フッ素化合物(PFAS)の健康影響について、国内外の文献やデータを基にリスク評価を行いました。評価では、肝臓、免疫系、発がん性など複数の健康影響を検討し、日本人の摂取量が耐容一日摂取量(TDI)を下回ることを確認し、高濃度汚染地域の住民には特に注意喚起がされています。
 
今後、PFASに関する評価は、さらなる研究と新しいデータに基づいて継続的に更新されていく必要があります。特に、PFASの影響を受ける可能性のある特定の地域や集団については、追加的な調査と対策が求められます。また、PFAS以外の化学物質について同様の評価を行うことで、食品安全の確保が進むと考えられます。さらに、国内外の評価機関との連携を強化し、最新の科学的知見を迅速に取り入れることが重要とされています。食品安全委員会には、リスク評価とリスク管理の適切なバランスを保ちながら、国民への健康影響を最小限に抑えるための施策を進めるとともに、新たな化学物質の評価にも積極的に対応していくことが期待されます。

さらに詳しい情報は、<一次情報>他からご確認ください。
 
 
 
<一次情報>
【食品安全委員会】「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&Aを更新しました
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/pfas_faq.html
【食品安全委員会】用語集:有機フッ素化合物(PFAS) PFAS:Per- and Polyfluoroalkyl Substances【最終更新日 2024年9月】
https://www.fsc.go.jp/yougoshu/kensaku_kagaku.html#item530
 
<関連情報>
PFASの食品健康影響評価書(令和6年6月)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kya20240625001&fileId=201
有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループ
https://www.fsc.go.jp/senmon/sonota/pfas.html
 
<関連動画>
令和5年度 食品安全・オンラインセミナー「有機フッ素化合物(PFAS)の食品健康影響評価書(案)」
https://www.youtube.com/watch?v=zwktwnGHRQQ&list=PLlxlcYeJg_L_HMZeFQRn7iAlo31R3Y5bZ&index=15&pp=iAQB 
※ 食品安全委員会は、「FSCJアーカイブス」として食の安全安心に関する30~60分ほどの解説動画を公開しています。
FSCJアーカイブス
https://www.youtube.com/playlist?list=PLlxlcYeJg_L_HMZeFQRn7iAlo31R3Y5bZ

 

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